シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

何もしたくないけどモテたい→付き合ってからも全部世話されたい

 
 「何もしたくないけどモテたい」という人や、「白馬に乗った王子様を何もせずに待っていたい」という人をみかけた時、多くの人は「ものぐさ」「めんどうくさがり」といったイメージを抱くかもしれません。
 
 でも本当にただの「ものぐさ」「めんどうくさがり」でしょうか。
 
 
 よく考えたら「ありのままの俺(私)を愛して欲しい」でもあるし、
 
 一歩踏み込んで考えるなら「異性に何もしない俺(私)でも愛して欲しい」でもあるんですよね。
 
 俺は何もしたくないし、俺はキミのために行動や容姿を変更したり我慢したり努力したりするつもりもない。けれども愛して欲しい、というわけです。ただ単に「ものぐさ」なだけではなく、異性に対する極端な依頼心をも暗に示しているようにみえます。
 
 
 【演歌に出てくる女性のような忍耐が、あなたにはありますか?】
 
 では「何もしたくないけどモテたい人」や「白馬に乗った王子様を何もせずに待っていたい人」と実際に付き合い始めたらどうなるでしょうか?
 
 “誰がそんなやつと付き合うもんか!”と笑う人もいるかもしれません。
 ところがどっこい、意外とそういう可能性もあるんですよ。この種の人のなかにも、たまたま他の魅力にも恵まれているような人――すごい美男美女とか、ある特定の分野の珍しい才能を持っているような人とか――が、時々いたりしますから。
 
 残念なことに、この手の人達は付き合い始めても今まで通りの生き方を曲げません。なにしろ彼/彼女の基本方針は俺はキミのために行動や容姿を変更したり我慢したり努力したりするつもりもない。けれども愛して欲しいなんですから、わざわざ交際相手のために何か頑張ろうとするわけがないのです。
 
 もし、この手の人達と付き合うとしたら、付き合い始めてからも相手の助力を期待するのは難しいでしょう。交際をキープするためのお膳立てや手間暇も、殆どすべてあなた一人でやっていかなければなりません。恋は二人で育むものといいますが、相手がひたすら受動態でいたいばかりなら、一人で二人分がんばるほかない、というわけです。あなたがひたすらに恋を育てて、彼/彼女がひたすら恋を受け取るという一方通行を、独り相撲と思ってしまうような人には、「何もしたくないけどモテたい人」「白馬に乗った王子様を待っていたい人」は禁忌です
 
 演歌に出てくる女性のような忍耐がない限り、きっとあなたは空しさに耐えかねて途中で泣き出すことでしょう。また、相手の方も、途中で態度を変えたあなたに対して、感謝するどころか「頼んでもいないのに俺に惚れて、勝手にあれこれ俺に求めて、勝手に心変わりした奴」となじるかもしれません。「何もしたくないけどモテたい人」や「白馬に乗った王子様を何もせずに待っていたい人」とこれから付き合いたいという人は、自分自身にそこまでの特別な覚悟と忍耐があるかどうか・相手にそこまで賭ける値打ちがあるかどうかしっかり確認しておいたほうが良さそうです。生半可な気持ちでアプローチしても、お互い痛い目をみるだけですよ。