メンタルヘルスの観点からみて、限界に達しつつある日本型ポストモダン社会(汎適所属)
※詳細は本家の記事をご参照ください。こちらは要約バージョンです※
昨今増加率の著しい精神科受診者数からもわかるとおり、個人のメンタルヘルスを巡る現在の状況には楽観できないものがある。このテキストは、その要因のなかでも“日本型ポストモダン”とでも呼ぶべき社会状況・社会構造がメンタルヘルスに及ぼす悪影響について紹介したものである。現代都市空間に生活する私達が、いかに脳神経を酷使しやすく休息させにくい暮らしになっているのかについて、
・メンタルヘルスを侵す因子の増大(メンタルヘルスを悪化させる因子の増大)
・回復ファクターの低下(メンタルヘルスを改善させる因子の減少)
・メンタルの耐性強化やコーピング学習の低下(メンタルヘルスを維持する個人的素養の低下)
三つに分類して説明を試みた。はてな側では項目を列挙するに留める。詳しくは本家テキストをご参照ください。
【メンタルヘルスを侵す因子の増大】
A.労働を巡る条件の悪化
B.コマーシャリズムに煽られる、強迫的消費欲
C.取り扱い情報量の増大と、それに伴う判断の機会の増大
D.地域社会の崩壊に伴う、個々の場面における新規性と不確定性の増大、不安の増大
E.非言語コミュニケーションの有用性に目をつけた過剰適応プレイヤー達
F.非言語コミュニケーションが生来的に苦手な人達の不適応
【回復ファクターの低下】
A.睡眠時間の低下
B.宗教のストレスバッファ機能等の後退
C.家庭のストレスバッファ機能の後退
【メンタルの耐性強化やコーピング学習の低下】
A.メンタル耐性なり適切なコーピングなりを構築・学習する場の質的/量的減少
これらにみられるように、個人のメンタルヘルスを巡る状況は非常に厳しくなっている。現代都市空間に暮らす私達にかかる情報負荷や情動負荷は、中枢神経機能の限界にいよいよ迫りつつあり、能力的に厳しい人・危機に遭遇した人は、中枢神経をパンクさせやすくなっているのでは?と私は危惧している。情緒的にも、情報負荷的にも、現代都市空間に生きる私達はこれまでのいかなる時代よりも大量の負荷を恒常的に背負っており、しかも(ご近所や宗教や家族のような)メンタル上のセーフティネットはズタズタになってしまっている。だとすれば、メンタルヘルスに変調や不調を来す人が大量発生するのも別に不思議なことではない。メンタルディスオーダー、とりわけ中枢神経機能の不調変調は、今後高血圧や糖尿病並みかそれ以上のポピュラーな状態として蔓延するのではないだろうか。
まぁ、私達が欲望や執着のままに追い求めてきた代償がメンタルヘルスの逼迫とすれば、これは致し方ない帰結として受けいれるべきなのかもしれない。人間の望むままに文化とテクノロジーを発展させた結果がこれだとすれば、私達は甘んじて受けるしかないのだろう。メンタルヘルスを犠牲にしてでも手に入れた現代都市空間。それを人々が手放せないというのなら、神経の機能障害に悩まされつつも、そこで生きていくしかあるまい。