シロクマの屑籠

はてな村から引っ越してきた精神科医シロクマ(熊代亨)のブログです。

朝のイオンとストロングゼロ

 
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 今朝、立て続けにイオンについての文章とストロングゼロについての文章を読んだら、頭の中で両者が混じり合って、前から書きたい書きたいと思っていた文章が組み上がった。
 
 
 

 
 昔から私は、イオンには「格」があると思っている。「格」というと、面積が大きいとかテナントがたくさん入っているとかそういうものもあろうが、私がイオンの店舗を格付けする際の基準は、食品コーナーで売られているアルコールの種類だ。
 
 「格」の高いイオンの食品コーナーには、さまざまなアルコールが置かれている。
 
 全国各地の日本酒や焼酎、洒落た外国産ビールやシードル。
 ワインで言えば、オーパスワンやボルドーの格付けワイン、ブルゴーニュの特級ワインなどが置かれている店舗だ。
 
 こういった店舗に相当するのは、巨大であか抜けたショッピングモール、それこそイオンモール高松クラスの店舗だ。店舗は明るくて広く、地元の老若男女がちょっと良いものを購入する場所として使っているイオンには、良い酒が置かれている。
 
 これに準じるクラスとして、ワインコーナーが一定の充実をみているイオンがある。シャンパンが3~4種類ほど置かれていて、ボルドー、ブルゴーニュ、カリフォルニアといった銘醸地のワインは最低限のラインナップが揃っている。日本酒や焼酎にも選択肢がそこそこあって、買うのに困るというほどでもない。中規模のイオンモールや、少し垢抜けたイオンがこれに該当する。
 
 だが、世の中には信じられないほどワインや日本酒や焼酎が充実していないイオンも存在する。どうにも不味い日本産の合成ワインと安いチリワインを並べ、焼酎は、安物のしんどそうな奴がゴロゴロと並び、日本酒も、地元のあまり良くない奴と全国区のこれまたあまりおいしくない奴をズラズラと並べた悲しいイオン。こういうイオンのウイスキーやブランデーの棚がどういう有様になっているのかは、ご想像のとおりである。イオン系列のマックスバリューのたぐいには、このような店舗が少なくない。
 
 あるいは、ショッピングモールなのに食品コーナーにワインや日本酒や焼酎が存在しない、というイオンも存在する。外部のテナントが申し訳程度に(そして比較的高い値段で)ワインや焼酎を商っているのをいいことに、食品コーナーにはビールとハイボールと酎ハイだけを並べている、そんなイオンだ。 
 
 実質、そういったイオンにおいて、いわゆる“良い酒”を買うという選択肢は存在しない。
 
 

朝のイオンでストロングゼロと塩辛いチキンを買って一杯始める

 
 職業柄、当直明けにイオンに車を寄せて買い物して帰るというパターンが結構ある。
 
 当直明けのイオンは眠たい空気に包まれている。
 
 客はまばらで、高齢者の姿が多い。男性の一人客もそれなりいる。誰もが黙々と買い物をしていて、童謡を平板にアレンジした店内のBGMがやけに耳に残る。クリスマスシーズンを迎えた昨今は、ジングルベルをとてつもなくチープにした、スーパーマーケットでしか耳にすることのできないあのBGMがリピートされていて、耳をふさぎたくなる。しかしイオンは地方民の生命線であり、じっと堪えて買い物するほかない。
 
 消耗し尽くした日には、朝から一杯やってひと眠りしようという算段になる。
 
 疲れた朝にワインを飲むなど不可能なので、もっと手軽なアルコールが欲しい。
 アサヒスーパードライでも買うか? それともハイボールか? いや、酎ハイだろう。
 
 昔は、自分でウォッカやジンを買ってきてカクテルのようなものを作っていたが、そんな甲斐性はとうの昔に消え果てた。
 
 ほろよいは、嫁さんには好評だが、いまひとつ酒っぽくない。
 
 氷結。悪くはないが、氷結も、最近はアルコール度数が中途半端に高くなってきて、シチリアレモンなどと称して厳しいレモン風飲料をぶつけてきたり、ストロングゼロとは大同小異というイメージがある。それでいて軟派だ。それならいっそ、ストロングゼロを買ってしまえばいいじゃないか。
 
 おつまみには骨なしチキンとおにぎりを買う。イオンの骨なしチキンは、日によってフレーバーが少しずつ変わるが、たいてい、塩味と胡椒が効きすぎている。とてもじゃないが、小さな子どもには向かない。しかしストロングゼロとは抜群の相性をみせる。おにぎりもまた然り。チープな味ではあるが、この朝食兼おつまみにはチープなおにぎりのほうが似合っていると思う。不健康? それがいいんだよ。
 
 アルコールには、優しいアルコールと厳しいアルコールがあるように思う。
 
 優しいアルコールの筆頭格は赤ワインだ。アルコールがゆっくりと体内に入ってきて、抜けていくスピードも穏やかだ。おいしい熱燗もこれに近い感覚で飲める。
 
 厳しいアルコールの代表格がストロングゼロだ。ぐっと押し込むと、ぐわっと酔いが回る。アルコールの血中濃度が急激に上昇している感じがする。やけに高いアルコール濃度と、申し訳程度についているフレーバーのせいで、単体で飲むと少しきつい。しかし、このアルコール濃度の急上昇が良いという人がいるのはわかる。とうてい身体に良いとは思えないが、アルコール全般が身体に良いわけがないので、些末な違いでしかない。
 
 ストロングゼロのような厳しいアルコールは、急激に酒がまわった後、急激に酒が抜けていく。そういう意味では朝の一杯に最適でもある。風呂に入って、塩辛い骨なしチキンをかじりながら酩酊して、少しだけ居眠りをするにはちょうど良い。酒が入ると睡眠の質が悪くなるといわれているが、朝に寝入ってしまうのも考え物なわけで、しばしの休憩のつもりで休む。1~2時間で目が覚めてくるので、それから、どのみち使い物にならない一日の後半を、どう過ごすか考えることにする――。
 
 

午前8時の背徳

 
 ストロングゼロは安酒だ。
 
 精神科医としての自分からみると、ストロングゼロは、アルコール依存に向かって突っ走るリスクの高い、良くない飲み物なのだと考えてしまう。アルコール濃度が急激に上下しやすく、もともとのアルコール含有率が高く、妙な甘さのおかげで女性や子どもでも飲めてしまい得るというのは、危なっかしい特徴だ。この酒を常習的かつ大量に飲めば、間違いなく良くない転帰が待っているだろう。
 
 しかし酒飲みとしての自分からみると、ビールやワインや日本酒よりストロングゼロが似合う局面はあるように思う。労働を終えていつものイオンに立ち寄り、つまみと一緒にストロングゼロをやるのは、背徳感もあってなかなかのものだ。働く大人の特権という感じがする。良い子は真似しちゃいけないけれども、まあ、私はまたやらかすんだろうと思う。