シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

娑婆

私たちは、自己家畜化をこえて"社畜"になる

p-shirokuma.hatenadiary.com 続き。 いつの世にも苦しみや悩みはあるし、その社会・その時代に最適な人もそうでない人もいるでしょう。アフリカの狩猟採集社会に最適な人と、幕末の日本の農村に最適な人と、2024年の東京に最適な人はそれぞれ違っています。…

高度な社会の一員になれていますか。これからもなれますか

「高度な社会は、それにふさわしい高度な人間を要請する」。 それが言い過ぎだとしたら、「高度な社会に適応するためには相応の能力や特性が求められ、足りなければ支援や治療の対象になる」と言い直すべきでしょうか。 少し前に「SNS上では境界知能という言…

かつて私たちがいた世界『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』 オリジナル サウンドトラックNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンAmazon ある人から、「シロクマさんは『窓ぎわのトットちゃん』を見ておいたほうがいいと思う」と勧められ、疲れたまま週明けを迎えようとしている連…

「いにしえの00年代のインターネットへの憧れ」はわかる気がする

今の10代の人の間で、「ゼロ年代のいにしえのインターネットへの憧れ」がそこそこ共有されているっぽいのに最近気づいてる— highland (@highland_sh) 2023年12月18日 highlandさんの上掲投稿を見かけて、その少し前に読んだ00年代のブロガーの文章を連想せず…

野良猫、野良犬、野良…人間?(と、それらを存在させない現在の東京)

※こちらの続きだけど、単体でも一応読めると思います。 たとえば東京は徹頭徹尾人間のための街であって、動物のための街ではない。その、人間にとって都合が良くあるべき空間に動物が勝手に棲みつくと、迷惑になるし害にもなる。だから昭和から現在に至るま…

東京の道路はハトのものではない(それは勝手なことだが人間は勝手)

「東京でハトをひき殺した疑いで運転手が逮捕された」という不思議なニュースがインターネットに出回った。 nordot.app 私の経験では、ハトやカラスはよく心得たもので自動車が近づいてくれば飛んで逃げるし、だから簡単には車にひかれない。じゃあどうして…

いつまでも あるかわからぬ 長寿の国

今日、ある方から「日本人のエイジングについて」質問をいただいたこともあり、久しぶりに日本人の平均寿命についてググってみたんですよ。そうしたら、以下のような読み取りやすいグラフがあって。 *こちらのグラフは高齢者住宅ジャーナルさんが出典となり…

アメリカに治安維持は必要か・必要だろうけどさあ

タイトルは主語も目的語もでかい話で、正直よくわからない。でも最近のアメリカで起こっていることを聞いていると、治安維持、必要じゃないの? って思ってしまう。 全米に押し寄せる「万引の波」 凶悪化で閉業相次ぐ - 産経ニュース 梅宮アンナ、50日滞在し…

twitter(X)の有料化が「オンライン囲い込み」だとしたら

www3.nhk.or.jp twitter の有料化について報じられている。自分のタイムラインを見る限り、これを狂気の沙汰とみなす人のほうが多い様子だが、私のあまのじゃくな部分が「twitter の有料化を合理的な決定とみたうえで、その道理を考えてみたい」と欲しがって…

人間は身勝手な危険動物だから、ザリガニを勝手に増やし勝手に殺すのも通常運転

www.asahi.com 虐殺が行われるのを、ただ見ていた。 令和5年の夏のある日のこと。現場には少し前の日からロープが張られ、午前8時頃、作業着姿の中年男性たちが白いハイエースに乗って現れた。発動機の音高く、草刈り機が起動する。土地を覆う植物たちは無…

どんな人が・なぜ身体拘束の対象になっているのか──疾患分類からみえること

東京新聞の記者が日本精神科病院協会(日精協)の会長にインタビューした記事が掲載されていた。 www.tokyo-np.co.jp この記事は、精神科病院での身体拘束を問題視し、その必要性を述べている日精協会長の発言まで問題視するもののようにみえる……が、あまり迫…

ますます静かに・安全になっていく社会は人間を自由にするか

anond.hatelabo.jp リンク先の文章には、近隣の公園の喧騒に過敏になり、クレームをつけるに至った人の体験談が丁寧に記されている。いつものようにはてなブックマークにはたくさんのコメントが集まっていて、さまざまな意見、見解、感想が入り混じっている。…

AI時代の精神医療を想像する──3.支援か?支配か?自由か?不自由か?

[前々回]:AI時代の精神医療を想像する──1.診断と治療について - シロクマの屑籠 [前回]:AI時代の精神医療を想像する──2.社会復帰の宛先は? - シロクマの屑籠 前回の文末で、AIが患者さんの社会復帰や社会参加を差配するような未来を想像したうえで、…

AI時代の精神医療を想像する──2.社会復帰の宛先は?

[前回]:AI時代の精神医療を想像する──1.診断と治療について - シロクマの屑籠 前回から引き続いて、AI時代の精神医療にかんしてブロガーとして未来予測をしてみる。今回は主に、患者さんの社会復帰や社会参加、その宛先についてである。 今日、精神医療の…

AI時代の精神医療を想像する──1.診断と治療について

最近、AIが人間の機能や役割をやってのける話を耳にする機会が増えた。そうしたAIによる人間の機能の代替は、ある時期まではチェスや囲碁や将棋といった、ルールが厳格で判断の範囲が限定された機能に関する話題が中心だったが、2023年に話題になっているの…

均一であるよう人間に圧がかかっている現状と、多様性という言葉

今日の内容はブレストなので根拠・引用を引いてくることはなく、自分自身に向けて書いた内容だ。それでも覗きたいって人以外は回れ右してください。 私は多様性という言葉にいつも引っかかりを覚えている。生物多様性、文化的多様性、そういったものを大切に…

もうスポーツ選手や動画配信者は"野良犬のヒーロー"ではない

大谷選手やボクシング井上選手など、最近の若手スーパーヒーローはみんな遊ばずに品行方正なのは世界のスポーツや格闘技のレベルが上がりすぎてその世界で圧倒的なチャンプで居続けるには遊んでたり横見たちに逸れる余裕がなくなってるだけな気がしてる。サ…

命を管理する社会の行きつく先として『PLAN75』を見た

疲れ切った身体でブログを書こうとしている。約17年前、ブログを書き始めた頃には何時間でもキーボードを打てたが、当時の私はもういない。午後9時には休みたいと主張するこの身体には老の影が忍び寄っている。しかし70代80代ともなればこんなものではないは…

意識が高くなって治療や支援が行き届いた社会だからこそ「なおすべきは、あなただ」と言えてしまわないか?

www.kosehazuki.net 昨夜、「「セルフケア」を持てはやすなよ」という文章を見かけたので読んだ。その前にもtwitterで前哨戦のようなフレーズを見かけていたので(参照:これやこれなど)、ああ、そのあたりが意識されるフェーズなんだなと思うことにした。…

おれたち、黙って死んでくれると思われてませんか?

togetter.com 上掲リンク先は、「氷河期世代が高齢になった時、若い世代のために切り捨てられる」的な話題のtogetterだ。私のタイムラインではよく見かける話で、実際、氷河期世代が高齢者になった時、今までどおりの社会保障が支えづらくなるのは多くの人が…

新型コロナ対策というトロッコ問題と民主国家の責任問題を考えていたらわけがわからなくなった

新型コロナウイルス感染症が第七波を迎えているとのことで、医療機関を中心に危機感が高まってきている。他方、先日の祇園祭の写真が示すようにコロナ禍以前の日常を取り戻す活動も目立ってきた。ワクチン接種が進み、重症者の割合が下がっていることも含め…

努力しているか否かでなく、努力でアタリを引ける確率・努力できる回数が問題ではなかったか

blog.tinect.jp 恵まれているか、恵まれていないか。 命がけといえるほど努力しているか、努力していないか。 努力するポテンシャルがあるか、努力するポテンシャルがないのか。 これらは相対的で、総論的すぎて、細やかさを欠いた比較ではある。 とはいえ親…

強者の道徳だよ、二重の意味でー『21世紀の道徳』

21世紀の道徳作者:ベンジャミン・クリッツァー晶文社Amazon 去る12月、『21世紀の道徳』という書籍が出版された。筆者は、日本暮らしのアメリカ人にしてブログ『道徳的動物日記』を書いているベンジャミン・クリッツァーさんで、これまでも活発に議論をして…

平成30年間をとおして、私たちは滑らかになった。

bunshun.jp リンク先の文春オンラインさんで、『博報堂生活総研のキラーデータで語るリアル平成史』所収の、「平成30年間の時代の変化とメンタルヘルス(熊代亨)」を紹介していただいています。たくさんの著者が同じデータベースを見て感じたこと・考えたこと…

「しょっちゅう人手不足になるところでは働くな」が本当ならば

blog.tinect.jp 「しょっちゅう人手不足になるところでは働くな」。 上掲リンク先は、いくつかのバイト体験を例示しつつ、人手不足のところには何かしらそうなる理由があるから働くな、それは地雷だ、といったことを教訓的に記した文章だ。文章の前のほうに…

子どもがいてもいなくても、世界について考えるのは難しくなってると思う。

ta-nishi.hatenablog.com リンク先の文章は、子どもを持たない大人が増えることで自分の代までしか考えない人も増え、世界の持続可能性が危機にさらされるのではないか、といった趣旨だ。「私の死んだ後のことなんかどうでもいい」と皆が考えるようになり、…

「本物の社畜」が生まれようとしている

www3.nhk.or.jp 今週、NHKのサイトで"在宅勤務中も禁煙"を求める企業の動きについての報道があった。野村ホールディングスは、出社している社員に加えて在宅でリモートワークしている社員にも、就業時間中は禁煙を求めるのだという。 こうした動きは社員の健…

「僕たちの文明では感情は精神疾患」まであと何歩?

私の気持ちは、誰のもの?(熊代亨:精神科医)#もやもやする気持ちへの処方箋|「こころ」のための専門メディア 金子書房 リンク先は、金子書房さんのnote記事に寄稿させていただいた「私の気持ちは誰のもの?」という文章だ。 社会から不適切な感情がどん…

社会適応や役割が嘘や自己否定になってしまう人の世界と、そうでない人の世界(のわかりあえなさ)

ta-nishi.hatenablog.com リンク先の文章には、弱者男性論者は社会適応に対してあまりにも潔癖すぎる、といったタイトルになっている。が、タイトルどおりの内容ではなく、 ・筆者自身の社会適応に対する潔癖性の話 ・過去の脱オタクファッション (略して脱…

「TPOのできた発達障害な人でも働きにくい社会」とそのコンセンサス

私の場合、診察室はもとより、私生活でも「大人の発達障害」と診断された人によく出会う。私が好きで好きでしようがないインターネットやサブカルチャーの領域にも「大人の発達障害」と診断される人がごまんといて、彼らなりに活躍していたり苦労していたり…