シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

見知らぬ男や嫌いな男の欲情を、女性は嫌悪する必要があったのでは?

 
リスクを回避し、利益を最大化させるために - シロクマの屑籠
 
 このテキストとid:Masao_hateさんの文章を読み返してふと思った。現在はともかく、狩猟採集社会における女性達は、「見知らぬ男や嫌いな男からの欲情視線」を嫌悪する必要があったのではないか?または、そのような状況において嫌悪感が生まれて男性から逃げることが、淘汰上有利だった時代があったのではないだろうか?
 
 警察も何も無い狩猟採集社会において、もし、ある日突然ゴリラのような男が余所からやってきて女性を強姦したり、集団内でレギュラーな繁殖行為にありつけない男が女性を強姦するような事態が比較的高い頻度で起こっていたとしたら?見知らぬ男や嫌いな男からの欲情視線が、望まない遺伝子の注入・望まない妊娠の強要・協同者のいない子育てのリスクに直結するほどに強姦が日常的なアクシデントだとしたら――心を許さない男性からの性的まなざしから逃げ出したくなる女性は、そうでない女性よりも子孫を上手に残しやすかったかもしれない。逆に、心を許さない男性からの性的まなざしに鈍感な女性は、原始社会の藪の中で、たびたび強姦されては余計なコスト・リスク・ハンディのある子育てを(幾らかとはいえ)高い確率で背負い込んでいたかもしれない。もし、狩猟採集社会で強姦の類が比較的高い頻度で発生していたとするなら、ハイリスクのうえ遺伝子の選り好みも許されない強姦を回避する為のセーフティーとして「そういう男の欲情に遭ったら逃げたくなる」ような心的傾向を発達させた辻褄が合う。ひょっとしてひょっとしたら、現代女性が見知らぬ男や嫌いな男の欲情視線にあれほどナーバスなのは、有史以前に頻発していた強姦が生み出した(行動遺伝学的)防御的反応なのかもしれない。
 
 なお、私の読んだ範囲の進化生物学の本によれば、「かつて、狩猟採集社会で強姦が頻発していたか否か」は「まだ分からない」そうです。あくまでこれは私の勝手な憶測に過ぎません。もしかしたら、似たような事を想像している進化生物学の学者さんもいるかもしれないけれど、今は検証を待つしかない。