シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

あるブロガーの、艦これ2014夏イベント

 

ねんどろいど 艦隊これくしょん -艦これ- 大井 ノンスケール ABS&ATBC-PVC製 塗装済み可動フィギュア

ねんどろいど 艦隊これくしょん -艦これ- 大井 ノンスケール ABS&ATBC-PVC製 塗装済み可動フィギュア

 
 『シロクマの屑籠』所属の“シロクマ艦隊”の歴史は浅い。
 
 スタートしたのが今年はじめなので、本格的に『艦これ』イベントに参加するのは初めてだ。心ゆくまで悶絶、もとい満喫しようと思い、準備に時間をかけ、記録を書き綴ってきた。最近、自分自身のゲーム体験をあまり振り返っていなかったので、良い欲求代償になったと思う。
 
 
 
 【イベント開始前の状況】
 
 司令レベル102。燃料弾薬は8万、ボーキサイトは7万を用意した。バケツは1150個もあるので、絶対足りるでしょう。
 
 正規空母と戦艦のレベルは軒並み90台、軽巡と駆逐艦も70台がかなり揃っていたのでたぶん大丈夫。とはいえ、育成期間が短いため重巡と軽空母の層が薄く、雷巡は北上65大井61木曾65と頼りになりそうにない状態。“雷巡は勝手に育つ”というネットの言葉を真に受けて放置していたせいで、全く育たなかった。※これが、後々の心配の種となっていく。
 
 仕事の都合もあって、夏イベントには8月10日から参加し、お盆の間は少しずつしか遊べないと想定された。お盆を過ぎれば時間的に少しゆとりが生じそうだが……。
 
 
 【AL攻略】
 
 アリューシャン列島攻略。1.5線級の人達で、出来るだけ艦数をケチるつもりで。
 
 日向70、衣笠55、神通62、北上65……ここまではいいとして、追加として正規空母・軽空母・重巡をどれぐらい使うのか?「E-6で軽空母を使う」らしき情報は把握していたにせよ、この時点ではまさかE-6までやるとは想像していなかったので、隼鷹79と瑞鳳73、愛宕73の三隻を選んだ。鬼の神通&愛宕・意外なほど強い衣笠が大活躍。
 
 羅針盤にもあまり虐められず、8/10にE-1、8/11にE-2をそれぞれ攻略、資源もバケツも殆ど減らず、順風満帆な滑り出し……のようにみえた。
 
 
 【MI攻略】
 
 8月12日からはE-3の攻略へ。羅針盤や制空権の問題から、第一艦隊は90台の一航戦と二航戦、金剛98と比叡94、第二艦隊は電80、ヴェールヌイ75、天津風81、鬼怒73、羽黒74、鈴谷72、時雨73で押し通せた。装備はwikiほかを参照した、わりと普通なもの。
 
 最初は連合艦隊ルールに戸惑ったけれども戦闘そのものは順調で、ざくざくゲージを削ってゆく。お盆期間に突入したため、途中からはゆっくりペースになったけれども、そのお陰で資源やバケツの収支がプラスに転じた。
 
 8月15日に、E-4に突入。大破撤退を経験したので、大淀さんから貰った司令部を装備してみたが、装備したとたん、大破しなくなった。その後もE-4の苦しみは専ら羅針盤のせいだったので、撤退予防としての司令部の出番は無かった、と思う。次の次のイベントあたりで重要になるのか、それとも役立たずで終わるのか……。>司令部
 
 8月16日からはE-5の攻略開始。「最初の羅針盤で下ルートが出た時だけ戦い、上ルートは即撤退」と割り切ったお陰か、下ルートばかり引きまくって楽勝展開に。ボスはさすがに手強い……と思いきや、ボスの取り巻きが弱いおかげで、夜戦突入時にはいつもボス単体になっていた。どんなに強いボスでも、単体じゃあ夜戦の餌食になるしかない。
 
 結局、MI作戦は8月18日には終了。お盆期間を挟んでダラダラやっていたお陰か、資源は殆ど喪失せず、バケツも50個ほど減っただけで済んだ。
 
 
 【「これでやめるか?」「続けるか?」】
 
 さて、これからどうするか?
 
 手許には、殆ど手付かずの資源とバケツが残っている。大和も長門も陸奥も揃っているし、空母では一番レベルの高い5航戦も温存してある。ここでE-6を諦めるなんてとんでもない!攻略するしかない!今までが楽勝だったんだから、たかが1面くらい楽勝でしょう……。
 
 今から考えると、なんと安易な決定だったことか!
 
 しかも悪いことに、wikiや攻略サイトを見る限り、E-6でルートを固定するためには「軽空母2」か「重巡と航巡の合計値が2」でなければならない様子。手許に残っている軽空母は龍驤79、飛鷹66。重巡&航巡のほうは、68の妙高はともかく、次点は最上55なので到底使えそうにない。もし、ご自慢の5航戦を繰り出したいなら、最上を使わなければならない――。
 
 それぐらいならと思い、とりあえず軽空母組でやってみると……おお、あっさりいける!twitter越しに聞こえてくる「E-6は地獄」という呻きが嘘のように、サックリとボスに到達、着実にゲージを削り始めた!大和91、長門82、陸奥95を使っているので資源は減りまくるけれど、とりあえずボスのゲージは削れる。2割ほど削ったところで飛鷹のレベルも70台になったので、私は「これでいこう、E-6なんてたいしたことないな!」と思い込んでいた。
 
 この時点までは。
 
 
 【8月19日〜21日の戦い】
 
 盆明けの平日は、断続的にE-6に挑戦する状態が続いた。手空きの時には嫁さんが艦隊の指揮を執ってくれることもあったので、それなりの頻度で戦闘できていたと思う。
 
 とはいえ、一日に2ゲージ削れればラッキー……と思わざるを得ないような苦戦が続く。キラ付けを3重に施した軽空母が何度も何度も大破していく。さりとて、軽空母にダメコン要員を積めば今度は戦艦が大破を繰り返し……なんだこの悪意に満ちたシステムは!
 
 「2回に1回ぐらい削れれば上等」と思っていたボス到達率が、「3回に1回で上等」「いや、4回に1回で上等」とだんだん下がってきた。艦隊の平均レベルは上がってきている筈なのに……。
 
 資源もモリモリ減ってきた。7万台をキープしていた資源は、いつの間にか5万を切り、4万を切っていた。幸い、ボーキサイトとバケツの減りは予想を下回っていたけれども、燃料と弾薬の減少は相当なものだった。中途、大和が凄まじい勢いで燃料と弾薬を貪り食っていることに気づいたけれども、もし大和を外せば、次点は榛名86になってしまうので、資源の減少には目を瞑って戦うしかない、と判断することにした。
 
 (こんな戦い、いつまで続くんだ……)
 
 『艦これ』は海戦ゲームってことになっているけれど、このイベントは、むしろ陸戦、とりわけ攻城戦を連想させる。攻撃隊を編成しては、難攻不落の城塞に波状攻撃をかけているような。そして岸壁にうちつける波のごとく砕け散っていく我が艦隊。E-6要塞は本当に堅く、空母棲姫の言葉どおり、「何度でも、何度でも、沈められてしまう」のだった……。
 
 
 【撤退、撤退、また撤退……】
 
 8月22日の昼休みには、ゲージは残り5目盛りほどになっていた。あと1、2回S勝利を獲得すれば、ボスが最終形態に化けてくれそうな按配だ。燃料が2万を切って、残量に神経質にならなければならなくなった。このままのペースで戦い続けると、8月25日頃には燃料が枯渇すると予想された。はたして、E-6に、のるか、そるか。
 
 プレイヤーの不安を見透かすかのように、急にボスに到達しなくなってきた。今までボスに到達できた編成・装備で何度挑んでも辿り着かない。空母棲姫どころか、軽空母にまでワンパン大破を食らって撤退する始末。
 
 この、「ボスに辿り着きそうで辿り着かない」状態、シューティングゲームのボス攻略前の“足踏み”にも似ているなと感じた。血の汗をかきながら『バトルガレッガ』や『怒首領蜂』のラスボス攻略をやっていた頃の心理状態にどこか似ている。運の気まぐれによって何度も苦汁を飲まされ、ボス前に難所が置かれているあたりも、『バトルガレッガ』に似ていると感じた。まさか、ブラウザゲームで精神の屍山血河を築くなんて!*1
 
 しかも、シューティングゲームのボス攻略と違って、『艦これ』には資源というギミックがあり、燃料や弾薬が尽きてしまえば攻略が頓挫してしまう。足踏みを続けていれば、いずれ敗北してしまうのだ。連敗が、重くのしかかってきた。
 
 それでも私は負け続け、8月23日には10連敗を記録した。なんだよこれ、このゲームツマンネ!ああ、何年ぶりだろうか、こういう状況で叫ぶ「このゲームツマンネ!」は。
 
 もはやこれまで……と思ったその時、嫁さんがキラ付けもやらずにE-6に乗り込み、ザックリとボスの体力ゲージを削ってくれた。それも、二連勝!「人事を尽くして天命を待つ」私の『艦これ』ストラテジーをせせら笑うような嫁のリアルラック。なんてひどい運ゲーだ!それとも、キラ付けなんておまじないなのか??
 
 まあ、逆に考えるなら、これだけ運がモノを言う乱数のゲームだからこそ、じっと耐え続けること、戦い続けて運を引き寄せることが、大切なのかもしれないけれど。
 
 ボスが最終形態になっているのを確認した後、眠りについた。前日はひたすら負け続けてうなされていただけに、やっとまともに眠れるような気がした。
 
 
 【最終局面】
 
 8月24日。どうにかボス最終形態を迎えたはいいけれども、今の編成でボスを撃破できる気がしない。大和と妙高はともかく、長門と陸奥はボスに有効な打撃を与えられたためしが無い。特に、陸奥は何度も何度も何度も何度も大破撤退で足を引っ張っていたので、もっと打撃力のある艦娘に交代したい……と思っていた。
 
 うちの港には強い雷巡がいない。一番マシな北上はアリューシャンに出撃済みで、木曾の雷撃ではパンチ力がちょっと足りない。数日前から、迷いのうちに大井のレベル上げをしていたけれども、それでもレベルは67。でも、これ以外に選択肢はあり得ない。低レベル艦をE-6に出したら即座に火だるまになるような気がしたけれども、大井さんの一撃に賭けてみることにした。
 
 ところがどっこい、大井さん、ダメージを食らわない!どんどん避ける、どんどん削る、一番低レベルなのに、鬼のように働いている。なんだよ、雷巡ってインチキユニットだったのか?
 
 ちょうどこの頃から、空母棲姫で中破大破を食らわなくなってきた。ボスの攻撃も軽空母に吸われはじめ、なにやら運気が変わってきた気配。十連敗を喫していた頃とは正反対の、プレイヤーにとって都合の良い攻撃が続く。勝ちきれないけれども、なんだか押している。
 
 8月25日。昼間の攻撃でボスに大和が150ぐらいのダメージを与えた後、中破した大井がボスに魚雷一発カットイン!残りHPは55。そこに中破した妙高がカットインを決めてボスを撃破、A勝利をもぎ取った!
 
 

 
 ・勝利をおさめた攻略メンバー*2。Eお疲れ様でした。

 
 さらばE-6、もう二度とやらないぞ!
 
 
 【勝因、反省、韜晦】
 
 勝因は「あきらめが悪かった」これに尽きる。途中、10連敗を喫して心が折れそうになったけれども、戦い続けるうちに運が回ってきた。大井さんを旗艦にしてからは、異様に運が向いてきたというか、レベルの低さを補ってあまりある活躍ぶりで、別のゲームみたいだった。これからは雷巡をちゃんと育てよう。
 
 軽空母と重巡/航巡の選択肢の乏しさに泣かされた。うちは千歳/千代田を育てておらず、レベル70台以上の重巡/航巡が4隻しかいない。次に連合艦隊イベントがやって来た時、このままではどうにもならないだろう。
 
 なにより「E-5でやめるつもり→でもE-6やってみる」は大失敗だった。はじめからE-6を攻略するつもりで艦隊を編成していたら、ここまで資源を垂れ流す結果にはなっていなかったはず。
 
 今回のイベントは、表面的には「大勝利」と言えるし、攻略失敗よりはずっと良かった。ただ、これだけ沢山のゲーム内資源を費やし、リアルでも時間と精神エネルギーを費やし続けたのは、社会適応的には赤字だったと思う。E-6を3日くらいで攻略しなければ、多忙な社会人の娯楽としてペイしない。
 
 でも、ゲームプレイの醍醐味というか、「のるかそるか」、勝てる見込みの定まらないハードルに持てる力を振り絞ってトライする喜びみたいなものは久々に体験できた。なにが「社会人の娯楽としてペイしない」だ!ゲームはこうじゃないと!
 
 シューティングゲームであれ、シミュレーションゲームであれ、一番興奮するのは「のるかそるか」に向けて準備し、全力で食いつく過程と、とうとう突破した瞬間だ。たかがゲーム、いや、ゲームだからこそ、リアル世界ではおいそれと挑めないようなトライアルにも挑戦できる。ゲームでもリアルでも、全力ってのはいいもんだ。負ける場合も、その時は全力を尽くしていなければならない。それによって現在の己の力を推し量ることができるし、それもひとつの獲得だ。
 
 ゲームで勝ち得た喜びは、日常生活で自分が勇気や根性を振り絞る支えにもなる。だから、長々と時間をかけ、多分に無理な編成で勝ち取った勝利を、明日からの教訓にしよう。そして困難に出会った時には、この苦痛と凱歌を思い出そう。とまれ、シロクマの艦隊は勝利をおさめたのである。
 

*1:ただし、プレイヤー自身のミスが殆ど無くても足踏みを余儀なくされるあたりはシューティングゲームと違っていて、そのぶん、運や気まぐれを歯がゆく思う気持ちがいや増すのであった。

*2:装備は、大井69[五連装酸素魚雷×2、甲標的]妙高81[五連装酸素魚雷、20cm2号、20cm3号、零観]大和96[46cm×2、徹甲弾、零観]長門92[46cm×2、徹甲弾、夜偵]龍驤87[烈風、烈風改、彩雲、二式]飛鷹81[烈風、友永隊、江草隊、彩雲]