シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

執着

ハサウェイは何と戦っている?──『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』(ネタバレ有)

※この文章は、途中から機動戦士ガンダム閃光のハサウェイキルケ―の魔女のネタバレに変わります。ネタバレしたくない人は、途中で警告しますので引き返してください [GUNDAM]映画 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女 映画チラシ 日本アニメ Ξガ…

中年危機に関連して見かける初老期うつ病(退行期うつ病)について

p-shirokuma.hatenadiary.com 上の文章の続きとして、中年危機の心境や心情をバックグラウンドとして起こることがある、重症度の高いうつ病について紹介したい。 人間は変わり続けていくから、変化にあわせてライフスタイルを変えたほうが生きやすい、のはリ…

その「合理性」「合理主義」は何に仕えている?

最近、色々な人が合理性とか合理主義といった言葉を用いているのを見かけた。しかし、合理性や合理主義の指し示す内容、およびそれらに沿った行動の内容がまちまちだったので、いろんな合理性や合理主義がある気がしてきた。 いろんな合理性や合理主義があり…

別に、私が中年危機を克服したってわけじゃなくて

私の2024年は、まだ終わっていない。 私にとって2024年は「人間の自己家畜化」と「推し活」と「中年危機」についてひたすら書き続け、しゃべりつづける年だった。ありがたいことに色々な人にご関心を持っていただき、私もたくさん課題を持ち帰った。それは良…

一日がどんどん短くなっていく@50代

はあ、「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもので、最近、日没がどんどん早くなっていきますね。 しかし「一日がどんどん短くなっていく」のは秋の日だけではないのでした。「50代に突入した私の一日も、随分と短くなったなぁ」と毎日のように悲しんでい…

アイデンティティをカネで買うのは悪いこと?

昨日の続き。アイデンティティをカネで買って何が悪い? という話です。 アイデンティティの話をすると、ときどき「アイデンティティをカネで買うのは悪いことだ(卑しいことだ)」といったコメントをいただくことがある。 アイデンティティは、人間の心理的欲…

アイデンティティやキャラクター性は人の間で起こるものでもある

だんだん「何者かになりたい」という現代の願望が、作家や配信者など職業への憧れのみでなく、「自分とはこういった個性と感性を持っている人物だ」と周知されるほど確固たるキャラクター性を有したいことであると分かってきた。— nyalra (@nyalra) 2025年7月22…

雨の夜、「はてな村」という星座を思い出す

ゆうべ、ふと星座が観たくなって空を見上げた。垂れ込めた雨雲に邪魔されてほとんど見えなかったけれども、一瞬、雲の合間に星がまたたいたのは印象深かった。 それにあてられて、『ぼっち・ざ・ろっく!』の「星座になれたら」という曲、それからインターネ…

「もう10年40代があったら」とも「みんなで年を取るならそれで良い」とも思う

43歳になって思ったこと。30代は“若者最年長”だったけど、43歳くらいになると“年寄り最年少”になるから、ちょっとだけ得した気分になるし、気持ちも楽になる。— 宮崎智之 Tomoyuki Miyazaki (@miyazakid) 2025年5月6日 思わず、「43歳って良かったなぁ」など…

推しと宗教はどこまで同じで、どこから同じでないか

www.4gamer.net 少し前に、推しと宗教の共通性について宗教学の先生がお話している文章を読んだ。私はそれを読んである程度は納得できると同時にある程度からは納得できないものだった。ただし、くだんの先生は、私を説得するために「推しと宗教の共通性」に…

現代人がSNSの影響を受けるといっても色々で……

20240704 - 退屈なエピローグはつづく 2024年初頭、まだ寒い京都のカフェで私は上掲リンクの筆者、ちろきしんさんにお会いする機会を得た。その前には、ちろきしんさんの同人誌制作を少しお手伝いするご縁もあって、その同人誌は90~10年代ぐらいにかけての…

40代の終わりに、年の取り方について私が考えていること

残り時間がどれぐらいかわからないなかで、どう日々を過ごし、年を取っていくか。 1975年生まれの私は、今、40代最後の時間を過ごしている。40代のはじめのうちは、中年になったことの驚きがあり、そこに今までに無い面白さを見出していた。その驚きと面白さ…

あのとき推していた人は、今もここで生きている

ここから書くことは『「推し」で心はみたされる?~21世紀の心理的充足のトレンド』よりも未来の出来事、「推し」の最盛期から時間が流れた後のことや、「推し」に相当する人と別れた後についてです。 先日、拙著について相次いで感想をいただきました。あり…

『「推し」で心はみたされる?』についてのアジコさんへの手紙

orangestar2.hatenadiary.com アジコさんこんにちは。 このたびは『「推し」で心はみたされる?~21世紀の心理的充足のトレンド』をお読みいただき、ありがとうございました。 ブログの文章、拝見しました。 読み、アジコさんが慣れ親しんでいる「推し」や「…

「後藤ひとりと喜多郁代はよくできたナルシスト」って説明した時の話

昔、ある編集者さんと「いいね」や「推し」について喋っていた時に、「『いいね』も『推し』も有害なんじゃないですか?」といった質問をいただいたことがありました。 「そんなことはありません。有害になってしまう人もいるけど、ほとんど無害な人もいるし…

「無限労働中年になれた」が勘違いだった話

年齢とともに気持ちが変わり、ライフステージも変わる。すると、生活や趣味や働き方も変わる。そういうことに関心をずっと寄せていた私にとって、2023年という時は「オレ、無限に働ける中年になれたのでは?」と思える一年でした。 その気持ちを書いたのが『…

感情移入の願望器としてのフリーレン、ぼっちちゃん、魔法少女

俺は「フリーレン=自分がまだ年老いたり死んだりするところをリアルに想像できない10代の人間をマンガ的に変換したキャラ」だと思っているので、大食いの描写もじつに理にかなったものであるように感じる。— Rootport (@rootport) 2023年12月17日 『孤独の…

介護されたい高齢オタクを引っかける釣り針がすごい──『葬送のフリーレン』

これから書くことは『葬送のフリーレン』評ではない。なぜなら『葬送のフリーレン』という厚みのある作品の全体像をうんぬんするものでなく、作品のごく一部、作品に仕掛けられている数ある釣り針のひとつに注目し、「これは介護されたい高齢オタクが釣られ…

「都合のいい偶然だけ持って来い」

偶然は、きらいですか。 - 犬だって言いたいことがあるのだ。 偶然はきらいですか、というブログタイトルを読んだ時、私は脊髄神経の早さでこう思った──「都合のいい偶然だけ持って来い」 あらゆるものを見通す弥勒菩薩の視点でみれば、この世には偶然はなく…

主人公に卓越をみずにいられない──『東京最低最悪最高!』

bigcomics.jp (はてなブックマークでの反応:[B! 漫画] 週スピ&月!スピ読切・【読切】東京最低最悪最高!/鳥トマト) 月曜の朝に、この『東京最低最悪最高!』が目に飛び込んできた。現実を忠実に模写した漫画ではあるまい。ただ、読者がぶら下がれそう…

「蛙化現象」は健全か不健全か

orangestar2.hatenadiary.com “蛙化現象”について、アジコさんが漫画+文章を描いてらっしゃった。漫画パートでは昔からの意味である「好きな相手が自分のことを好きだと知った瞬間に恋が醒める」が記されているけど、文章パートでは最近の意味である「相手…

娑婆ウォッチ「萌えや推しはどこまで宗教で、どこから宗教ではないか」

オタクは昔も今も色々なキャラクターに親しんできた。「俺の嫁」的に自分のことを受け止めてくれる存在として愛好してきた側面もあれば、「推し」的にリスペクトの対象、あこがれの対象としてみてきた側面もある。鉄オタ、軍オタ、そしてフィギュアを大切に…

「推し」とナルシシズム

【推しの子】 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)作者:赤坂アカ,横槍メンゴ集英社Amazon 最近、いや数年前から「推し」という言葉をよく耳にする。10~25年以上前にオタク界隈で流行っていた「萌え」に比較すると、「推し」には公言しやすさがあり、あしざ…

40代になってからも限界はみえない。それでもできることは減っている。

2023年度のGWも終わって、何というでないけれどもくたびれている。このままギアを落とさず5月をやっていくのかーと思うと気分が晴れない。五月病など、あってはならないことだ。 仕事と原稿と家庭に忙殺される日々を振り返って、思う。ああ、すごくできるこ…

Q:思春期において、承認欲求とどう向き合えば良いのか?

つい先日、こんな質問を読者のかたからいただきました。 1.「承認欲求を持つことは悪いことか」 2.「思春期の年頃において、承認欲求とどう向き合っていけば良いのか」 このブログを長らく読んでいる人には答えの見える質問かもしれませんが、そうでない…

自分の物語でなく、東京という物語を生きることの功罪

「東京をやっていこうとしている」人たちの一喜一憂 | Books&Apps 昨日、books&appsさんに「東京をやっていこうとしている」人たちについての文章を寄稿した。「東京をやっていく」という表現は不自然かもだが、東京のイメージに沿って生きようとしている人…

承認欲求モンスター、それは短所か長所か

ぼっち・ざ・ろっく! ちょこのせ プレミアムフィギュア 後藤ひとりセガAmazon 昨日の『ぼっち・ざ・ろっく』の感想の続き。というか正月に書き損ねた話でもあったので書いてしまおう。 「承認欲求モンスター」についての話だ。 昨日の感想文のなかで 『ぼっ…

ゲームで高まるエモーションのかけがえなさ──スプラトゥーン3と思秋期

スプラトゥーン3 -Switch任天堂Amazon 9月9日、待ちに待った『スプラトゥーン3』がリリースされて、家族総出でプレイしている。ファミ通によれば、発売から三日間で345万本が売れたのだという。しかも国内に限った数だから怖ろしい。 そんなスプラトゥーン3…

50代がさっぱりわからない

ゆうべ、文章をなにも書かなくなった夢を見た。無気力な、何をすればいいのかわからなくなった未来の自分が、消極的に、もっと本業に取り組むかと呟いているのが物悲しかった。もちろんこんなのは本業に精力的に取り組む人々には当てはまらない、私の文脈内…

形骸と形式になり果てた夏でも、夏は夏だ

ニイニイゼミがおそるおそる鳴き始めて、2022年の夏が幕を開けた。 梅雨が本当に明けたのか半信半疑だし、いきなり猛暑なので、20世紀の思い出の夏とはだいぶ違う。そんな夏でも夏は夏だ。私は夏が好きだ。透明すぎる直射日光と深緑の山。そして青い海と生き…