シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

今が「推し活」の最盛期という気持ちで、今を楽しんでおきたい

 
bg-mania.jp
 
リンク先は、東京バーゲンマニアさんにアップロードされた、本屋B&Bさんのトークライブイベントの記事です。このときご一緒した藤谷千明さんの
藤谷千明 推し問答! あなたにとって「推し活」ってなんですか? (TOKYO NEWS MOOK)』がすごく面白い本で、(今昔の)推し活の最前線にいる方々の心構えやエネルギーがひしひしと感じられるのです。その藤谷さんと「推し」や「推し活」について、突っ込んだお話ができたように思います。
 
今回のトークライブイベントを思い出すに、一番のテーマは「推し」や「推し活」の楽しさではなかったかと思います。
 
「推し」や「推し活」については、批判的なオピニオンも聞こえてきますし、懸念もわからなくはありません。「推し」や「推し活」には人間の夢や願いや祈りが込められ、尊いと同時にときには抜き差しならないものでしょう。「推し」や「推し活」は大きなエネルギーを生んだり集めたりする行為で、そのエネルギーが大きくなればなるほど制御が難しいはず。推し活が高濃度になればなるほど、自分自身を律するのは難しくなるようにも思います。「推し活」に限ったことではありませんが、経験やクンフーをしっかり積んだベテラン勢の活動のなかには、上級者向けのものや人を選ぶものもあるでしょう。
  
 

でも、豊かな果実が実っている

 
いえいえ。そういうのはやめましょう。
トークライブを思い出している今日は、そういう話がしたいわけではありません。
 
振り返って思うに、2010年代~2024年は「推し活」しやすい時代だ(過去形にするにはたぶんまだ早い)と思うのです。ビギナーから上級者まで、いろいろな「推し活」を体験できる時代。推し活的なものが誰かに咎められにくい時代でもあるでしょう。
 
過去、オタクたちは「推し活」に相当するさまざまな活動をメインカルチャーの外側でやっていました。そしてそれを快く思わない人たちがたくさんいました。でも現在は違います。「推し」の選択肢になりそうな諸々がようやく市民権を得て、たくさんのタレント、たくさんのキャラクター、たくさんの作品がユースカルチャーの広い領域で綺羅星のように輝いています。
 
ふと、これを書いている最中に私が今期視聴するアニメを思い出してみたのですが……豊作です! NHKでも放送される『響け!ユーフォニアム』があり、『ゆるキャン△』があり、アニメ版『ブルーアーカイブ』があり。『狼と香辛料』のリメイクも雰囲気良さそうに見えます。家族が観ているので『転スラ』も観ていますが、あれもいいですね。私みたいなミーハー中年でも楽しみにできる作品がこんなにあるのは幸福なことです。
 
ひとつの作品を長く楽しめる時代でもあります。今、私のゲーム体験で一番息が長いのは『艦これ(艦隊これくしょん)』です。以下は、見る人が見れば艦これを続けていることが即座にわかる画像かと思います。
 

 
10年以上の付き合いのなかで色々なことがありましたが、「『艦これ』2024年の初春イベント海域」も無事に終えられました。
 

 
鎮守府全体の雰囲気がとても好きですし、彼女たちのおかげで呉や舞鶴に遊びに行くこともできました。それらをメディアミックス的な手法の掌の上と笑う人もいるかもしれません。が、私はそれだけではないと思っています。費やしたお金や費やした時間に報いるだけのものをいただきましたし、『艦これ』をとおして得た知縁もありましたから。
 
でもって、私の目の届かないところで新しい作品、新しいジャンル、新しい推しの対象が生まれ出ていて、アーリーアダプターな人たちが推しているに違いありません。それって楽しみなことですよね? そういった楽しみの発見と浸透が何十年も続いた結果、果実がたわわに実っているのが2024年現在の日本のユースカルチャーシーンと「推し」のバリエーションです。今、アーリーアダプターな人たちが推している人やジャンルや作品も、きっと未来の種になっていくのでしょう。
 
私たちは「推し」の対象に恵まれた時代を生きています。これを楽しまないのはもったいない! や、これは私自身の気持ちで、「推し活」が向いていない人がいるのも事実ですしょう。それでも、楽しく推せる条件が整っている人なら、推しを推しやすい2024年を楽しまない手はないと思うのです。
 
さきほど過去のオタクについて少し触れましたが、当時に比べればいい時代になったものです。でも、いい時代がいつまで続くのかは定かではありません。2024年の日本は推しの対象が百花繚乱で、「推し活」を妨げるものも少なめです。が、異なる時代・異なる国ではこの限りではなく、案外、2024年の日本こそが推し活に一番向いていた時代&国なのかもしれません。そういう小難しいことを抜きにしても、今しか推せないタレント・今しか推せない作品・今しか推せないキャラクターってのは常にあります。それは儚い瞬間かもしれないけど、その瞬間にしか宿らないものがある──ご一緒していただいた藤谷さんも、そうした瞬間をとても大切にしてらっしゃるように感じました。及ばずながら、私も愛好家のはしくれとして、そういう儚いかもしれないけれども忘れられない瞬間と、それを生み出すシーンを追いかけ、これからも楽しんでいきたいなと思います。
 
 

※トークライブでご一緒させていただいた藤谷さんの近著です。めちゃくちゃ面白い! 推し活ベテラン勢のクンフーを垣間見ることもできます。オススメ。
 ※私の『「推し」で心はみたされる?』も。よろしければどうぞ。