シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

2023年の買ってよかったワインたち

はてなブログのキャンペーンで「買ってよかった2023」というものがあったので、自分も書いてみます。2023年に買ってよかったワインたちについてのものです。コスパワイン部門、中堅ワイン部門、ちょっと値が張る部門にわけてお届けします。
  
 

【2023年に買ったワインたちの全体的傾向】

 
円安と世界的なインフレ傾向、そしてブルゴーニュワインやシャンパーニュなどの高騰。こうした傾向がますます強くなった結果、2020年以前と同じようにワインを買うのは諦めなければならなくなりました。そうなると、今までは避けてきたエリアやジャンルのワインを開拓しなければなりません。でも、開拓意識を持つと見知らぬワインたちがざくざく見つかる側面もあり、面白くもあります。まだまだワインの沼は広い。
 
 

【コスパワイン部門】

 
 
d.A.ワイナリー (ジャン クロード マス) ヴィニウス グランド リザーヴ 2021
 
昔から時々飲んでいた南フランスのコスパワイン王、クロード・マスの系列のワイン。d.A.ワイナリーってのは新しいんだろうか? 南仏なので濃い口系もいいところだし、ちょっと糖度が高すぎかもしれないけれども二日目にかけてだんだん落ち着いてくるし初日のはっちゃけぶりも良い。
 
このボトルはシラーとグルナッシュという、まさに南仏系品種でつくられた品で、メルローやカベルネソーヴィニヨンといった有名国際品種とは一味違う感じがして良い。同じ南仏でもローヌ地方のワインはじりじりと値上がりしているけれども、これはまだそこまでではない。比較的廉価に旨いワインを、というニーズにはクロード・マス系列はやっぱりすごい。なかでもこいつは本当に良かった。
 
 
ヴァヴァサワー マールボロ ソーヴィニヨン ブラン 2021
 
ニュージーランドはマールボロ地域のソーヴィニヨンブラン。私、ソーヴィニヨンブランの妙にさばさばした感じも、ハーブが利きすぎていたり黄桃パパイヤ系の風味が強すぎたりするのも、ときどき猫のおしっこみたいなにおいがするのも苦手意識を持っていてしばらく離れていました。が、こいつはすごくバランスが良くて、後味は香りにいやなところがなく、ダレない。それとこのソーヴィニヨンブランの良いところのひとつは塩っ気があること。塩っ気のある白ワイン、いいよね。この価格帯でここまでバランス良くまとまった&塩っ気のあるソーヴィニヨンブランはたぶん初めて。このヴァヴァサワーってメーカーは来年も注意していきたいと思ってます。
 
 
アルカンタ [ 2020 ]ボデガス ボコパ ( 赤ワイン )
 
産地はスペインなんだけど、作っている品種はモナストレル(フランス名はムールヴェドル)っていうイベリア半島で強い品種。決して凄いワインではありませんが、スパイシー蚊取り線香というか、特有の香りがあって豪快、それでいて初日と二日目の顔つきも結構違っていてワインを飲み慣れている人にもうれしいコスパワインじゃないかと思います。ただし、これは南の地方でつくられる赤ワインの濃いエッセンスが爆発している系なので、濃い赤ワインが苦手な人、特にきついタンニンやきつい果実味が苦手な人には向いていないかもしれません。
 
 
メディチ エルメーテ クエルチオーリ レッジアーノ ランブルスコ セッコ NV
 
これは「買った」というよりエリックサウスマサラダイナーの季節のモダンインディアンコースを食べた時に注文したものでしたが、飲むヨーグルト風味の強いランブルスコということで、半ばラッシーに近い役割を果たしてくれて、なおかつお肉料理の油を切ってくれる感もあり、とても効果的な組み合わせでした。もし、現在もオンリストされていたらおすすめです。楽天ワインショップでの販売価格がまだ値上がりしていないのも◎。ランブルスコもじりじり値上がりしている一方で、ヨーグルト風味の弱い品やバサバサとした飲み心地の品も出回っているので、「ランブルスコは全部おいしい」ではなく「当たりのランブルスコはどれか」をよく見ておくのがお勧めです。ヨーグルト風味が弱かったり、色調が朱色に近かったりする品は駄目なことが多いように思われます。
 
 

【中堅ワイン部門】

 
 
テルモ・ロドリゲス ペガソ ゼータ 2020
 
これもスペインワイン、品種はガルナッチャ(フランス名:グルナッシュ)。ブルゴーニュワインが値上がりしすぎて買えなくなった後の代替品候補のひとつとして2023年はガルナッチャ(グルナッシュ)を色々飲んでみたなかで、中堅ワインでかなり有望そうだったのが、このテルモ・ロドリゲスのペガソ・ゼータでした。テルモ・ロドリゲスはスペインでは有名なメーカーのひとつで10年ほど前はポツポツ飲んでいましたが、2023年になって「ブルゴーニュワインの後釜候補として飲む」という角度から飲み直してみると、なかなかどうして、気の利いたワインでびっくりしました。フランス産などでも見かけますが、「エレガントグルナッシュ」っていいですね。2024年はグルナッシュを攻めていくつもりです。
 
 
ニコラ マンフェッラーリ ミッレウーヴェ ビアンコ 2021 白ワイン
 
イタリアはフリウリ=ヴェネチア・ジューリア州でつくられている白ワイン。この地域の白ワインはバラエティ豊かで、美味くて、ユニークなつくりのものが多いと以前から知っていましたが、平均価格が高いのがたまにきず。で、あまり高くない品を物色していたらこれに出くわしました。2000円前後にもかかわらず、この地域が得意としているブレンド白ワインの面白さを楽しめるのはありがたいところ。ナッツ、ハーブ、熟したメロン、酸味、等々が連想ゲームみたいに次々にやってきて、なかなか飽きません。たぶん高価格帯の同じタイプの白ワインと並べて飲むとぼろが出るんでしょうけど、単品で飲むぶんには問題もありません。ただし、シャルドネとは路線が違うので、高級シャルドネ路線を期待する人はやめたほうがいいと思います。
 
 
クズマーノ アルタ モーラ エトナ ビアンコ
 
こちらはシチリア土着品種カリカンテでつくられた白ワイン。カリカンテ、シチリアでは高級品種扱いで、実際、石みたいな硬さと酸の美しさからいって、「シチリアのシャブリ」みたいに比喩したくなります。もちろんシャルドネではないので、単純にそう言い切れるものではないんですけど。
 
そのカリカンテを、シチリアの旨安メーカーであるクズマーノがリリースするようになりました。ちゃんとカリカンテしている。強くて美しい酸、石のような風味、若々しいシトラスの香り。いい白ワインじゃないでしょうか。この十年ほどの間にクズマーノのワインはメキメキおいしくなっているので、値上がりするかもしれません。飲んでおきましょう。
 
 
シャンドン ブリュット NV
 
新発見ではなく、再発見ですね。シャンパーニュがバカみたいに値上がりしているなか、シャンパーニュ互換を買うか、それとも安物シャンパーニュを買うかみたいなことを2023年はいろいろ考えたのですが、数年ぶりに飲んだシャンドンブリュットの完成度の高さにびっくりしました。モエ・エ・シャンドンやマムやヴーヴ・クリコといった大手メーカーより安価で無名なシャンパーニュにはロマンがある反面、だいたいバランスが悪くてどこかしら欠点があるもの。対して、シャンドンブリュットのバランスの良さったらたいしたものですね。「シャンパンっぽい品でちょっとやりたい」なんて時にはこれでいいんじゃないでしょうか。流通状況が良いのもうれしいポイント。ちなみに、はてなブログに最近実装された「AIにタイトルをつけさせる機能」を用いると、このシャンドンブリュットを推すタイトルがやたらと出てきて、AIに贔屓されているのではないか、と少し思いました。
 
 

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by はてなブログ

 
※以下、5000円以上の高級ワインについてちょびっとだけ書いてありますが、別に読まなくてもいいかと思います。シロクマの屑籠の2023年の更新もこれで終わりです。皆さま、良いお年を。来年もどうかよろしくお願い申し上げます。
 

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