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シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

2007夏コミ三日目行列にみる、男性オタクの表情と服飾の特徴に関して

オタク趣味

 
 コミックマーケットに全てのオタクが参加しているわけではないが、コミックマーケットに参加している男性は、やはりオタクであることが多いだろう。そういう意味で、コミケの行列というのは、日本全国の「同人に触れることがあるぐらいの」オタク男性の標本を抽出するうえでは優れたサンプル(の一形式)と言うことは出来る。そこで今回、自分自身が同人誌を購入するついでに、そして行列中の暇つぶしとして、行列しているコミケ男性一般参加者の表情や、服飾についての特徴を確認してみることにした。
 

 せっかちな人の為に、最初に結論を書いておこう。
 コミケ三日目行列についていた男性オタクの人達は、
・表情筋の発達状況から察する限り、顔面の表情をコミュニケーションで意図的に用いるノウハウが浅い傾向にある
・服装はお洒落な人からみすぼらしい人まで様々だが、服の色の選び方には特徴がある

 
 というのが今回の調査から得た私の結論である。詳しくは、続きを読まれたい。
 

  • まず、行列しているオタク男性の表情を眺めてみる。女性参加者はそれほどでもないが、男性参加者の顔面の形態、とりわけ表情筋の形成に着眼してみると、「この人はコミュニケーションに顔面表情筋を使う機会があまり無いんだろうな」という容貌の人が多い。ちなみに言っておくが、これは美醜の問題を言っているわけでもなく、疲労の多寡とも関係のなさそうな、「目の周りの皺」とか「目元口元の動き」とか、そういうものを観察している。十代の男子は若いわけだから顔にそれほどの年輪は刻まれてはいなくて当然だが、二十代後半以降の男性においてもそういった年輪の刻みがあまりみられない。「このオタさんは日常で意図的に顔面の表情を動かしてはいないんだろうな」という男性が年齢が上の層においても圧倒的に多い。人間の顔つきは、意図的にあれこれと表情筋を動かしていればそれ相応に筋肉などが発達して容貌に特徴が生まれてくるわけだが、老けている割にはそういった容貌の年輪発達がみられない男性オタクが多くみられた、ということだ。
  • よって、コミケで並んでいた男性参加者の表情筋をみる限り、男性オタクのコミュニケーション技能には一定の制限か、未使用未開拓のままになっている部分があるという推測が生まれてくる。服装がどうこうとか顔面の美醜がどうこうとかをここで論じるつもりは無いが、少なくとも、彼らが自分の表情を意図的に使い分けることに不慣れな日常を送っている、ということは推測していいんじゃないかと思う。当然、自分の表情をコミュニケーションの手段として使いこなすノウハウの蓄積も浅いだろう。オタクとコミュニケーション技能には関係が無い、などと主張する人がいるのは私も知っているが、ノンバーバルなコミュニケーションに供される重要なチャンネルの一つ『表情』という次元では、オタク男性集団は、そうでない男性集団よりもノウハウ蓄積が少ない傾向にあると推定される。

 
 

  • 服装面においても、やはり行列しているオタクさんには特徴があると思う。夕方の新宿や渋谷ハチ公前のサンプル群と比較してみると、それなりに違いがあるということは感じられる。ここでよくある反論は、「コミケの行列なので、見た目よりも機能性・快適性を優先した偏りなんだ」というやつだ。だが炎天下を行列するにも関わらず、黒のTシャツを着てきたりしていたりする人も多い。機能性重視というよりは、むしろ審美性無視、というレトリックのほうがよく似合う人が少なくない。それはともかくとして、実際のところは、服飾にかなりコストをかけている男性オタクもいれば、そうでない男性オタクもいる、といったいつもの状況が観察された。ただし、もしアベレージという概念を用いるならば、夕方の新宿・渋谷ハチ公前の同世代男性達と比較して何かの差が検出できそうな感じではあったが。
  • 今回の調査で興味深く感じたのは、お洒落な男性オタクだろうがそうでなかろうが、彼らの服装で殆ど一貫してみられる「暖色系の入った服飾の欠如」である。具体的には、明るいグリーン、黄色、ピンク、オレンジ、といったカラーの入った服飾の男性が非常に少ない。稀に、オレンジのTシャツを着たりしている人がいなくもなかったけれども、わざわざ暖色を意識して着ている、という様子はみられなかったし、いい感じでよれていた。2004年に秋葉原で調査した時にも、オタクの服装には暖色系の使用が少ないという傾向は確認できていたが*1、今回の調査においても暖色系服飾への不思議なほどの関心の乏しさが浮き彫りになった形だ。
  • 対して、彼らが好んで来ていたのは、黒・グレー・白・青といったモノクロまたは寒色系の服装だ。今回の調査では、若い参加者を中心に、かなりの金額と注意深さをもって服を着ているお洒落なオタクさんも案外みられたわけだが、じゃあ彼らお洒落オタが暖色を服飾に取り入れているかといったら、やはり暖色系はあまり人気が無い様子なのである。近年のコミケ行列においては、服飾への投入コスト・センス・注意深さなどにおいて、相当に練達しているお洒落なオタクさんがかなり混じっているわけだが、殆どの彼らもまた、他のオタクさん達と同じ色好みで服装を選んでいたことが不思議だった。服飾のカラー選びとオタク特性、には何か関連でもあるのだろうか?*2これはお洒落か否かとか、清潔か不潔かという問題じゃなく、嗜好の方向性として、とても不思議な特徴と感じられた。ファッションに詳しい方の解説を期待したい。

 
 

  • なお、今回はコミケのスタッフがさかんに「人を撮っちゃ駄目です!携帯も駄目!」と言っているのを耳にした。以前は、国際展示場前の階段の所などで、所謂「人がゴミのようだ記念撮影」をする人も多かったわけだが、運営側の注意が行き届いているせいか、人ごみやオタを撮影する人はいなかった。もちろん私も今回は一切写真はとっておらず、目視において状況を確認した。「被写体としてのコミケ参加者」というアングルを意識せざるを得ない、運営側が人間撮影を禁止せざるを得ない事情になってきているというのは、被写体としてのコミケ参加者、視られる客体としてのオタク、というものについて考えるうえで無視できないことのような気がする。

 

  • まとめ

 「オタクの服装はみすぼらしいもの」というステロタイプは既に過去のものになりつつあり、コミケ行列をみるにつけても、お洒落なオタクさんや、そこまでいかなくても実にきちんとした服装のオタクさんが増えてきた。しかし、彼らは顔面の表情を使い込んでいない、という特徴をみる限り、非言語コミュニケーションの実地ノウハウは、やはりオタク集団においては(そうでない単なる街のサンプルより)使い込みがまだまだという印象を私は新たにした。また、服飾の嗜好のレベルにおいては、暖色系が好まれないという特徴が依然としてオタク男性集団において根強いということも再確認した。
 
 今回観察された特徴がどういう要因に基づいて起っているのか・何を示唆しているのかはここでは考察・言及しないが、今後も調査を続け、オタクという生き方を省察する一材料として役立てていきたい。また、この調査は、私が一人で目視したというlimitationを含んでいるため、他の調査者による追試を期待したい。
 

*1:参考:http://www.nextftp.com/140014daiquiri/html_side/hpfiles/otaken/akiba2004.htm

*2:そういう色なのは「それは夏だからです」という反論は、注意深く行ったほうが良いと思う。「それは夏だからです。」と思った人は、今度の終末、新宿駅前にでも出かけてみて欲しい。