木曜日の夜は昔のアニメを観る。いや、観るというよりダラダラ垂れ流して、眺めたい時だけ眺める。そのとき選びがちなのは『フルメタルパニックふもっふ』『鋼の錬金術師』『ガンダムUC』『Fate/Zero』あたり、新海誠の『天気の子』『言の葉の庭』『秒速5センチメートル』が選ばれることもある。最近、そこに『リコリス・リコイル』『ぼっち・ざ・ろっく!』『葬送のフリーレン』が仲間入りした。
ウィークリーの疲労のたまった木曜夜に、新作アニメなんて観たくないのである──なんと怠惰で情けないことだろう! 愛好家としてだめすぎる。けれどもしょうがないじゃないですかー、木曜なんだからー、新しい作品を正座して観るだけの気力なんてどこにもないですよー。とりあえずでアマプラやU-NEXTで旧作を選ぶ。もう内容がわかっていて、再視聴でも見応えがあって、バックグラウンドアニメとして流しておくだけで映えるアニメを流しておくのだ。
ほんらい、今期視聴アニメはラクな部類のはず。『ダンジョン飯』は前期の続きだし、『ゆるキャン△』や『このすば』は絵柄的にも内容的にも負荷が軽い。とりわけ『このすば』は、寝転んだまま観ていられる。『転スラ』にしても、本当にわかろうと思ったら正座して観るしかないのだろうけど、それは家族に任せて雰囲気だけ把握できればそれで良い。
そんな楽勝ムードの作品でさえ、木曜日の夜にはちょっと。完全リメイクの『狼と香辛料』や、『響けユーフォニアム!』3期などは論外だ。真剣に視聴して金曜日がボロボロになるのは御免こうむりたい。
案外昔からやっていたじゃないか
こうして木曜の疲労を文章にしてみると、救いがない、と思ってしまうのだけど、じゃあ5年前、10年前の自分が木曜日夜にどうしていたのか振り返ってみると、似たようなことをしていたのだった。たとえば2014年頃は同じことをニコニコ動画を使っていたし、2019年にはアマプラも使うようになっていた。でもサブスクって便利ですよね、DVDやBDを押し入れから取り出さなくて済むから。
言い訳がましく思うに、こうしただらしない視聴にも成果物はある:キャラクターのセリフや場面場面の情景などを(中年の割には)記憶できること、今までは見逃していた演出やメタファーに気付けたりすることだ。一回だけの視聴ではどうにもならないことが、繰り返し再生では可能になったりする。タイムパフォーマンスに追われて次から次へと数をこなしている時には、こうはいかない。
や、言い訳ですねこれも。
でも、時間の空きができても体力や気力が伴わなければ、中年は新作アニメすらまともに楽しめないのもまた事実。少なくとも私は、そんな疲れやすい中年になってしまったし、そのなかで愛好家をやっていくしかない。木曜日夜も元気に新作アニメを楽しめる人は、どうかその時間と状況を存分に楽しんでやってください。今日の私は『ブギーポップは笑わない』が観たくなったので、そちらを再生します。