塵
こちらの続き、後編になります。 前編ではブログを18年書き続けてきた自分自身について書いた。ここからはブログをとりまく18年ぶんの社会とか環境とかについて。 この『シロクマの屑籠』が開闢した2005年はブログブームな時期でアーリーアダプターからアー…
2023年も残り一か月になろうとしている。 今年、私はとにかく働いて、創作して、2024年を迎えるための諸準備に追われて、気が付けばブログ18周年だった10月も通り過ぎてしまった。赤ん坊が高校を卒業するぐらいの年月にわたってブログを書き続けるぐらいには…
これから有料記事スペースを使って、「ちょっと昔の精神医療思い出話」と銘打った小話を3~5か月ほどかけて連載してみようと思う。二十余年という月日は精神科医という職業のなかではそんなに長いものではないけれども、ここらで昔を振り返って、自分のこと…
年を取って、報恩、ということを考えるようになった。 報恩。恩に報いること。私には恩義のある人がたくさんいる。そのような人がたくさんいたこと、且つ、そのような人がたくさんいたと認識可能であることは幸福なことだ。このふたつの条件が揃っている人は…
2023年に入ってから働きすぎているが、9月ぐらいから労働が極まってきて、次第に息が詰まりそうになったり睡眠がとりづらくなってきた。実働時間でいえば研修医時代を上回っている気がする。寝ている時間以外、だいたい何かをやっているからだ。 20代や30代…
(この文章はステルスマーケティングではありません) 昨日、ちょっと良い出来事があったのでそのことを書いてみたい。 良いことといっても、くだらないことだ。しかし人間はくだらないことで嬉しくなったりするものだ。起こった内容はタイトルに書いたとおり…
ここしばらく、帰宅してからは布団のうえでゴロゴロしてほとんど過ごしていた。世間的にはそう見えないかもしれないが、私の主観ではゴロゴロしていた。活動性が恐ろしく低い一週間だったと思う。 やる気がないから、大部の原稿を書く力が残っていない。慣れ…
眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た作者:スザンヌ・オサリバン紀伊國屋書店Amazon 今年の6月、共同通信さんのご依頼でスザンヌ・オサリバン『眠り続ける少女たち』の書評を書くミッションに挑んだ。7~8月にかけて全国の新聞に…
2023年の夏はとてつもない暑さで、昼間に外で遊んでいたらぶっ倒れてしまいそうだ。必然的に、屋外の活動は早朝か夕方に限られる。海水浴や昆虫採集なら早朝一択だ。早朝なら、海も凪いでいることも多い。 子どもと一緒に、海ではアメフラシやウミウシやカサ…
blog.tinect.jp 黄金頭さんがbooks&appsで図書館利用について文章を書いてらっしゃった。エッセイと呼んで似合いの文章だと思う。はてなブログのエッセイストとして、はじめのほうに名前の挙がるブロガーではないだろうか。 図書館の利用については私にも来…
ちょっと高齢者の健康についてしゃべりたくなったので、しゃべらせてください。 [B! 医療] 「こんなに急に悪化するとは思わなかった」これから親を看取る人は知っておきたい"老衰死の経過" いつ墜落するかわからない低空飛行中の飛行機の状態 2022年の10月頃、…
インターネットをとおして私はいったい何人と縁を結び、やがて別れていったろうか。 人生の半分以上を、インターネットと共に生きてきた。 いまどき、人生の半分以上がインターネットと共にあるなど珍しいことでもあるまい。が、四半世紀以上をインターネッ…
今日は、いぬじんさん(id:inujin さん)への返信という体裁で自分が書きたいことが湧いてきたので書きます。書きなぐりなので、「ですます」調はここだけなのであしからず。 最短で最小の労力で確実に最大の成果を得なければいけない時代に、求められているこ…
これはある日の朝食の写真だが、昼食や夕食が似た感じになることもある。 これぐらいの食事で構わない、いや、これぐらいの食事がいいんだよ、と思うことが増えてきた。 子育てを始める前、私にとってうれしい食事とは肉や魚がしっかりある、ボリューミーな…
時折、うちのインターネットの観測範囲内には「風呂と戦っている」「風呂との戦いに勝利した」といったメッセージが流れてくる。世間で「風呂は命の洗濯」などといわれるのをよそに、風呂を戦いの対象とみなし、一定の労力というかヨッコラショ感を伴ったか…
新年あけましておめでとうございます。このブログをいつも読んでくださる常連さん、たまに読んでくださるリピーターさん、いつもありがとうございます。 しかし私は、今年もブログがあまり書けないでしょう。忙しすぎるからです。 でもブログを長く書いてい…
秋も深まり、高い山では紅葉が始まろうとしている。夕暮れ時のひつじ雲。今年度ももう後半になった。空を見上げながら、人生の残り時間を思う。 『山月記』を書いた中島敦は「人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」という…
緩募:「煮詰まった中年男性」の気分転換の方法 - いつか電池がきれるまで うちのブログにリンクが貼られていることに気付き、どうお返事するのが適切だろう? と数日考えました。 fujiponさんにはfujiponさんの、私には私の中年期があるのだから、私が返事…
今年は八月の中旬ごろからだろうか、真っ青な空や雄大な入道雲を見かけなくなり、秋雨前線と見まがうような低い灰色の雲が垂れ込めるようになった。久しぶりに晴れたかと思ったら、早くもオレンジ色に染まった羊雲が並んでいる。なにが小さい秋見つけただ、…
長くブログや本を書いていると、いろいろな相談のお手紙が舞い込んでくる。そうしたもののすべてに応えることはとても無理だし、精神医学にまつわる相談、特に医療行為に直結した相談は原則お断りさせてもらっている。 そうは言ってもなかなか無視しづらいお…
times.abema.tv 先日8月3日、ABEMA Prime さんにて「中高年のうつ病」という特集があってゲストとしてお邪魔させてもらった。思っていた以上に中高年のうつ病についての話が真面目かつ広く取り扱われて、限られた放送時間のなかでいろいろな話題が出て良かっ…
例年、本格的な夏の頃には体重が落ちてくるのだけど、今年はなかなか落ちてこない。なぜだろう? と思って生活を振り返ったら、リングフィットアドベンチャーをやっていなかったことに気が付いた。 リングフィット アドベンチャー -Switch任天堂Amazon 私は…
同業の人が学会に集まろうとしている季節に、「いま、精神分析に意味があるとしたらそれは何か」などというお題をネットのopenな領域に投げるのは蛮勇すぎるのですが、ある集まりで「今、精神分析に意味はあるの?」という問いをいただき、持ち時間100分ぐら…
人生のある時点で最高・最強だからといって、長い人生が最高・最強とは限らない。 多くの場合、人生のある時点で最高・最強だった人は、その前は劣悪な環境でもがいていたり、精彩を欠いていたりする。一時代に栄華をきわめた人のかなりの割合も、一時代に栄…
私は石川県の出身で、たぶんいろいろな大乗仏教、特に当地で大きな割合を占めている浄土真宗の影響下で育った。それでもって、無意識のうちにその宗教観や宗教文化をプリインストールされてきた、のだと思う。仏教なんて、浄土真宗なんて、と思う人もいるか…
人生はゲームなのだろうか? ――〈答えのなさそうな問題〉に答える哲学 (ちくまプリマー新書)作者:平尾昌宏筑摩書房Amazon 上掲リンク先の本に気が付いたのは、発売される直前ぐらいだったように思う。 「人生はゲームなのだろうか?」。 ゲームを愛好し、さ…
戦争時に「国家のために死んでください」と呼びかけてもなかなか戦ってくれない。しかし「戦争に反対する人は非国民です」と呼びかけると、あ、早めに従軍しようか、となる。言葉かけのちょっとしたデザインで行動が変わる。 https://t.co/thow9oB7Mu— EvoPs…
blogos.com 先日、さまざまなブログからの寄稿記事やオリジナル記事の一大集合体である「BLOGOS」が閉鎖されるというアナウンスメントを見かけた。BLOGOSが開闢したのは2009年で、その名からブロゴスフィアという語彙を連想するのは、00年代にブログを読み書…
シロクマ先生がある時期から妙に規則正しい生活について言及されていて、若かった当時の僕は「加齢による死への恐怖からの抗いなんかな」くらいにしか思ってなかったんだけど、最近自分がどんどん忙しくなり、規則正しい生活をしないとQOLも生産力も維持でき…
最近ブログを書く気持ちになれなくて、二週間近く放置してしていた。こんな時は誰かが与えてくれるお題に沿ってみるのがいいのかなと思い、【はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」】にかこつけ、この10年で変わらなかった…