シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

「私にとって良いブログ」

 
 はじめまして。はてなブログに引っ越してきたインターネット大好きおじさんのシロクマと申します。
 
 引っ越しに際してどれぐらい“代償”を支払わなければならないのかドキドキしていましたが、はてなブックマークが4000、アクセスカウンタの数値が100万ほど減った程度で済みました。はてなダイアリーからのリダイレクト機能は意外と頑張ってくれたみたいです。
 
 この機会に、これから目指すブログライフについて自己確認をしてみます。
 
 私は、このブログを「良いブログ」にしたい。
 
 ここでいう「良いブログ」とは私自身にとっての「良いブログ」であり、はてなブログ全般に適用できるような一般論ではありません。ブロガー個人個人にとっての「良いブログ」のかたちはブロガーの数だけあるわけで、自分自身にとっての「良いブログとは何か」は各人各様に想定しておくべきテーマでしょう。
 
 で、私にとっての良いブログとは。
 

  • 1.自分自身が読んで面白いブログ

 
 10年前から書いていることですが、まず、このブログの読者は自分自身です。自分が読んで面白い・刺激になる・快い気持ちになれる……といった喜びが得られないようなら、ブログなんて書いたってしようがないと思います。そういう意味では、不特定多数に読まれることを前提としたブログより、ダイアリー的なブログのほうが私にはお似合いなのかもしれません。
 
 実際、自分自身の疑問・怒り・喜び・発見を書きなぐった過去ログは再読しても飽きません*1。これこそ、個人ブログの財産ではないでしょうか。まだ思春期の尻尾がついていた頃の私は、急激に変わっていくオタク界隈に反応しながら、自分自身の社会適応と過酷な世界との折り合いについて真剣に考え、書き綴っていました。そんな昔の思考の軌跡を追いかけられるのは、ブログを書き続けていたおかげです。
 
 だから私は、現在の私のブログ記事も5年後・10年後の私自身にしっかりと届けたい――そういう意識でもって、自分に嘘をつかないブログを書き綴っていきたいと思います。
 
 

  • 2.インプットの一部になるようなブログ

 
 よく、「ブログはアウトプットだ」「ブログのネタが切れる」という言葉を耳にします。
 
 そうでしょうか?ブログとはアウトプットであるとともにインプットであるべきでしょう。少なくともそういうブログライフはあり得ます。
 
 なるほど、「自分がよく知っていること」を文字列にしただけのブログ記事なら、それはインプット的要素を伴わないかもしれません。ブログライフの選択によっては、そういう記事が大量に必要になるブロガーもいらっしゃるでしょう。
 
 しかし、自分がまだよく知らないことをブログに書いたり、今、考えている最中の案件をブログに散らかすぶんには、インプットとしても一定の役割を果たすのではないでしょうか。
 
 ブログ記事ひとつひとつを「商品」とみなす人にとって、よく知らないこと・考えている最中の案件をブログに書くのは禁忌かもしれません。「顧客」に提供する「商品」の質は、高くなければなりませんからね?
 
 でも、私自身が考えるためにブログ記事を書いたり、はてなブックマークやトラックバックといった形式で他人から知恵を借りたりするためにブログを書くなら、ブログ記事は単なる「商品」ではありません。ブログ記事はそれ自体が「知る」「考える」ためのプロセスたり得ます。記事が次の記事を生んでいく。
 
 私は、この『シロクマの屑籠』というブログとその周辺で、もっと考えたり、もっと知ったりしたいのです。だから、未熟・未完成な思念、素材そのままの文章もドシドシアップロードしていきます。「正答を知っていなければブログに書いちゃ駄目」なんてルールはどこにも存在しないわけですから。
 
 

  • 3.人間世界を広く眺められるためのブログ

 
 私は、私自身の社会適応をなにより重視します。その手段として他人の社会適応も気になるし、転じて、社会とは何なのか・現代社会における個人の適応とは何なのかにも興味を持っています。
 
 人間は、歳月や社会的立場とともに変わっていきます。
 社会もまた、刻一刻と変わっていきます。
 
 変化を前提とした一度きりの人生・一度きりの時代のなかで、人間達は十人十色な社会適応を毎日のようにアップデートしています。だから、社会も個人の社会適応もミズモノと捉えるのが正しいのでしょう。でも、そういう移ろいゆく社会と数多の社会適応を、私はブログ上で蒐集し、虫ピンに留めてみたいのです。マクロな社会もミクロな個人の適応も、今この瞬間にしか現れない、一度きりの「現象」だけれど、だからこそ、その儚い瞬間を私は愛したい。
 
 私が2001年に開設したウェブサイトの名前は『汎用適応技術研究』ですが、当時の気持ちは今も変わっていません。私は、人間と人間がつくった社会をもっと見たい。もっと知りたい。
 
 

  • 4.誰かと親しくなれるブログ

 
 私は承認欲求と所属欲求が大好きです。だから、他のブロガーやブックマーカーといった人達との意見交換やキャッキャウフフを求めています。
 
 ブログと日記帳の大きな違いは、文章が自分の小宇宙に完結せず、他のブロガーの小宇宙と繋がるかもしれない点です。トラックバックや被リンクで繋がっただけで、私はひとつの「議論」が成立したと考えています。そればかりか、ブロガー同士の歯車が噛み合ううちに承認欲求や所属欲求が良い具合に充たされる瞬間もあるんですよ。
 
 不特定多数の一見さんからPVを集めるタイプの承認欲求には果てがなく、一見さんからの反応には人格としての連続性が無いし、Yesと言われたらYesでしかなく、Noと言われたらNoでしかありません。でも、ブロガー同士・はてなブックマーカー同士の間柄には、ときに、否定的な見解も受け入れられるような、そういう関係性が生じると感じるんですよ。イエスマンじゃなくても承認欲求や所属欲求を充たせるネット上の関係性って、私は素敵だと思うし、これならネット越しでも人格を成熟させていく余地があるんじゃないかと期待しています*2。もちろん、誰彼構わずこういう関係性が成立するわけではありませんけどね。
 
 私は、孤独なコンテンツプロバイダーになりたいのでなく、誰かとインターネットシーンを共有し、「議論」や情緒を分かち合うようなブロガーになりたい。
 
 
 【結局いままでと変わらないような気もしますが】
 
 いざ書き出してみると、10年間はてなダイアリーでやってきた事とあまり変らない所信表明ですね。それだけに、これが私が欲しがっているブログライフなんだろうなと信じられる気がします。
 
 「私にとって良いブログ」が、他のブロガーにとって良いブログかと言ったら、そうとも限らないでしょう。でも私はこういう「ダイアリー感覚」で、視界内に存在するブロガーやブックマーカーに目配りしながらはてなブログをやってみます。
 

*1:そのためのはてなブログproですよ!広告も出ないし文字も読みやすいし。快適なインフラです。

*2:オフ会で、数年に一度程度でもいいからコミュニケートできるなら可能性はもっと高くなります。