シロクマの屑籠

はてな村から引っ越してきた精神科医シロクマ(熊代亨)のブログです。

今年は本気出す。薬理学的に。

 
 2019年度が始まり、令和元年も始まった。
 
 この、節目の年、私は信じられないぐらい忙しい毎日を過ごしている。連休中の空き時間も、ソーシャルゲーム……ではなく文章の作成と資料の読み込みに時間を費やした。
 
 というのも、ちょっとチャンスじゃないかと思う案件に携わっているからだ。今、書いている原稿は、社会適応についての how to 本ではない。現代日本社会を成り立たせる社会の秩序の仕組みと、それによって現代人が享けている恩恵と疎外をまとめた出版企画に、とりあえずのゴーサインが出たから力の限りを尽くしている。
 
 今の世の中には、たくさんの人が便利かつ快適に暮らせるような制度や慣習や空間設計物がたくさん存在している。そういったものによって社会がかたちづくられ、現代人の心もかたちづくられているさまを、過去の文献もまじえながら全身全霊をかけてまとめてみたい──この願いに私は自分の40代を賭けることにした。どんな困難が待っていても、私はこの願いに向かって歩むだろう。
 
 また、最近は色々な方面から色々なお誘いをいただくので、それらに対応するにも時間やエネルギーがかかる。で、言うまでもなく本業は今までどおりに続けていかなければならないし、続けていくべきなので、てんてこ舞いになっているのだ。
 
 

今年だけは本気出す

 
 そこで、私は決断した。 
 今年だけは本気を出す。
 それも、薬理学的にだ。
 
 私は、ある病弱な弱点を抱えた人間なので、自分自身の身体と神経に負荷がかかりすぎると活動できなくなってしまうおそれがある。だから私の信条は「ミッションの可否は補給と休息で決まる」だ。ちゃんと休んで、ちゃんと遊んで、それでやっと仕事がちゃんとできるのが私という人間だと思っている。
 
 そんな私にも、通常をこえたパワーを発揮できる反則アイテムがある。
 

 
 
 コーヒー。
 私はコーヒーがハチャメチャに効く体質なのである。
 
 自分にコーヒーがどれぐらい効くのか、確かめてみたこともある。2017年に行った、コーヒーによって『スプラトゥーン2』の対戦成績がどれぐらい変わるのかを試した実験では、コーヒーを飲んだ時の私はオーバーパワーな戦果を叩き出していた。編集者さんとの打ち合わせの時も、コーヒーを飲むと大変なことになってしまう。思考が猛烈に回転し、テンションも高くなってしまうのだ。ひょっとしたらオーバーパワーがご迷惑なのではないかと思い、最近の打ち合わせの際にはノンカフェインのものを選ぶこともある。
 
 コーヒーを飲んだ時の私は、どう考えてもオーバーパワーで、身体と神経にヘンな負荷がかかっているような気がするので、私はコーヒーの摂取を制限してきた。通常、一週間に2杯以上のコーヒーを飲むことはまず無い。等価交換の考え方で考えるなら、コーヒーで得るものがあるということは、失うものもあるはずである。病弱な私には、それが怖い。
 
 しかし、今年は本気を出さなければならないので、私はコーヒーを飲むことに決めた。
 私にとってコーヒーはドーピング薬物であり、オーバーパワーを呼ぶ反則アイテムだ。
 その危険なコーヒーの使用制限を週4回までとし、コーヒーで原稿を書くのである。
 
 この、コーヒーを使った薬理学的本気によって、私の思考力はクロックアップされ、着想に柔軟性が与えられ、集中力に粘りが生まれる。そのかわり、週末は泥のように眠ることが増えるだろうし、この一年間を終えた後、私は神経と身体を休息モードにしなければならないだろう。
 
 だからこれは、一年限りのドーピングである。コーヒーの力で原稿を書き、コーヒーで都内の打ち合わせ会場を駆けるだろう。
 今年は亥年。私は、コーヒー使って薬理学的に突進することにする。