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シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

「スピリチュアル依存・自己啓発依存とエゴグラムのAC」

おしらせ

 
エゴグラム診断で判明! 他人に合わせて疲れてしまう人の特徴と対処法 | 恋愛jp
 
 いろんな偶然や縁が重なって、いつもと畑の違う「恋愛.jp」のインタビューに登場したりしています。
 
 で、タイトルは上のとおりですが、私が質問されたメインは「スピリチュアル依存・自己啓発依存ってどうすんのよ?」というものでした。
 
 私はスピリチュアルや自己啓発も、他人から依存だと言われるほどやり込まないぶんには“害が少ない”と思っています。別にやったっていいんじゃないか。きれいな石ころをありがたがってみたり、パワースポットに出かけたらパワーが湧いてきたように勘違いしたり、たまーに自己啓発の本を買って自分がアップデートされたように誤解したりする程度なら、初詣でおみくじ買うのとたいして変わりません。
 
 ただし依存となると話が違います。科学的な諸判断を擲ってスピリチュアルを盲信すること、自己啓発に深く入れ込んで万能薬のように拝み倒すこと、それらは大きな問題です。
 
 でも、依存って別にスピリチュアルや自己啓発の独壇場でもないんですよね。
 
 世の中には、用法用量を間違えなければ“害が少ない”けれども依存すると危ないものはいっぱいあります。脳に直接作用する薬物を抜きにしても、ダイエット・ギャンブル・インターネットなどはドップリとはまり込むと社会生活や判断力をだめにしてしまいます。アニメやアイドルやゲームにしたって、考えようですが、依存と呼べるほどに一心不乱に打ち込んでしまうと社会生活に大きな偏りが生じることがあります。
 
 個々のジャンルやコンテンツが悪いっていうよりも、依存と呼ばれるような、盲信的なのめり込みこそが問題なのだと思います。ほとんどの人は適度にお付き合いできるのに、ごく一部の人は適度なお付き合いができずに猪突猛進してしまうわけですから、そこにはジャンルやコンテンツの問題だけでなく、その人自身の問題がやはりありますよね。
 
 で、リンク先ではエゴグラムの(AC)の項目が問題になっていますが、どうもこの、(AC)の項目が高い人って、自己愛を充たしてくれる対象だとか、承認欲求や所属欲求を充たしてくれる対象だとかと、うまく距離感がとれずにワーッと近づいていってしまいやすい人が多いように思うんです。対象にもたれかかれると信じたら全力でもたれかかってしまう人、それか、(対人関係をはじめとする)心理的な対象物とうまく距離を置くのが慣れていない人、そういう人がけっこう多い。
 
 要は対人関係の適切な距離がとれていないってことだと思うんですよ。あるいはジャンルやコンテンツを拝む際にも上手な距離がとれないというか。
 
 そういう人の依存問題の短期的な解決は、依存といかに手を切るかですが、中~長期的な解決としては、私は「ほどほどの距離」を身に付けていくことだと思います。近づきすぎず、遠ざかりすぎない距離感で、人間とも、自分の好きなものとも付き合っていける、そういう心理的な距離感をどうやって育てていくか。
 
 コフートの自己愛理論などを思い出すにつけても、そういった心理的な熟練や習熟の問題は長い時間をかけたお付き合いが必要で、心理的な距離の問題をトレーニングする一助として淡白なお付き合いはやはり必要だと思うんですよ。簡単ではないけれども、人間は生涯をかけて自分自身と対象との心理的な距離をモディファイしていくものなので、工夫の余地は多かれ少なかれ全員にあると思います。
 
 ちなみに後半、twitterのことも書きましたが、これはアルファツイッタラーのようなtwitterジャンキーになれという意味ではありません。小さなアカウントがボソボソとつぶやくような、静かなtwitterの付き合いが良いよね、という意味です。不特定多数を相手取ったアイドル気取りのtwitterは、依存になりやすい人には危ないのでご注意を。まあ、このブログの常連さんなら百も承知でしょうけれどもね。