シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

いやいや、私は「新しいゲームが生まれる時代」を生きていますよ?

 
fujipon.hatenablog.com
 
 私はfujiponさんに近い年齢のゲーマーですが、見える景色ってこんなに違うのですか。
 
 私はファミコン時代のゲームも大好きですが、21世紀に入ってからのゲームも大好きです。新時代のゲームには20世紀には考えにくかった、新しい息吹を感じさせるものがたくさんあるように思われます。
 

 ちゃんと書こうとすると、最低本一冊分くらいは必要になってしまうので端折りましたが、これらの「ゲームのジャンル」を並べてみてあらためて思うのは、「全く新しいジャンルのゲームというのは、21世紀に入ってからは、出ていないのではないか」ということです。

 そうでしょうか。
 
 「オンラインゲームも含めて、ほとんどのゲームの源流は20世紀のうちに現れていた、だから21世紀には新しいゲームが無い!」と断定されたら、まあ、それもそうかもしれません。
 
 でも、「マトモに遊べる状態で提供され、皆に喜ばれるゲームシーンができあがったか否か」という尺度で考えるなら、新しいと言って良いゲームはあるように思われます。
 
 たとえば、『艦これ』『FGO』といった人気のソーシャルゲーム。これらのある部分は、旧態依然としたパラメータ*1を用いたシミュレーションゲームとうつるかもしれませんし、それは一面の事実ではあります。
 
 でも、これらの人気ソシャゲは陳腐で出来の良いシミュレーションゲームだから遊ばれているのではなく、キャラクターと戯れる「旬のイベント」として消費されている部分が大きいわけです。20世紀の据え置き型ゲーム機のそれといちばん異なるのはここじゃないでしょうか。“ソシャゲを遊ぶ”という行為は、多くの場合、そのときのイベントと向き合うこと、今しか訪れない「シーン」を体験することに他なりません。
 
 ファミコンのロムカセットと違って、ソシャゲは「プレイヤーを待ってくれない」ものですから。ソシャゲって、ライブな一面を持ち合わせているように思えるのです。
 
 あと、もしかしたら間違っているかもしれませんが、この手のソシャゲって、運営とユーザーがネット上でイベント情報を交わし、SNS上でもユーザー同士で盛り上がりながら楽しむものだと思うんですよ、私は。このあたりはPCやスマホといったコンソールならではの「遊び方」だと思います。
 
 20世紀にも、niftyのフォーラムに行くかゲーセンノートに行けば、似たような情報交換と盛り上がりはあったといえばあったわけですが、規模がケタ違いですし、どんな田舎町で遊んでいても独りじゃない感覚はやっぱり21世紀だなぁ、と感じます。
 
 昔から、ゲームってのは体験を売る商品だったとは思うけれども、これらのソシャゲでは、売られている体験の質が違ってきていると思うのです。ロムカセットに入っているシナリオという体験だけが売られているんじゃないし、そういうところに課金されているわけでもない。「みんなとイベントに臨む」ライブ体験のなかで自分をどんな風に位置づけるのか。そのために課金しているのだと思うんですよ。そのためのレアアイテムであり、レアキャラクターであり。
 
 スマホじゃないゲームにしても、steamで遊んでいると「えっ?嘘でしょ?」と驚かされることはたくさんあります。
 
 私は去年から『stellaris』を遊んでいますが、やめられません。なぜなら、バージョンがアップデートされるたびにゲームのルールがガラリと変わってしまって、もう一度やり直さなければならなくなるからです。
 


 
 今、私は ver1.41 で銀河を制覇しようとしていますが、1月下旬に新パッチが来てしまうので大急ぎで攻略を進めています。なにせ、バージョンアップのたびに「定石」が崩壊するほどルールが変わってしまいますから。ある意味、飽きることがなくて楽しいっちゃ楽しいですが、辛いといえば辛いですね。「なかなかゲームがやめられない」わけですから。
 
 こういう傾向って、同じ企業が作っている『Heart of Iron』や『Europa Universalis』にも言えることで、本当に飽きません。多種多様なmodも揃っているので、いくらでも遊べてしまいます。このあたりは『ロードランナー』や『アドバンスド大戦略』のエディタ機能の時代を完全に超えています。
 
 結局、この『stellaris』にしても、前述のソシャゲにしても、インターネットの常時接続を最大限に活かしたゲームになっていて、また、ゲームシーンをつくりあげていると私は感じます。20世紀には絶対不可能だった前提にたっているこれらのゲームは、20世紀に無かった楽しみです。
 
 あと、21世紀といえば位置情報ゲーム。
 
 『Ingress』のプレイヤーは、イベントがある時も無い時も楽しそうです。私も『ポケモンGO』をやっていて思うのですが、新しい土地の風景や、四季折々の街の顔に出会えるゲーム体験がすごく楽しい。
 
 今週末は雪が降りましたが、行きましたよ! 『ポケモンGO』をやるために近所の公園まで! 雪の降りしきるなか、ベンチに座ってライバルチームのカイリュウと戦い続けるわけです、こんな馬鹿げたことが今までのゲームシーンにあったでしょうか?
 
 去年、『ポケモンGO』が社会現象として報道されましたが、なるほどわかる気がします。少なくとも、既存のゲームには無かったタイプのモチベーションを与えてくれる。どこかに出掛けたくなるんですよ。『Ingress』では冬山に登る人や海外に渡航する人もいるといいますから、そのパワーは普通じゃありません。
 
 位置情報ゲームのためにあちこちを歩き回る人は、ソシャゲに大量課金する人のことを、あんまり笑えないんじゃないかなぁ、と私は思います。
 
 こうした位置情報ゲームにしても、結局、常時接続とGPSを備えたコンソールが普及したからこそ作れたわけですから、間違いなく21世紀の申し子なんですよ。これらを20世紀のゲームと一緒にして「新しいゲームじゃない」って言われたら、私はちょっと納得できません。
 
 

ゲームを取り巻く状況も変わってきている

 
 少し違う話かもしれませんが、ゲームを取り巻く環境も変わっています。
 
 20世紀にコンピュータゲームを遊んでいたのは「子ども」と「オタク」と相場が決まっていました。発売されるゲームも、それを前提にしているふしがありました。
 
 でも、ゲームの裾野はものすごく広くなりました。電車に乗ると、あっちでもこっちでもゲームやっている人に出会います。いい歳したおじさんおばさんが、ゲームをやっているんですよ。ゲームはみんなのものになったんです。
 
 [関連]:アニメやゲームがポピュラーになった社会に、イエスと言う - シロクマの屑籠
 
 それに伴って、「ぬるま湯のようなゲームが遊ばれているなぁ」と思うことも増えました。なんていうんですか、ゲームの骨組みはシンプルだけど、手触りとグラフィックは立派につくられていて、華やかな演出でプレイヤーをおもてなしするような。
 
 『パズドラ』なんかも、初期にガチガチに攻略した人を除けば、たぶん、そういうものとして楽しまれたのだと思います。
 
 その『パズドラ』の先祖にあたるような20世紀のパズルゲームを思い出すと、やはり、『パズドラ』は21世紀のゲームだなぁと感じます。『パズドラ』のような手触りと難易度のパズルゲームは、20世紀には存在しにくかったでしょう。
 
 人によっては、『パズドラ』を「20世紀のゲームに毛の生えた代物」と捉えるかもしれないけれど、私は『21世紀ならではのゲーム』と捉えます。このへんは、ゲームを観る切り口の違いでしかありませんが。
 
 
 それと、ゲームを自作したりmodを作ったりする環境も変わっていますよね。
 
 自作ゲームを作るための環境はメチャクチャ向上しました。スクリプト、キャラクター、効果音、グラフィック、いろいろなモジュールが利用できます。さきほど触れたsteamのmodだってそうで、じつに簡単にゲームがいじれるようになりました。まだいくらかPCの知識が必要ですが、年を追うごとに、少ない知識でいろんなことが出来るようになっているように感じられます。
 
 このあたりが、いわゆる「売れるゲーム」の周縁に面白い景色をつくりあげているように私にはみえます。これも、20世紀には望むべくもなかったものです。意欲のある作り手が新しいゲームづくりに取り組んでいることを知っている私は、21世紀は新しいゲームがボコボコ生まれる時代だ、と言いたくなります。既存のモジュールを組み合わせたゲームは既存の枠組みを滅多に超えないかもしれませんが、それでも、モジュールを生かした自作ゲームがたくさん発表されるのは21世紀ならではだと思うのです。
 
 

スマホとPC、それからVR

 
 思うに、fujiponさんは「21世紀の新しいゲームの息吹」が感じにくいゲームコンソールで、感じにくいゲームジャンルを遊んでおられるのではないでしょうか。
  
 たとえばプレイステーション4で、日本の有名メーカーが作ったゲームを遊んでいても、ゲームの新しい息吹ってあんまり感じられないと思うんですよ。
 
 それより、イベントが繁盛しているソシャゲをスマホで遊ぶか、『Planet Coaster』やフル改造した『MineCraft』がゴリゴリ動くPCで外国産ゲームを遊んだほうが、21世紀の息吹は感じやすいのではないでしょうか。
 
 ただし、ソシャゲとして今から『艦これ』や『FGO』を始めるのはオススメしません。「次に大ヒットするソシャゲ」を読み当てて、それをやってください。twitterにはソシャゲの目端の利く人がたくさんいます。彼らを参考にしながら自分の勘を働かせれば、気に入るものが見つかると思います。
 
 位置情報ゲームについても、今始めるのはオススメしません。だって寒いですから。もしやるなら春になった時点で、その頃のレパートリーから選ぶのがいいんじゃないかと思います。
 
 でも、プレイステーション4を持っていらっしゃるなら、それこそ、21世紀のゲームと呼ぶに相応しい体験が待っているじゃないですか。
 

PlayStation VR

PlayStation VR

 
 今の段階で立派なVRが提供されるとは思えませんが、20世紀のゲームだって荒削りなものをみんな喜んで遊んでいたわけですから、VRだって同じでしょう。VRは新しいコンセプトのゲームが現れる可能性が高い分野。きっと最先端のゲーム体験となるはずです。
 
 なんだか長くなってしまいましたが、私が言いたいのは、21世紀のゲームシーンだって豊かで、新機軸が溢れていて、そういうものを度外視して“「新しいゲームが生まれない時代」を生きているのかもしれない”なんて寂しいこと言わないでくださいよ、ってことです。そして、いろんなゲームを楽しみながら歳を取っていきましょうよ、ってことです。
 

*1:ヒットポイントとか、そういうの