シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

えー?でも私は『艦これ』をめっちゃ楽しんでますよ?

 
全員を不幸にさせ続ける「艦これ」の「難しさ」 - 深海の底から
 
 リンク先の記事、だいたい良いことが書いてあって面白いんですけどねぇ。
 

 イライライライラと。
 緩やかなソーシャルは今や鉄火場だ。
 この地獄を作り上げたのは、運営に他ならない。
 お見事。すべての人を満足させるのは難しいけど、すべての人を不幸にするのも難しい。
 すべての人を不幸にする。それをやり遂げた運営には拍手しかない。

http://dottyanen79.hateblo.jp/entry/2015/08/26/174558

 
 ちーっす。艦これ夏イベントを楽しんで幸せいっぱいなシロクマと申します。私は艦これプレイヤーですが、「全員を不幸にさせ続ける」なんて運営さんに思っていませんよー。
 
 今回の夏イベントでは、私は前半戦で苦しみました。E-1甲を水雷戦隊で戦っていたんですが、緒戦からボコられてボコられて。これまでのイベント傾向から「今年の夏は、少数の艦娘だけ高レベルにしても勝てない」「重巡〜駆逐艦のレベルアップを、広く薄く狙うべき」「戦闘補助艦艇のレベルを早く上げておこう!」と考え、その準備を積み重ねてきましたが、それでもE-1甲に投入した水雷戦隊はボコボコにやられてしまいました。
 


・E-1甲でいきなり苦戦。気持ちが引き締まりました。

 
 E-2も予想以上に手間取ったので「こりゃ今回のイベントは時間がどれだけあっても足りないぞ!」と思い、E-3、E-6は乙レベルで済ませることに決めました。E-7が非道なのは想像できたので、プレイヤーたる自分自身のメンタルコントロールを考えると、道中でラクをしなければイベントに耐えきれなくなると予想されたからです。ちなみに、甲レベルと乙レベルの報酬アイテムの差は1000円払って前借り的に購入して、E-3以降担当の駆逐艦に配ってしまいました。前借りした補強増設には、ずいぶん助けられましたよー。
 
 こうした対策もあってか、今回のイベントでは勝利の女神はすぐに微笑んでくれました。もちろん、運営さんが情報を出す前に血路を開いていったプレイヤーさん達のお陰様であり、そういう人達への謝意のうえに成り立った勝利ですが。
 


・E-7甲、最終第一戦。昼間の砲撃で決着!ばんじゃーい!

 
 今回、うちの北極艦隊には「ケッコンカッコカリ」を施した艦娘がそれなりにいて、甲勲章を狙えるポジションだったと想定していましたが、甲勲章を取得した他の提督さん達の艦隊に比べて優れていたかといったら、そうではなかったと思っています。なにせ「蒼龍を養殖する」レベルには達していないわけですから。ただ、今回は運に恵まれたのにくわえ、冬イベントが終わった直後から*1この夏の決戦を想定し、レベル上げ配分と資源蓄積を計画的に行い、読み通りの大規模作戦が来たから勝てたのだとうぬぼれております。
 
 もちろん、今までのイベントでは苦しい思いもしました。
  
 [参考]:あるブロガーの、艦これ2015冬イベント - シロクマの屑籠

 
 上記リンク先なんかは、まさにそうですね。最終決戦の時には頭が完全に逝ってました。読みが当たった部分もあれば読みが外れた部分もあり、外れた部分*2では打ちのめされました。この時のイベントで甲勲章が取れたのはぎりぎり運が良かっただけで、今にして思えば無謀な挑戦で、プレイヤーの力で勝ったうちに入らないと思います。猛省しました。
 
 「艦これ」の何が面白くて、何が面白く無いのかは人それぞれでしょう。私の場合は「イベントに備えて準備し、イベントで本領を発揮する」大戦略にあると思ってます。もちろんこれはゲームに馴染み始めた頃には無かったことで、遊び始めた頃は素直に艦隊の成長とコレクションを楽しんでましたけどね。でも歳月が経つうちに「俺の艦これの遊びかたは、イベントに向けて艦隊をメンテナンスし、イベントを年に四回の本試合だと思って楽しむことだ!」に考えが切り替わりました。
 
 だから私は、艦これを「部活動ゲーム」みたいに楽しんでいるふしがあります。提督っていうより、部活の監督さんでしょうか。普段は、試合やコンクールに備えて地道に訓練や備蓄を重ね、イベントは、それまで培ってきたパワーを一気に放出する晴れ舞台。そういう、ハレとケの緩急、メンテナンスとアクティブの往復運動を私はたぶん楽しんでいるのでしょう。
 
 それと「運をいかに殺すか」。勝利の女神はきまぐれで、そのきまぐれを戦争計画と目標設定によっていかにカヴァーするか。最初、私は艦これを運に強く依存した戦術ゲームとして遊んでいましたが、去年の終わりぐらいから「運」をいかに除外するか・せめて「運」に裏切られた時のダメージコントロールを考慮しながらスケジュールをどう決定するかを楽しむゲームとして遊ぶようになりました。海域それぞれの戦術は(良くも悪くも)wiki任せになってしまうけど、海域全体で何を勝利条件とするのか・二つぐらい先のイベントをどう見据えるかといった、戦略〜大戦略のレベルではwiki任せにはいきません。自分の艦隊・プレイヤー自身の諸事情を勘案しながら決定していくしかないし、決定していくのが楽しみだと感じます。
 
 史実のフレーバーを帯び、先読み的な戦争計画を妄想し“仕掛けられる”のも、私は艦これの長所のひとつだと思ってます。人によっては短所かもしれませんが。ともあれ自分の戦争計画のアテが外れたら、ハンカチを噛んで悔しがるまで。
 
 こうした楽しみ方の背景には、私がゲーセンでシューティングゲームの攻略に励んでいたってのもあるんでしょう。ゲーセンのシューティングゲームは時期が来たらゲーセンから撤去されるので、限られた時間のうちに攻略しなければならない――そういう点では、艦これのイベントに似ているっちゃ似ているんですよね。新しいゲームがゲーセンに入荷されない時期も自分の腕をメンテナンスし、新しいゲームに備えなければならないとか、そういうところも似ています。私は、シューター現役時代の楽しみに近い成分を艦これイベントから吸収しているんでしょう。
 
 

良いことおっしゃっているけど「全員」とはこれいかに。

 
 だからリンク先の文章、というよりタイトルを眺めていて、私はカチンと来たんです。いや、釣られたわけですね。「なんだコノヤロー!俺は艦これ楽しんでるぞー!!」と。
 
 とはいえ、リンク先の文章は、ゲームの楽しみとは何か・艦これが現状で抱えている問題点は何かを指摘していて楽しく読めました。中身は面白かったです。
 
 私は、艦これは(早くも)ゲームシステムの耐用年数がキツいことになっていて、延命治療フェーズだと感じます。ここまで売れると想定されてなかったからかもしれませんが。「キラ付け」「建造」など、なかなか鬱陶しいルールも結局そのままです。ご指摘のあった「照月がイベントの一番後ろに配置されている問題」をはじめ、もっとやりようがあるんじゃないかと思いたくもなります。
 
 それと課金システム。プレイヤーから継続的にお金を取るためのシステムがいよいよ露わになってきたというか、とても洗練されてますね。悪評をなるべく集めず、それでも愛好家からしっかりお布施を頂戴するシステムは、人によっては嫌悪の対象になりそうです。私は、このゲームと艦娘が好きになってしまったので、等差級数的な課金ならお布施しようかなと思ってますが。
 
 それでも、いくつかの重大な欠点を孕みつつも、私のようなやつ、あるいはもっとキャラクター消費に軸を置いた提督さんのなかにも、艦これを楽しんでいる人はそれなりいます。twitterのタイムラインを観ていても、嬉しそうに血反吐を吐いている提督さんもいるし、圧倒的な戦力でイベントをすりつぶしている提督さんもいるわけで、なんやかんや言っても愛されていると思うんですよ。
 
 なかには、いつもいつも艦これの悪口をつぶやき、でも、やっぱり遊んでいて、また悪口を呟いて……って日々を過ごしている提督さんもいらっしゃいます。あらあら、そんなに言及しちゃって!いやー、愛されてますねー!歪んだ愛ですよ!そういうのを観ると、私は『ラグナロクオンライン』の運営さんがクソでクソでしようがなかった時期に、運営さんの呪詛を吐き続けながらも片時もゲームから離れることのなかったプレイヤー達を思い出します。ま、こういうのは愛は愛でも愛憎なので、アカウント叩き割ったほうが精神衛生に良いんじゃないかと思いますが。
 
 運営さんは、ちょっと不器用なところもあるなりきに頑張っていると思いますよ。イベント難易度を選べるフィーチャーや補強増設といったフィーチャーは、「どうにもならないもの」を多少はどうにかできるようにしてくれました。問題が無くなったわけではありませんが。しかしまあ、シヴィライゼーション3や怒首領蜂を振り返るにつけても、「問題の無いゲームなど存在しない」みたいな事もちょっと思います。私、甘すぎますかね?
 
 グダグダ書いてきましたが、つまり私は艦これが大好きで、「艦これは全員を不幸にさせ続ける」なんて言われると「大きなお世話だ!こちとら、この苦痛に課金しているんだ!」と答えたくなるようです。文章にしてみると倒錯的で、やっぱり私は艦これに不幸にさせられているんじゃないかと不安がよぎったりもしましたが、まあいいや、『がっこうぐらし!』のオープニングテーマのような心持ちで、E-5でU-511を探索する旅を続ける所存でございます。
 
 北極艦隊は、もうしばらく元気のようですよ。
 

*1:注:春イベントが終わった直後から、ではありません。念のため。

*2:この場合は資源備蓄を侮ったこと