シロクマの屑籠

はてな村から引っ越してきた精神科医シロクマ(熊代亨)のブログです。

娑婆

『「育ちがいい人」だけが知っていること』が売れる社会に逃げ場なし

「育ちがいい」とトクして「育ちが悪い」と損をする、この社会の現実(熊代 亨) | 現代ビジネス | 講談社(1/5) リンク先の文章は、マナー書『「育ちがいい人」だけが知っていること』が30万部を売り上げるに至った現状を踏まえて、いまどきの不平等、いま…

独りで生きて、独りで死ねる未来ができてほしい

孤独死を弔い続ける神主が危ぶむ「強烈な孤立」 | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 先日、世間では孤独死が増えている、もう既に問題だ、と提起する記事を東洋経済オンラインでみかけた。孤独に死ぬことを凄絶とみなし、また、死…

社会の進歩は人間の動物性とどう折り合いをつける?

ダメと言われても「夜の街」に繰り出す人は何を考えているのか 「コロナ疲れ」「コロナうつ」は当然だ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 上掲の、プレジデントオンラインさんの寄稿テキストでは、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための、いわゆる「新…

"本当は正しくない『となりのトトロ』"が、受け入れられている

となりのトトロ [DVD]発売日: 2014/07/16メディア: DVD 『となりのトトロ』は子どもが妖怪に出会う物語だ。 妖怪が出るような、よくわからない場所が間近な生活圏にあったということだし、よくわからない場所に子どもが出入りする自由があったということでも…

少子化の根っこにあるのは資本主義・個人主義・社会契約の浸透だと思う

BBCジャパンで、「世界じゅうで出生率が下がっていく」という話題を見かけた(以下参照)。 世界の出生率、驚異的な低下 23カ国で今世紀末までに人口半減=米大学予測 - BBCニュース 少子化は、ヨーロッパ諸国から東アジアへ、次いでそのほかのアジアへ、やが…

「生きづらさ」の根源をもっと深く突き詰めてみる

生きづらいのは「資本主義」や「自由主義」のせいなのか。 | Books&Apps 『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』を読んでくださり、ありがとうございました。また、それに関連して生きづらさについてご意見をいただきました。 「役割が…

「まともな人間の条件」と、そこからはみ出す自分自身について

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会に潜伏しています。 - 犬だって言いたいことがあるのだ。 はてなブログで付き合いの長かったいぬじんさんから、『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会』についてお便りをいただきました。ありがとうございます。せっ…

続・発達障害のことを誰も知らなかった社会には、もう戻れない

anond.hatelabo.jp 5月29日にはてな匿名ダイアリーに投稿された『発達障害やグレーゾーンの人の適職って?』という記事*1に、たくさんのはてなブックマークが付いていた。 文中で挙げられている"逐一支持しても単純作業しかできない人(もしくは単純作業も難…

現代人の超自我と、逃れられない「こころ」の問題

最近は見かけることも少なくなったが、かつては神経症とかノイローゼとかいった「こころ」の病名をよく見かけた。 これらはフロイト以来の精神分析にかかわる「こころ」の病名で、おおざっぱにいえば「こころ」の内面の葛藤やこじれに関するものだった。1990…

熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』第一章(下)を公開します

熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』第一章(上)を公開します - シロクマの屑籠の続きです。 【「誰が救済されるべきマイノリティなのか」という問題】 もうひとつは、こうした救済の対象は、医療や福祉が可視化したもの、ある…

熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』第一章(上)を公開します

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて作者:熊代 亨発売日: 2020/06/17メディア: 単行本(ソフトカバー) 6月17日発売予定の『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』の第一章を公開する許可をいただいたので、公開し…

男性役割、いや、競争社会や上昇志向から「降りる」ことの難しさ

https://anond.hatelabo.jp/20200507171805 「男性の役割から降りても救いはない」という匿名ダイアリーの記事を読み、早口で喋りたい気持ちになったので書いてみる。 筆者は男性役割から降りた・障害者となった、と記しているが、この「男性役割」という言…

なめらかな社会、繊細な秩序にあなたはついていけるのか

昭和の日、繊細になりゆく令和の秩序について考える - シロクマの屑籠 先日の記事には、はてなブックマークで様々なコメントをいただき、進みゆく秩序について(はてなブックマークの)皆さんがどんな風に考えているのか参考になった。それらを記憶にとどめ…

昭和の日、繊細になりゆく令和の秩序について考える

今日は昭和の日だが、最近、私のツイッタータイムラインには昭和時代の漫画表現のおおらかさ、フリーダムさに驚いている投稿がよく飛び込んでくる。 48年前の少年ジャンプに載ってた『漫画ドリフターズ』を読んでたんだけど、最高に表現が自由すぎる。 pic.t…

在宅勤務でも昼間から酒を飲むのはやめたほうがいい

gigazine.net 在宅勤務が増えるアメリカ合衆国では、在宅勤務者の3人に1人が飲酒しているというニュースを知った。私は精神科医としてはいい加減なほうだし、ワインが好きなので飲酒についてもうるさくないつもりでいる。でも、平日の昼間からアルコールを飲…

世間、マスク、道徳。

世間に負けているので外出時は私もマスクしているのだけれど、騒動の初めの頃は信仰や御守りとしてのマスクだったように思うが、何だか最近は他者や世間様へ迷惑をかけないようにする公衆衛生への配慮としてのマスクになりつつある、気がするな。後者の方が…

「ビンタもコミュニケーション能力」だった頃を覚えていますか

Amazonプライムで昭和時代のドラマや映画を見ていると、令和時代には「暴力」とみなされている身体的なコミュニケーションをよく見かける。 相手の頭を叩く仕草。 平手打ち。 お互いにどつきあう男性同士。 コメディアンのコントを眺めていても、相方の身体…

『時間とテクノロジー』雑感、それと自由のゆくえ

時間とテクノロジー作者:佐々木俊尚発売日: 2019/12/17メディア: 単行本(ソフトカバー) 週末、佐々木俊尚さんの近著『時間とテクノロジー』を読んだ。自動車運転やVRも含めた情報通信テクノロジーに私たちが完全に包まれて、お膳立てされ、環境そのものが…

ヒカキンを眺めていたら軽躁だらけの社会が恐くなった

【フォートナイト】ライトセーバーでついにビクトリーロイヤル!?【ヒカキンゲームズ】【スターウォーズ】 先日、いろいろあってヒカキンのゲーム実況を久しぶりに眺めた。ヒカキンがフォートナイトを実況するさまは、滑らかで、楽しそうで、ゲーム内容をきち…

「大人だって生きていてうれしい」とちゃんと伝わっているのか

「大人も生きていてうれしい」というメッセージは子どもに伝わっているのか。内閣府の調査をみる限り、日本の子どもは消極的で、憂鬱で、未来に希望を持てていない。では、そんな子ども達に現在の大人はどう映るのか?

映画『パラサイト』にみる、におい・ハビトゥス・階層

www.parasite-mv.jp 久しぶりに韓国映画を見てきた。 『パラサイト 半地下の家族』が私の周囲で話題になっていたのと、最近読んだ『韓国 行き過ぎた資本主義』という本にも半地下住宅のことが書かれていて、気になったからだ。 韓国 行き過ぎた資本主義 「無…

「不快な奴をブロックして構わない」社会と「アライさん」界隈

個人の幸福は「お金」ではなく「不快なやつは全員ブロック」で実現される。 | Books&Apps 上掲リンク先は賛否両論のありそうな内容だが、読んで自分の考えを練るのに向いていると思う。これを読み、2019年にtwitter上で湧き出した匿名の「アライさん」界隈の…

人間を繁殖させられない日本動物園、それとフィンランド動物園

www3.nhk.or.jp 日本、少子化進んでるってよ。 ときの首相が、少子化問題を「国難」と評するようになった。実際、国難だろう。だからといって若い男女を強制的につがいにして、強制的に出産なんてさせられない。 人間が子どもを産まないと社会が破綻するので…

「自分の市場価値」がついてまわる社会と、その疎外

「自分の市場価値を測ってみませんか」ってメールがドコモから届きやがったよ。自分の市場価値を測ってみませんかってキャリアからメールが届くんだぜ、すげえ世の中だな— p_shirokuma(熊代亨) (@twit_shirokuma) 2019年12月2日 この手のメールを受け取った…

バトンの隙間を埋めてくれていた人々

冠婚葬祭。子育て。生業。 そういった処世の術は、祖父母から親へ、親から子へ、子から孫へと単線的に引き継がれていったわけではなかった。きょうだい、おじおば、近所の葬式ばあさん、そういう複線的なラインで下の世代に伝授されていった。 ところが核家…

他人と話さないで済ませられる現代社会

以下に記すことは、おそらくポストモダン思想が流行した1980~90年代にどこかの誰かが文章化しているとは思う。そういう意味では新規性のある文章だとは思えない。 ただ、20世紀に流行したポストモダンなるものは、最も経済資本や文化資本に恵まれた「シラケ…

子ども部屋から少子化を考えてみる

90万人割れ、出生率減少を加速させる「子ども部屋おじさん」:日経ビジネス電子版 日経ビジネスに、随分なタイトルの記事がアップロードされていた。内容はリンク先を読んでいただくとして、さしあたり「子ども部屋おじさん」という語彙が生まれるほどには子…

「子育てするなら都心か地方か」論と、現代の「血筋」の問題

残酷な現実:都心まで通勤1時間以上の国道16号30km圏郊外に一戸建を新築4000万円で買うと10年後の再販2000万円以下。東京駅5km圏の湾岸タワマンなら新築8000万で買っても10年後の再販7500万円ー8000万円。実質負担は後者が安い!こういうのが格差開くメカニズ…

「俺らが生きづらい社会」は「あいつらが生きやすい社会」

すごい勢いで世の中が悪くなっていると我々が感じているということは、逆側に立つ人は「世の中どんどんよくなってるな」と感じているのだろうか。— 方便 (@ryohoben) 2019年8月5日 このtwitterの文章を読み、「世の中ってそんなものだよね」と思いつつ、社会…

「おっさん」は強ければ叩いて構わず、弱ければ忌避される

なぜ「おっさん差別」だけが、この社会で喝采を浴びるのか(御田寺 圭) | 現代ビジネス | 講談社(1/4) リンク先は「おっさん差別」に関する文章だ。 リンク先でテラケイさんは、「差別が許されない社会のなかで、差別主義者だと後ろ指をさされることなく…