シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

kanoseさんオフ会の欠片1:ネットサービス関連

 
 今回、二十人前後の不思議な会合に出席する機会があったので出席してみた。主催者はid:kanoseさん。会場には、はてな上でよくみる様々な人が集まっていて様々な分野の話が展開されていた。主旨は“インターネットを語る会”だとのことで、私が発言すべき事は多分あんまりなく、専ら聞くだけなんだろうなと思いながら参加。以下は、私なりに気になった話題についての記録を残してみることにしたものです。
 
 http://rere.sakura.ne.jp/diary/20061210.html#p01にアップされている内容と構成も感想もちょっと違っていますが、それは視点なり興味なりが異なるが故ということで。
 

YouTubeに関する話題

 

  • 誰もが当然のように利用しているYouTubeだけど、アップロードしたのはせいぜい3〜4人ぐらい。著作権または肖像権的にグレーなものをアップした人は1人だけだった。
  • YouTubeでみんな何を楽しんでいるのか?傾向としては、著作権的にグレーなものを楽しんでいる割合のほうが高そうだ。(勿論、アメリカ人のわけわからんホームビデオも気になったものはみてるっぽいけど、それはあくまでサブで、メインはやっぱり…?!)
  • もしかしたら、はてなブックマークでたかられているYouTube動画を監視してる企業の人もいるんじゃないかという話題が出た。確かにあり得るかもしれない。(例:Amazonの倉庫のYouTube動画がアップロードされてブクマされまくってまもなく消された件について)

 

  • 「Winnyで○○を見ました」というと炎上するけど、「YouTubeで○○を見ました」では炎上しない、という理由について

①動画がブラウザベースかダウンロードベースかどうかの問題、Winnyだとダウンロードしちゃっている点が違う。この手続きのワンステップが後ろめたさを感じさせるか否かの分水嶺になっている可能性について。または、ブラウザ越しの受動⇔ダウンロードという能動。立ち読みか⇔万引きか。コンテンツが手元に残らないか⇔コンテンツが手元に残るか。
②→YouTubeはサンプルレベルだけど、Winnyは本物だから、と思っちゃっている人が多いのでは。また、Winnyは有料のエロゲーとかゲーム本体とか転がっているけど、YouTubeは元々無料(にみえる)コンテンツを流しているという点でも違うよね、という話も*1
③→Winnyは逮捕事件などでネガティブイメージが先行してしまったけど、YouTubeは割と明るく取りあげられたという、イメージレベルの問題もあるんじゃないか。また、YouTubeは海外企業でWinnyは個人だからという叩き易さの相違もある。
④→YouTubeは、(例えば動画へのリンク先などを紹介した)まとめサイト管理者側に責任をなすりつけられる気分もあるかも。
⑤→YouTubeにはウイルスイメージが少ないけれど、Winnyはウイルスだの何だのといった大きなリスクがある、という点も違っているかもしれない。
⑥→そもそも、カジュアルにネットブラウズするだけの人達に著作権の意識ってあるの?という指摘もあった。確かに。
⑦→ちょっと話はズレるけど、動画だの何だののファイル共有が出来るサービスは他にも色々とある。仲間内だけにURLを伝達しあって仲間内限定でこそこそとファイル共有の輪を形成していく事は十分に可能だし、実際にやっている人もいる、かも、しれない。はてなグループにもそういうでかいグループがある、かな?かな?だ い じ ょ う ぶ なのかな?といううわさ話も。
 
 ※意識されるモラルの違い、手軽さの違い、コンテンツのクオリティの違いなどが指摘された。
 

YouTube→携帯からの動画アップロード→カジュアル化する著作権侵害

 
 これからの流れとしては、携帯で動画を撮影→そのまんまアップロードという方向になるのではないかという話。現在の携帯電話の待ち受け画面をYouTubeの動画にしている様子も紹介されていた。何か災害などがあった現場からアップロードという強みが出てくる一方、様々な次元で著作権や肖像権を“カジュアルに侵害する”事態が(とりわけ小学生・中学生レベルで)出てくるんじゃないかという話があった。ジャニーズを携帯で動画とって友達同士でみるとかetc…。そんでもって、著作権や肖像権なんてどこ吹く風で撮像した動画やら何やらを、どこかのサーバにこっそり置いておいて、アドレスだけ友達にこっそり教えてばらまくなんてことが非常にラクになってきているのが現在*2。カジュアルに著作権や肖像権が侵害できるよね、敷居がどんどん下がってきているよね、という話が出た。
 

YouTubeとプロモーション

 

  • 音楽や漫才はいいけれど、映像作品のプロモーションってハルヒ以外はYouTubeで当たってないんじゃないか?という指摘があった。ハルヒは希有な例外なのではないか?
  • ハルヒ以外の映像コンテンツで、YouTube経由でバカ当たりしたという話を聞かない。
  • まぁハルヒぐらいに「ちゃんと面白い」ものじゃないと、だめなんじゃないのという指摘もあった。
  • 企業に耳打ちする邪な人が“アングラを装って盛り上げましょう。YouTubeで盛り上げましょう”という話にすることはあるかもしれない。公式でやっちゃうとやっぱりダメ。“秘すれば、花”効果がYouTubeだと期待出来るんじゃないか、と。ただし、ソニーの件もあるので、失敗すると悲惨な事になりかねない。
  • エロゲーのプロモーションとしてはYouTubeには使い出があるかもしれない、という話も出てきた。メーカーのページに直接行かないと紹介ムービーを視聴できないなんて手間をショートカット出来る強みは、YouTubeに期待できるかもしれない。

 

*1:実際は、映画だの何だのがYouTubeにアップされてはいるわけで、これは現実には即していないわけだけど、思いこみの次元ではこういう違いはあるかもしれない、という話

*2:誰でもみれるわけじゃないよ、という一枚の壁があるのもミソ

kanoseさんオフ会の欠片2:ソーシャルブックマークサービス関連

 

  • 日本では、はてなブックマークが存在感がやけに大きい。ひどいコメントやメッセージ性の高いタグが、はてなブックマークにはあるけれど、海外のブックマークにはこういうのはあまり無いのではないか?
  • 2chのネットwatch板はSBM的に機能するか否か?

→2chのネットwatch板は、みている人の絶対数が少ないんじゃないか?あまりにローカルすぎて表に出て来ない。SBMとしてはあまり機能していないのでは?という趨勢。とにもかくにも閉じているのがネットwatch板という印象で、外に発信というよりそこで楽しんでいるんじゃないかという話。
→ただし、ニュー速やvipに飛んでしまうと、話が変わってくる。
→関連して、まほきゃすの話題が。[かわいそうです]というはてなブックマークタグが登場していた。「果たして、この人とどう対談していくことが可能なのか?どう対談するのか?」。

  • アニメファンが「特定の作品に関するエントリをブックマークしていく同盟」のようなものを作って、その作品が話題になっているという事を既成事実化していくという現象について。今後どうなっていくんでしょうね?
  • セルフブックマークについて

→セルフブックマークをつける理由は人それぞれ、ケースバイケース。誰がどれだけセルフブックマークしたかについての統計は出たけれど、ブックマークしか読み返しそうにない人にコメントを伝達する為に書く人、栞としてつける人、などなどの目的によって異なっている点についてまでは踏み込んでいないよね、という話が出た。
→もし、はてなポイント100pts.使うといきなり5usersにガンとpagerank的なものが上昇するシステムが実装されちゃったら、「RMT使って俺マンセー」のような素敵な優越感地獄がはてな界隈に出現する、かもしれない。
 

kanoseさんオフ会の欠片3:その他の話題

 
 それ以外に出た話題(で尚かつシロクマが興味を持った話題)を、幾つか列挙してみます。

ソーシャルネットワークサービス(SNS)関連

  • SNSを選ぶと何が違うか?

→ユーザーの層が個別のSNSによって違う、という指摘があった。GREEならGREE独特の感じがある。Yahoo!daysにはYahoo!ブログと地続きの感じがある。例:Yahoo!daysのほうで、「mixiに疲れました」「新しい自分を発見する為に」というコメントをしばしばみられる、等。mixi疲れでくたびれた人の避難場として、新規のSNSが受け皿になっている部分もあるのではないか。あと、mixiでオタな話が出来ない場合などには余所でやらざるを得ない、みたいな。

  • mixiには女の子が参入してくるけど、blogには女の子が参入しないのではないか問題。

→closeかopenか?女の子はopenよりもcloseでは?(ただし、最初closeであればまぁ大丈夫で途中から漸次openになっていく分にはok)
→個人的には、それ以外にも理由があるような希ガス。きんもーっ☆みたいな例もあるし、案外と女性がやっているblogというものもあるんじゃないかな、と。ただし、はてなダイアラー達と彼女達の距離が滅茶苦茶遠いものだということは認めておいたほうが良さそうだけど。
 

ブログ普及と社会事件

  • 被害者・加害者として社会事件にmixiやblogが登場する頻度が増えてきた。
  • 2001年頃には想像だにしなかった新文化圏の人達をblog上でみかけるようになって、世界は広いと感じるようになった件について。

→たった五年でこんなに広がったんだから、さらに五年先には…凄いことになっているんじゃないか。携帯文化圏という、理解の範疇を超えた人達との邂逅(彼ら彼女らとは、みえている世界がそもそも違うのではという話も。ついでに、年齢によって端末が違う、という話も)。

  • 世代による情報端末の違い。

→小学生まではまだ親のPCを使っている(ただし田舎ではより低年齢から携帯文化圏に?)
→中学生あたりから携帯文化圏に。
→そして、blog文化圏の世代。

  • 田舎の人にとっての情報端末

 居候しながらかなり安い収入しか入らない地方在住の若い女性などにとって、PCは高価すぎる。それよか必須アイテムの携帯を使い込むっていう事になっているんじゃないか?という話をしている人がいた。色々な理由からPCには手が届かないという人達が、携帯電話のヘビーユーザーになっていってるのではないか?と。
 

社長さんのブログ

 社長ブログの立ち上げが相次いだ→だけどどれもこれもダメになるか、社員が更新になっちゃったという話。「まぁ、自己顕示欲の強い社長さんに良い玩具が出来ましたね」
 

ロングテールのお話。

  • ロングテールが出てきたからといって、少なくとも送り手は別に幸せにならないし、小さな書店も儲からない。でっかいメガストアだけが儲かる。巨大な倉庫が無いと終了。
  • でも、受け手側としては、「とりあえずマイナーでも生きていてもいいよ」「マイナーな趣味でもなんとかかんとかやっていける」という側面はあるかもしれない。

→とりわけ都会の大書店にアクセス出来ない田舎者が、わけわからん本を注文できる仕組みはとてもありがたい。

  • 送り手側にもロングテールのメリットはあるかもしれない。例えば、ロングテールの尻尾からメインストリームに上がっていく(元マイナー)コンテンツが発掘されるチャンスは、あるんじゃないか。本屋さんに置いて貰うというのはとても難しい(五千部以上刷らないと、全国にばらまけない。でもAmazonは少ない数でも置いて貰える)。
  • IT技術によってコストを低く持っていけた、と主張したがる人もあるかもしれないが、単にでかい倉庫をどこかにまとめて建てられてコストを下げただけじゃんとか、倉庫番している人の給料を低くしてるだけじゃんとか、そういうツッコミも入った。HDDに無限に溜められる&無限に複製・配布出来るコンテンツなら分からなくもないが、本とかでは実際はそうもいかんのじゃないか?という意見も。IT技術による素晴らしいお話の、机上のレベルと現実のレベルの乖離。でも、その乖離をシカトしてウッハウハな人もいるかな?かな?というお話。

 

Oh!MyNews創刊に関して

  • 鳥越さんだけがマジで、他は皆ネットプロレスでは?という意見。佐々木さんはマジ風にみせかけたプロレスごっこをやっているのでは?
  • 地味で面白い記事は、ある。あるけれど、そういう記事は盛り上がってない。
  • でもそれってライブドアニュースとかも同じでは?地味なニュースのほうが面白いんじゃないの?
  • 市民ジャーナリズムは現地報道出来たりするのが大きなメリットなんだろうけど…。災害でも発生しない限り、ねぇ…とか何とかかんとか。

 

死ね死ね詐欺炎上の順序について。

 あの話は2ch上では最初、サッカー板と既女板で盛り上がった。それが、→2chまとめサイト→Jcast経由→ニュー速へ。もしJcastを経由せず、2chまとめサイトやネットwatch板だけではローカルで済んでしまうところだったかもしれないが、その手のニュースサイトを経由した場合には大きく派手に燃え上がる。やわらか戦車に関しても、それなりのメディアに引っかかってからボカーンと行ったのでは?と。
 

2chの、主婦の井戸端会議化

 
 「あの人、○○やっているんじゃないかしら?」という主婦の井戸端会議的な憶測合戦が2chのなかで色々あるのでは?背景に何か“あるようにみえる”と陰謀視しちゃう傾向。
 

Flickerなどの写真共有サービスについて

 写真だけ共有するんじゃ、プロ撮影家の人以外にはあまり関係ないかも、という話について。

  • Flashとかが絡まないと面白みが無いんじゃいかとか、気軽にコラージュ出来るサービスじゃないとダメなんじゃないか、という話があった。
  • でも、それって優れてオタク的な感性ではないか。ペットの写真をアップロードして満足している層とか、猫の画像をみている人には遠いんじゃないか?
  • …と、思ったら、ライブドアクリップの画像をkanoseさんがリアルタイムでみせてくれた。なんか、飲み会の写真やら台湾旅行の写真やら、とんでもないものが次々と!なんだ、結構みんな無防備に使ってるじゃん!

→家族写真・ペット写真系の人がフォトストレージ系のサービスを選択することは多そう。少なくとも、故意に写真共有サービスを選ぶという事は無いかもしれない。でも、偶々pyaを選択しちゃったって人はいるだろうし、規約やら何やらすっ飛ばして使っている人は…(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
 
 (id:zoniaさん、間違い修正ありがとうございます)

クソゲーの話

 

  • すぐに名クソゲー化するコンテンツと、時間をかけて名クソゲー化する作品。昔の名クソゲーは、事後的に発見されたのではないか。でも最近は名クソゲー化がリアルタイム化してきているかもしれない。例:MUSASHIやキャベツはすぐに「迷コンテンツ化」して素早く話題になった。例:マインドシーカーやたけしの挑戦状などは、時間をかけて名クソゲーになってきた。
  • アニメやゲーム以外に、名クソゲーに相当するような話題になるコンテンツが出る分野はあるの?

→アニメ・ゲーム以外のジャンルの名クソゲー的作品として紹介されたのは、『シベリア超特急』『リアル鬼ごっこ』では?という話が出た。
→ダ・ヴィンチに特集されない『リアル鬼ごっこ』に関しては、でも十代〜二十代後半女性あたりが、意外とネタじゃなくてベタとして楽しんでいるんでは?という指摘も。“そういう世代・そういう文化圏”がいるんじゃないかという話が出た。異なる文化圏に住んでいると「誰があれを読んでいるのか?」的な作品なんだけど、ある種の女性達のニーズには乗っかってるんじゃ、と。でも、『リアル鬼ごっこ』タイプの作品を誰が誰に対してどうマーケティングするのか、というのはなかなか容易ではなかろう、とも。事後的な分析は簡単かもしれないが、事前に狙って当てるのは大変だろう、とも。
 

 ※二次会以降の個人的感想は、また後で。長すぎ!