シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

流星になってみたい気持ちになっている

 
今まで最も役に立ったアドバイスは、「なりふり構わず生き延びろ」。 | Books&Apps
 
リンク先は、books&appsのティネクト株式会社を創った安達さんの記事だ。技術やノウハウを集積するにも、チャンスを掴むにも、時間がかかることを恐れてはいけない。そのためにも生存し続けなければならないよね、という指摘はそのとおりだと思う。
 
短時間では技術やノウハウは集積しない。短時間であきらめてしまえばそこで試合終了だ。ということは、金銭的・心理的・肉体的事情によって短時間しかもたない人はチャンスを拾いにくい、とも考えられる。タフでなければチャンスは掴みにくい。
 
私も長くブログを書き続けたことで、私なりの、ささやかなチャンスを掴んだと思う。2006年頃の私の野心は「オタクの、ひいては現代人の自己愛を書籍にまとめたい」だったが、実現したのは5年後だった。2年か3年であきらめていたら、きっと現在の私はなかっただろう。
 
 

が、走り抜けてみたい気持ちになっている

 
だから私は、時間をかけること・生存しつづけることの重要性を身をもって知っている、つもりだ。しかし今はそういう気分ではない。持久戦の構えをとるのをやめて、ここらで全力勝負、走り抜けてみたい。
 
人には、ある時機だからできること・似合うことがあると、私は思う。
 

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

  • 作者:熊代亨
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2018/02/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
たとえば最近、『若者をやめて、大人を始める』が重版になった。42歳の時に書いた本だが、現在の私の心は、もう、この本の境地から遠ざかっている。
 
42歳の時に書かなかったら、『若者をやめて、大人を始める』はきっと書けなかっただろう。「若者意識の出口を自覚し、中年になって間もない境地」に最適化された内容を書けるのは、まさにその時しかない。
 
今の私は、四十代のうちしかできなそうなことをやっておきたい、と思っている。世の中のいろいろな場所を巡って、いろいろな人に出会い続けながら社会のメカニズムについて考える──そういう日々が五十代以降も続けられる自信が無い。そもそも私はそれほど健康に恵まれていないから、あとどれぐらい考えたり書いたりできるかわかったものではない。
 
やれることはやれる時に、悔いが残らぬようやっておきたい。
 
三十代の頃にも似たようなことはやろうとしていたけれども、当時は今よりずっと非力だった。
 
「若作りうつ」社会 (講談社現代新書)

「若作りうつ」社会 (講談社現代新書)

  • 作者:熊代亨
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/03/28
  • メディア: Kindle版
 
当時、講談社の編集者さんは無名な私を拾い上げ、大きなチャンスとアドバイスを与えてくださった。ところが私に力が無かったから、この本に強い伸びしろを与えることができなかった。
 
それから7年。いわば冒頭リンク先の提言どおりに、私はずっと本を作り続けてノウハウを蓄積しながら、知識や知見も集め続けてきた。今の私は三十代の頃とは違う。今の私にどんな社会の見取り図が描けるのだろう? どこまでジャンプできるのだろう?
 
 

流星になってみたいんだ

 
ルパン三世のテーマには、「男には 自分の世界がある たとえるなら空をかける 一筋の流れ星」というフレーズがあるが、そうだ、私は流星になってみたいのだと思う。
 
空をかけて、自分の世界を描いてみたい。
 
これまでのブロガーとしての日々・書籍づくりの日々は、それはそれで私の血肉になってきたけれども、永遠にこのまま続けられるものでもあるまい。その次を見据えるアクションが、今の私には必要だ。
 
南無八幡大菩薩、どうか私に流星になる力を。