シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

やまもといちろう氏の欲張り発言から、壮年期について考える

 年寄りがジョギングしたりサバゲやったりマラソン出たり元気そうで羨ましい: やまもといちろうBLOG(ブログ)
 
 上記リンク先で、やまもといちろう氏が「サバゲやゴルフをやる暇が無い」「休肝日がしんどい」と嘆いているのを見かけた。欲張りすぎですよ、切込隊長やまもといちろうさん!
 
 
 会社の業績だけじゃなく後進の育成や、社員の生活のことまで目配りしながら頑張っていて、子育てもやっていて……それでもまだ、サバゲやゴルフまでやろうっていうんですか。そんなことじゃ、身体がいくつあっても足りませんよ。クローンロボットでもあれば何とかなるかもしれませんが、通常、人体は一人に一つしか与えられないので、実際には一人の人間が一時に出来ることなんて限られています。で、時々、身体的制約をオーバーするような不眠不休をやらかした挙句、身体や神経を壊して病院に来る人達もいたりしますが、そうなってもらっちゃ困るわけですよ。身近な人達はもちろん、ネットウォッチャーの我々としても。
 
 で、なんですかそのアルコールの量は?ビール大瓶を一ダースは飲んでいた?あー、通風一直線じゃないですか。もはや通風は贅沢病ではないけど、現代でも「食べ物病」という傾向はあると思います。節制しないで美味しいビールやお肉を食べていれば、尿酸値に限らず、メタボな数値は上がりやすくなっちゃいますから。
 
 それに、頭蓋骨の内側を念入りにアルコール消毒しすぎていると、アルコール関連の精神疾患が待っているかもしれません。そうなると、会社や家族やネットウォッチに甚大な支障を来たしてしまうでしょう。「数々の炎上劇を鮮やかに斬ってのけたやまもといちろう氏も、酔った勢いで炎上ツイートを繰り返すようになっちまったなぁ。諸行無常よのう。」という未来をファンは望んでいません。
 
 そういうの、困るんですよ。我々ネットウォッチャーとしては、あなたにはずっと元気でいていただきたいのです。還暦を迎えても、ハックルベリーやmixiを煽り続け、若いインターネッターから「やまもといちろうの爺さん、いつまで経っても煽り芸がやめられないのね…」と囁かれている姿をこそ見たいのです。そのためにも、長く細くお酒を楽しんでいただきたいと、僭越ながら申し上げる次第であります。
 
 

「愛することと働くこと」

 
 以下は、もう少し真面目な話として。
 
 こういう悩みは、働き盛り&子育て中の男女にはよくあるものだと思います。思春期に比べると、娯楽や学習といった自分自身のために費やす時間が激減し、自分以外の誰かのために費やす時間がどんどん増えていって暇が無い――そんななかで、伸び伸びした時間を過ごしている年配者を羨やむのは、むしろ自然なことだと思います。
 
 その一方で、自分以外の誰か――とりわけ自分自身が大切だと思う時間・場・記憶を共有している誰か――に対して時間や情熱を費やす生活も、それはそれでかけがえの無いものだと思います。誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすることは、ラクではないし、部活動の練習に似たしんどさもあるけれども、そこにしか無い豊かさもあれば、そこにしか無い喜びもあるかと思います。今日日は、そういう生き方をしたいと願っていても出来ない人も結構いるし、そういう境地に喜びや楽しみがあることに気付かぬまま素通りしていく人も多いようです。
 
 しかし実際には、やまもといちろう氏は「誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすること」といった縁を結び、その値打ちを認識しながら職務や子育てにに精励していらっしゃるという。すばらしいことじゃないですか。
 
 世の中には、やまもといちろう氏と似たような年齢や地位を迎えながらも、誰も愛さず、誰も育てず、自分の楽しみと利益だけに汲々としている人もいます。彼等は、自分の娯楽をとことん満喫しているかもしれません。けれども、そのような娯楽三昧の人達は「誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすること」という、氏が最近発見した喜びを体験するどころか、たぶん気付くことすらないでしょう。自分の好きなモノを愛することと、自分以外の誰かを愛することには、ニュアンス上、越えられない相違があると私は思っています。
 
 それと、この手のことにはタイミングがあります。
 
 仕事にせよ子育てにせよ、何かを世話し育てやすい時期というのはやっぱりあると思うんです。若すぎれば自分自身のことに意識が向きすぎてしまうし、歳を取りすぎれば、今度は身体的能力的な衰退が問題になってしまい、最悪、自分が世話されなければならない立場になってしまうかもしれません*1。「働き盛り」という言葉もありますが、実際、プライベートでも職場でも、「誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすること」に一番本腰を入れて取り組めるのは、壮年期を置いて他に無いのではないでしょうか。ここでも、歳月は人を待ってくれません。
 
 また、「誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすること」をやらないまま娯楽三昧の日々をストレートにやり続けるのと、それらを経由してから娯楽三昧の日々に到達するのでは、表面的には似た着地点でも、心境的には全然違ってくるんじゃないかと思うんですよ。年輪の重ね方、というか。
 
 だったら、今しか出来ないこと・今こそ一番やれることを、トコトンやりこむのがいいんじゃないか、と思ってしまいますし、氏は実際にそれをやってらっしゃるように見えます。冒頭、釣りタイトル的に「やまもといちろう氏の欲張り発言」などと書きはしましたが、それだけ「誰かを世話し愛すること・誰かのために何かをすること」にリソースを注力していることの証左でしょうから。私は、あなたの生き方を見習いたいと思いました。
 
 
 ※こんなことは百も承知のような気がしますが、あれもしたい、これもしたい、になってしまう心理に共感せずにいられず、また実際に欲張りすぎて精神科に流れ着く人もいらっしゃるので、自戒をこめつつ、このような言及をさせていただきました。
 
 ※氏におかれましては、身体を壊さない範囲でビールを嗜まれ、周囲の人を幸せにし、ネットウォッチにおいても一層ご活躍されることを、心からお祈り申し上げ、本文の結びとさせていただきます。
 

*1:そもそも、そんな歳まで生きていられるという保証はどこにも無いですし