シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。現在、忙しいうえブログは実験モードに移行しています。

2021年に出会ったすごく良かったワインたち

 
2020年に出会ったすごく良かったワインたちに引き続いて、2021年に出会った良いワインを数本、(コストがめちゃくちゃ高くない範囲で)挙げてみたいと思います。
 
 
・Cono Sur Sparkling Wine Rose (N.V.) (チリ・ロゼスパークリング)
【2196】Cono Sur Sparkling Wine Rose (N.V.) - 北極の葡萄園
 

 
チリワインのメーカーのなかではコノ・スルは有名な部類だけど、たまたまこのロゼスパークリングとは縁がなかった。で、飲んでみていけていると思ったので紹介。
 
まず、ロゼワインのなかでは桜や薔薇のような香りがとてもしっかりしている。色もすごく鮮やか、はっきりとピンク~朱色をしていて泡立ちもいい。味はすごくフレンドリーで、一部のロゼワインにあるような、酸っぱさや金属っぽさで初心者をひるませる感じじゃない。ロゼという、初心者向けのようで実は難物の多いジャンルのなかでは、こいつは親しみやすさ最上位だと思う。
 
なお、同じコノ・スルでもスパークリングワインじゃないロゼは硬派というか、ワインに慣れている人向けにできているので、普段ワインをあまり飲まない人はロゼスパークリングを買ったほうが幸せになれると思う。世の中、やたらワインに慣れた人間ばかりでもないので、飲み慣れていない人向けにチューンされたお手頃品があるのはすごく大事なことなはず。で、そういう品をコノ・スルが扱ってくれているのはさすが。
 
・Cantina Zaccagnini il Vino "Dal Tralcetto" Cerasuolo d'Abruzzo 2017 (イタリア、アブルッツォ州・ロゼ)
【2163】Cantina Zaccagnini il Vino "Dal Tralcetto" Cerasuolo d'Abruzzo 2017 - 北極の葡萄園
 

 
スパークリングじゃないロゼのお手頃品はこちら。イタリア中部の無名のメーカーだけど、ここはロゼ以外も結構頑張っていて、ハウスワイン水準ながらも価格は上昇傾向。で、この品はロゼに典型的な金柑っぽい香りがしっかりしていて、化粧箱みたいないい香りをちょっとだけ伴っている。ワインは軽々と飲み干せるタイプながら風味はしっかりしていて、薄っぺらいという印象は伴わない。
 
コノ・スルのロゼスパークリングに比べると、ロゼの風味としてはこちらのほうが典型的で、値段を考えればとてもよくできている。どちらも1400円ほどなので、両方を買って飲み比べてみるのも面白いかもしれない。
 
・Colour Field 2016 (南アフリカ、赤)
【2174】Colour Field 2016 - 北極の葡萄園
 

 
今年初めて見かけた南アフリカ産のブレンドワイン。楽天でワインをまとめ買いする際に数合わせ的に購入した。楽天のレビュアーのコメントがマトモそうな雰囲気だったと記憶している。
 
で、ちょっと土臭いワインではあるのだけど、煮豆みたいな香りやインクみたいな香りがしっかり、飲み進めるにつれてビターチョコレートやカフェオレみたいな香りもよぎってくる。コクも果実味もある。でも、南アフリカの安赤ワインならこれぐらい揃っていても珍しくはない。
 
ところがこいつ、それだけではなかった。味や香りが濃厚なわりに、きつく感じられないのだ。ボルドーの安ワインのような落ち着いた飲み心地があり、口当たりもトロトロと気持ち良くて押しつけがましくない。新世界のワインと旧世界のワインの良いとこどりをしたような雰囲気。
 
それと翌日~翌々日も顔つきが結構変わって、野菜っぽい風味が強まったり墨汁や鉄っぽさが強まったり、なかなか飽きさせない。一般に、こういった顔つきの変化はもっと値段の高いワインに期待すべきものなので、結構驚いた。2021年の安赤ワインでは、こいつがダントツ一位。
 
・Francois Carillon Bourgogne Chardonnay 2018 (ブルゴーニュ・白)
【2173】Francois Carillon Bourgogne Chardonnay 2018 - 北極の葡萄園
 

 
ブルゴーニュワインはどんどん値段が高くなって手が付けられない感じになっているので、最近、新規開拓を意識している。で、このフランソワ・カリヨンという作り手の白ワイン。ここのブルゴーニュ・シャルドネ自体も安いとは言えないけれど、いわゆる大御所に比べればまだマシ。でもって、こいつは色こそ薄めながら、ナッツのような飲み口とバターのような風味、それでいて軽々としていて重たすぎる感じでもない。ブルゴーニュの白ワインに期待したくなる立体的な構成に加えて、リンゴみたいなやさしい酸も伴っていてすこぶるうまい。気高さと気安さがこのシャルドネはうまいこと両立している。少なくとも初日はそんな感じで、びっくりしてしまった。
 
ちなみにこの作り手の上位クラスの一級畑の品も結構いけている感じで、高騰するブルゴーニュワインのなかでは良心的価格を保っている。なので、ここのワインを複数本キープして、熟成プロセスを追いかけてみることにした。楽しみ。
 
 
・Benjamin Leroux Bourgogne Rouge 2017 (ブルゴーニュ・赤)
【2202】Benjamin Leroux Bourgogne Rouge 2017 - 北極の葡萄園
 

 
赤のブルゴーニュワインも一品。このバンジャマン・ルルーという作り手もあまり有名ではないのだけど、以前、格上のワインに出会った時に森の香りがいっぱいの、滋養たっぷりの品だったのでマークしていた。で、今回紹介するのはいちばんベーシックな「ブルゴーニュ赤」と銘打たれたこの品。
 
ところがベーシック品でもこいつ、結構いけているのだ。森の腐った切り株みたいなオーガニックな香りを伴っていて、さくらんぼみたいな軽やか&チャーミングな果実味がしっかりある。それと渋みであるタンニン。うまく言えないんだけど、香りとタンニンの風味が溶け合っている気配があり、これもまた気持ち良い。森の赤ワイン、農産物として優れたワインという感じがする。
 
近年のブルゴーニュワイン高騰のせいかもしれないけれども、最近は「ブルゴーニュ赤」といえども高級志向というか、華やかな風味を追求している品が多い。いわば「特級畑や一級畑の赤ワインを縮小再生産したような品」というか。ところがこのメーカーはそうした風潮に傾き過ぎておらず、今のところ、農産品らしさや森のお恵みらしさが前に出ていて、自分的には推したい感じだ。高級ブルゴーニュ赤みたいなものが欲しいなら買うべきじゃないけど、森のお恵みが欲しいならこれはアリ。ここの上位も買って熟成させてみたいところ。
 
  
・Fantini Gran Cuvee Bianco (N.V.) (イタリア、アブルッツォ州・スパークリングワイン)
【2191】Fantini Gran Cuvee Bianco (N.V.) - 北極の葡萄園
 

 
これは、高いシャンパンと同じ形のボトルに入ったイタリア産のスパークリングワイン。ファンティーニというブランドはアブルッツォ州では割と有名というか、手堅いワインを作ることで知られているところなのだけど、このスパークリングワインはかなり変。それも、良い意味で。
 
見た目はレモン色のきれいなスパークリングワインなのだけど、味が面白くて、オレンジと枇杷をミックスさせたような感じだ。パパイヤや桃といった、果肉のしっかりした果物みたいな後味にも感じられ、しばらく飲んでいるうちに、桃ミックスカクテルであるベリーニを連想することさえある。だからこのスパークリングワインは「すっきり」とか「すっぱい」という言葉が似合わず、なんというか「肉厚」で「こってりしている」のだ。だからフランス産のシャンパンはもちろん、スペイン産のカヴァや同じイタリア産のスプマンテなどともだいぶ雰囲気が違う。これが面白く、意外と旨い。
 
イタリア産のヘンテコワインの常として、この品も土着品種で作られていて、その品種名はココチオーラというんだそうで。初めて聞きました。ちょっと変わり種の品が欲しい人にはおすすめ。
 
 

今年は見知らぬフランスワインが面白かった

 
去年は「手堅いフランスワインばかり買うのはよしておこう」と思い、いろんな地域のワインを呑んでまわったし、それが今回のリストアップにも反映されたつもりだ。けれども実のところ、2021年に色々飲んで思ったのは、「いやいや、でもフランスワイン打率高いっしょ」だった。今回ここで挙げなかったけれども、ドメーヌ・デ・ザコルシャトー・ペスキエといった、名醸地からちょっと外れたところで頑張っているフランスの作り手のワインもかなり良かった。勝手のわからない作り手に挑戦し、ちゃんと面白い見返りがあるのはありがたいことだ。
 
それと自分がブルゴーニュ贔屓であることを差し引いても、3000~4000円のブルゴーニュ赤やブルゴーニュ白の打率がものすごく高かった。あれっ?この価格帯のブルゴーニュってこんなに旨かったっけ?と首をかしげることもしばしば。10年ほど昔なら、もう2~3000円高い価格帯で出会っていた味が、今は3000~4000円でアクセスできている気がする。ブルゴーニュワインの特級と一級は値上がりし続けているけれど、ベーシック品については値上がり一辺倒とも言えないのかも、と思った。や、値上がりしている銘柄はもちろん値上がりしてはいるのですが。
 
こんな感じで、一年経って気が付けばフランスワインに回帰してしまった。フランスワイン、層が厚い。