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シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

PVの金貨、PVの銀貨、PVの銅貨

 
 このブログの年間PV数は、かなりショボい。
 大手ブログにはほど遠く、中堅ブログを名乗るのも難しい。
 
 けれどもこのブログのお陰で、私はたくさんの知己を得て、有意義な意見交換をさせて頂き、単著を出すこともできた。もし、PV数が絶対的基準だったとしたら、私はそうしたブログの恩恵に与れなかっただろう。
 
 でも、実際にはそうではなかった。もちろん、PVの数をとにかく稼いでメリットに与る方法もある。けれどもそれが「たったひとつの冴えたやりかた」ではないとも思うので、そのあたりについて、なんとなく思っていることを言語化してみる。
 
 

PVの金貨、銀貨、銅貨

 
 ブログは、「何人読んだか」も大切だけど「誰が読んだか」も同じぐらい大切だと思う。PVという観点からみても、例えば、ニュースサイト管理者やキュレーターと呼ばれる人達が常連読者になっているブログと、“読み専”な人達しか読んでいないブログでは、たぶん色々と違うだろう。「どんな読者さんがブログを読んでいるのか」はブログ運営上、かなり重要な問題だと私は思っているし、それが積もり積もると、ブログの読み手も、ブログの書き手も、かなり影響を受けると思う。
 
 
 【PVの銅貨】
 
 一度だけブログを訪れる読者さん、過去ログを読むことのない読者さんは、PVの銅貨であることが多い*1。ただし、銅貨とカテゴライズしたけれども、ブログがフローとしての性質を持つ以上、実際にはきわめて重要な読者さんだ。“一見さん”や“読み専さん”がある程度来て下さる状態のほうが、なんとなくブログが賑やかになるし、銀貨や金貨に相当するPVが舞い込んできてくれる確率もそれなり高くなる。
 
 ただ、PV数をひたすら追いかけたブログは、しばしば、この銅貨に相当するPVの比率が高くなりすぎてしまう。後述する、銀貨や金貨に相当する読者さんは、PVに媚びた記事ばかり書くブログ(とブロガー)からは足が遠のきやすい。PVの銅貨ばかりで占められたブログを書き続け、やがて銅貨ばかり狙うようになっていけば、ブロガーの作風と執着はそのような方向性に流されてしまいやすいだろう。
 
 こうした「PVの銅貨寡占問題」は、PVを即換金するスタイルに割り切ったブログにとって、さほど問題にはならないかもしれない。しかし、即換金以外の執着を持ったブロガーがこれをやると、作業感が出てきたり、潤いが無くなってきたり、心が荒んできたり、読者のシンプルな欲求に魂を縛られたりしやすいと思われる。
 
 
 【PVの銀貨】
 
 案外重要なのは、PVの銀貨、に相当する読者さん達だ。常連的に読んでくださり、はてなブックマークやtwitterで多種多様な反応を返してくれる読者さん達。トラックバックをよこしてくれる可能性を秘めた、他のブロガーもここに入れて良いかもしれない。「信者」や「粘着」のたぐいではなく、Yesと言う時にはYes、Noと言う時にはNoと言ってくれる読者が居着いてくれると、ブログはそうした読者を想定した作風におのずと収斂していきやすい。それによって、「PVの銅貨寡占問題」についてまわる副作用はだいたい避けることができる。
 
 PVの銀貨とは、「自分のアタマで考えながら文章を読む習慣のできている人」と言い換えることもできるかもしれない。こちらの記事には、以下のような事が書いてある。
 

 ただアクセス数が欲しいなら、記事は短いほうがいい。
 読者は断言されたがっているし、分かりやすい結論だけを示されたがっている。言い換えれば、洗脳されたがっている。理屈を追いかけるのは苦痛だからだ。しかし、読者のそういう習性につけこむのは詐欺的だと私は思う。たとえ読者を取りこぼすことになっても、私と一緒に考えてくれる人、私の間違いを正してくれる人に記事を届けたい。

http://d.hatena.ne.jp/Rootport/20140221/1392994069

 ここでいう、洗脳されたがっている人・断言されたがっている人は、PVの銅貨だ。そうではなく、ブロガーと一緒に考えてくれる人、記事の成否や出来映えについて自己判断を利かせられる人がPVの銀貨だと私は思う。
 
 ブログのPV数を増やそうと思った時、一般に、メインターゲットになるのはPVの銅貨に相当する読者さんだろう。単一記事だけ読んで還っていく読者さん、断言されたがっている読者さん。マスボリュームとしては、そちらのほうが大きいのはわかっている。けれども、そちらのほうばかり向いたブログは銅貨ばかり溜まっていって、銀貨はもとより、金貨など望むべくもない。
 
 PVの銀貨は、ブロガー自身がブログを介して考えることを促進し、唯我独尊ブロガーに陥らないようにもしてくれる。自分のアタマで考える読者さんとの関係性も良好になりやすいだろう。それらの帰結として、「銅貨ばかり荒稼ぎしているわけではないブログ」という顔つきも得られるかもしれない。そういったものは、要らない人にはとことん要らないものだけど、切実に必要としているブロガーや、楽しみにしているブロガーも決して少なくないはずだ。PVの数では説明できないエッセンスをブログに求める人は、PVの銀貨を本命にしたほうが良いと思う。
 
 
 【PVの金貨】
 
 じゃあ、銀貨よりも大切な、金貨やプラチナ貨に相当する読者さんとは?
 ブロガーに良性の影響をたくさん与えてくれるような読者さん、だと思う。
 
 どんな読者さんがPVの金貨と言えるのかは、ブロガーそれぞれだと思うけれど、例えば私の場合は、
 
 ・ブログでトラックバックをしあい、長文をやりとりする機会の多いブロガー。SNS的な短文よりもよほど密度の高いやりとりができるし、たいていの場合、少なからぬ影響を受けることになる。ちゃんとした読解力や見識のあるブロガーとのやりとりは、とても値打ちのあるものだと思う。
 
 ・オフ会で何度も会うようなブロガー。「いいね!」時代の繋がり―Webで心は充たせるか?― エレファントブックス新書でも書いたけれど、オフ会で複数回出会うような縁は、オンラインだけの縁よりもずっと重要だ。少なくとも私にとってはそうだと言える。ブロガー同士のトラックバック合戦が、やがてオフラインの人間関係へと発展していくのは、とても貴重なものだと思う。
 
 ・レアな読者さん。自分の頭で考える読者さんが常連になってくれると、ときに、意外な人がブログを読んでくれていて、意外なチャンスをもたらしてくれることがある、かもしれない。それは、間違いなく運の産物ではある。しかし、運がいつやって来ても良いようにするためには、いつでも運を受け止めやすい状況をつくり、いつでも運がウェルカムなブログの門構えにしておいたほうが良いと思われる。そのためには、PVの銅貨まみれのブログにしておくより、PVの銀貨の比率が高めにしておいたほうが望ましいと思われる。
 
 

あなたが欲しいのは何色のPVですか?

 
 ブログの運営スタイルによって、理想的な【銅貨〜銀貨〜金貨】比率はまちまちのはず。銅貨の比率が多いほうが良いブログもあるだろうし、銀貨しか狙わないブログだってあるだろう。なんにせよ、自分がブログを使って叶えたい目標や、ブログを介して充たしたい欲求をよく考えて、それに即したPVの貨幣を狙っていくのが良いと思われる。
 
 誤解のないように付け加えておくと、「PVの銀貨や金貨は要らない」という人は、PV銅貨稼ぎに邁進すればいいと思う。それはそれで立派なブログスタイルだ!――自分が欲しいものを欲しいと思うとおりに獲得すればいいのであって、自分が欲しくもないものを勘違いして手に入れるよりはよほど良いことだ。銀貨が欲しいのに銅貨を荒稼ぎする人、銅貨を大量調達しなければならないのに銀貨や金貨に後ろ髪をひかれている人よりは、よほど筋がとおっている。
 
 ついでに「PVの悪貨」について書こうと思っていたけれど、飽きてきたので、このへんで。
 
 

*1:ブログを書くことのない“読み専”の人が大半を占めている