『魔法少女まどか☆マギカ』を映画のスクリーンで眺めたら幸せだろうなと思って、公開初日に見に行ってきた。概ねテレビ版に沿った内容で、現時点では大きなストーリー上の逸脱は無かった。だからネタバレを気にせずに所感を書き残しておこうと思う。
【鑑賞環境とチケット購入時の状況】
・田舎の国道沿いのシネコンにて前売り券を購入。公開初日の最初の時間帯にもかかわらず、一時間前に映画館に行って空席が30席ぐらい余っている感じだった。グッズ売り場にはたくさんの品が置かれていたが、「まどかとほむらのピンク色のクリアファイル」(参照:→こちら)だけは異常に枚数が少なくなっていた。幸い、ストックは大量にあるらしく、なくなって暫くしたら店員さんが在庫を補充していた。
・観に来ているお客さんの男女比は6:4程度、意外なほど女性比率が高い。女性はほとんどが十代〜二十代で、単独で来ている人もいれば数名程度のグループで来ている人もいた。ちょっと前のゲーセンによくいたような、自意識の高そうな*1格好の女性はあまり視野に入らず、屈託の無さそうな身振り・服装の女性が増えていた。
・男性は、若い男性のほとんどは二人以上で観に来ていて、一人で観に来ている人は少なかった。多くはきちっとした身なりをしているか、少し洒落た格好を心がけているような案配。ただし「邪気眼全開」みたいな自意識の高そうな男性は視界内には入らなかった。一方、三十代後半以上の男性はほとんどが一人で観に来ていた。国道沿いのシネコンのせいもあってか、服装的にも伝統的なオタクスタイルに近い中年男性を一定数確認。
・カップルの姿はそれほど多くは見かけないが、こちらはもう少し年齢が上で、男女ともに二十代後半〜三十代後半といった雰囲気。
これが、魔法少女アニメの客層、それも東京ではなく田舎のシネコンにおける客層なのかと思うと、時代が変わったなぁとしんみりせずにいられない。若い世代には、割とカジュアルな娯楽として『魔法少女まどか☆マギカ』が鑑賞されているということか?『新劇場版ヱヴァ 破』の時も驚きはあったが、今回はそれ以上に館内のカジュアル度が高く、若い世代の屈託のない話し声と笑顔で賑わっていた。
てっきり私は、「田舎で魔法少女モノの初回上映に行きたがるような人は、年季の入ったオタクぐらいのものだろう」とたかをくくっていたが、現実はどうだ!若い世代が、男女を問わずにたくさん観に来ていて、古強者は全体の2割にも満たなかったのである。これには軽いショックを覚えた。そして、年若い男性の多くがグループやカップルで鑑賞しているのとは対照的に、中年男性オタク達はというと、それぞれがスタンドアロンに映画館に来ているのである。現代の界隈の情況とは、こういうものなのか…。
【内容について】
・ストーリー的には、テレビ版の第一話〜第八話までに相当する内容で、現時点ではシナリオ変更の兆しは見かけなかった。さやかが魔女化し、キュウべぇが「この国では成長途中の女性のことを「少女」って呼ぶそうだね。だったら、やがて『魔女』になる君たちのことは『魔法少女』って呼ぶべきだよね」という例のシーンでスタッフロールへ。
・この、「ほとんどの視聴者が一度きりしか見ることがないであろう前編」に新しい伏線を仕掛けるような意地悪をしてくるとは考えにくい。なので、どうしても忙しくて劇場版前編を見る暇が無い人は、後編だけ見てもそれほど困らなそう。自宅のDVDやBDで八話まで見返してから劇場版後編を見ても、一応、事足りるとは思われる。
・ただし、劇場版はやっぱりでかい&迫力が違うのと、家庭環境では聞き逃していた音が聞こえやすかったりして面白かった。マミさんの身体が貪り食われている時のグチャグチャ音をはっきり聞きとれたのは今回が初めて。なにより、マミさんの変身シーンが一層素晴らしく、一層讃えられるべきものに変わっていて、しかも二回目の変身シーンでは専用の歌詞までついている!観ているこっちまで何も怖くなくなってしまいそうだ!でもやっぱりマミさんは食いちぎられてしまうのであった。
・そのほか、第一話冒頭のトマト畑や第四話の背景の工場群のグラフィックなど、微妙に書き換えられている箇所多数。まどか邸の洗面所背景の鏡の枚数増加など、そのせいでかえってゴチャゴチャしている箇所もあったけれど、全体的にはグラフィックが強化されていた。
・本来、190分くらいの内容の話を上手に圧縮していたと思う。腕の治った上条恭介が食べ物をがつがつ食べるシーンのような、なくても大して困らないシーンは積極的にカットされ、まどかと母親の会話のような、後々になって重い意味を持つシーンはしっかり残されていた。初めて『まどか☆マギカ』を観る人には最適のダイジェスト版になっていたと思う。
ともあれ、劇場のスクリーンで魔法少女の変身シーンや戦闘シーンを拝めるのは大きな歓びなので、TV版ですっかり魅了されたような人なら楽しめるっぽい。なにより、マミさんへのテコ入れがしっかりしていたので、マミさんが好きな人には特にお勧め。
*1:注:自意識の強そうな、ではなく、自意識の高そうな