シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

隠れオタク女子を検出するマーカー開発

 
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 多くのオタク男子というのは、脱オタ技術を身に纏うでもなく、ひたすらオタク趣味に時間とお金を蕩尽しているために遠目にも見分けがつきやすい。コミュニケーションに関しても、話題・話法・表情などにおいて「いかにもオタク的」な彼らを見抜くのはそう難しいことではない。*1
 
 では、オタク女性も見抜きやすいかというと、そうは問屋が卸さない。女性世界のなかで(服装も疎かにして)おおっぴらにオタクをやるという事が何を意味するのか、殆どのオタク女性達は知り尽くしている。完全に開き直った一部女性オタクを除けば、オタク女子達は女性としての社会適応を維持するためにそれなりの労力を費やしている。このため、通り一辺倒の会話だけで「こいつはオタク女だな」と見抜くのは至難の業である*2。オタクな彼女を探し求めている男性オタク諸氏にとって、これは厄介な障壁だ。
 
 だけど、諦めるわけにはいかない。オタク女子やちょいオタ娘を検知する勘というやつは、意識して修練すれば強化出来るとものだと思う。とりわけ、オタク女子を実地で観察している場数が多ければ多いほど、勘は鋭くなる、筈だ。身のこなし・発言・イントネーション、などなどに、オタク属性の強い女性ならではの特徴を見出すのだ。所見ひとつでオタク女性を確定することは不可能としても、幾つかの兆候を重ね合わせることによって隠れたオタ女子を発見する、または目星をつけるぐらいの事は出来ると私は確信している。
 
【オタ女子捜索レーダーを鍛える修行際の心構え】

・ともかく勘を磨くには場数を踏むのが一番。オフ会やコミケで女性オタの言動をよく観察しろ。オタクな彼女達が、人前ではどんな風に猫をかぶるのか、どんな服装でごまかすのか、何度も何度も観察すること。池袋やゲーセンにいる時と、そうでない時のギャップを観察出来れば非常に勉強になる。
 
・つまり、オタク女性にあって非オタク女性に無い特徴は何なのか?その、違っているところが大切なマーカーになるわけだ。今回、私なりに探知マーカーを幾つか挙げてみたけれど、他にも言葉に出来ない次元で様々な兆候をあなたも感じるんじゃないかと思う。感覚を研ぎ澄ませ!
 
・親族にオタ女子がいると、滅茶苦茶勉強になる気がする(ちなみに、私はこれに当てはまる)。四六時中観察出来るっていうのは強い。妹自身のオタっぷりや振る舞いだけでなく、心的傾向についても熟知出来るかもしれない。さらに妹自身が「オタな女友達」を連れてくるとなれば最高だ。色々なことがみえてくるしわかってくると思う。
 

【僕がオタク女子マーカーとして着目している兆候】
 
 1.最も重視すべき所見(これをみたら他の所見を探せ!)

・「聖剣」「勇者」「復活」などといったオタ界隈らしい語彙への愛着はみられないか?日常彼女が使っている単語のなかに、オタ界隈と共通する語彙がどれほど混じっているのか、出来る限り調査せよ。また、それらの単語の用法がオタク的文脈に合致していればしているほど、隠れオタク女性である可能性は高い。ラノベ・アニメ・RPGあたりにこっそりハマっている女性で、本当はオタク会話したいけど出来ない状況にある女性などは、そうした単語を無意識のうちに用いている事が少なくない。
 
・付け加えると、体力を「ヒットポイント」に、気力を「マジックポイント」に、経験を「経験値」に、言い換えてしまうような女子は見逃してはいけない。どうしてそんなにRPG用語が身近になっているんですか?貴女は?*3
 
・たまたま漫画やアニメの話になった時に、身を乗り出して話をはじめるような痛い女性オタはあまりいない。むしろ多くの隠れオタ女性は、自ら馬脚を顕わさないように注意深く行動する。漫画やアニメの話になった時の女性観察では、
普通の女性:屈託無く無知を晒してアハハと笑う
痛いオタ娘:声優の話をするなどして暴走する。っていうかつまはじき。
興味無い女性:退屈そうな顔をする。あくびをしたり、気が抜けている事多い。
隠れオタ娘:漫画やアニメの話と距離を保とうとする。適当に相槌をうとうとする。だが、どこか緊張していて気を抜いていない。
 
 といった所見を得ることが多い。ゲームの話にしても同様で、十分に聡明な彼女達は、余計な足が出ないように注意深く首を引っ込める。オタクとしての業が深ければ深いほど、隠れオタク女性は自分のオタ属性を隠蔽しようと頑張るので、その対処行動をこそ捉えよう。アニメの話をしているか否かだけで女性をみていると、本質を見落とすと思う。(なかには“首の引っ込め具合”すらマスクしてしまう女子もいるが、これはもうどうにもならない)
 
・「オタクの話題じゃないけど、オタクなら知っている」分野に妙に詳しい事で馬脚をあらわす女性オタクも時に存在する。(迂闊にも)印刷業、画材屋、フォトショップなどで妙な頭角を顕したら、その背景について想像してみるのも一興。直接質問しても絶対に真偽のほどは分からないので、他のオタ女性マーカー陽性かどうか照らし合わせるしかない。
 
・なお、単にパソコンに詳しいだけでは女性がオタクであるかどうかは分からない。特に職業上必要なアプリケーションであれば、昨今の若い女性は十分に使いこなし得る。とはいえ、職業上全く必要ない筈なのに妙にPCに詳しい女性・ネットや2ch(やはてな)などにやたら詳しい女性・描画やスキャナといった画像分野に鬼のように詳しい女性は積極的に疑ってかかっておいて良いような気がする。
 
・(追記)はてなブックマークのほうで、id:rumble_ponyさんから重要な指摘を頂きました。『在京経験もなく、両親も標準語圏出身じゃないのに標準語を話せる、ニュアンスがいつの間にか標準語寄り。』これは気になります。とても気になります!ついでに言えば、ちょっと普通の標準語とも違うような、敬語の使い方も独特のような、そういうものがあると思います。この辺りは、id:crowserpentさんが標準語とオタク - 烏蛇ノートでまとめて下さっています。是非ご覧ください。
 

2.参考所見(他の所見がある場合には、オタク女子やちょいオタ女子の可能性を疑ってかかる) 
 
・絵文字の使い方に着目してみよう。その絵文字は携帯電話にデフォルトのタイプでしょうか?その絵文字はテレビにも出てくるような絵文字でしょうか?数ある絵文字といっても、携帯電話の文化圏に十分浸透しているものと、ネット界隈でしかみないものがある筈。そこら辺をじーーっと観察していると、幾らか参考になる所見に出くわすかもしれない。
 
・あなたの周りには、何でもデータベース化してしまわないと気が済まない女性がいませんか?データへの愛着や執着・属性整理大好き、という女性が実はちょいオタ娘だったという事例をみたことがあるけれど、彼女はスパロボ好きの男性と先日結婚しました。
 
・ピンクハウスやゴシックロリータの傾向に嫌悪感を示さず、それをスペックダウンしたような普段着を好んでいる女子。きわめてわかりやすい、シンボリックな女性性の提示(しかし肉体的なものではない)に憧れている女性のなかに、オタ娘やちょいオタ娘が結構紛れ込んでいるような気がする。オタク男性が好む男性性が極めてわかりやすいものになるのと同様(そして彼らのファッションがしばしばわかりやすい格好良さを追い求めがちであること)、オタクな傾向の強い女性が好む女性性というのはやっぱり分かりやすいものである事が多いように思える。
 
・あと、『げんしけん』に登場する荻上さんみたいなオタクは、男性側にも女性側にも確かに存在する。オタク趣味への同族嫌悪が強く、オタク趣味に対してやけに批判的なのに、このテキスト内のその他のオタクマーカーに引っかかるようだったら十分怪しんでおくこと。ただし、『げんしけん』と異なり、リアル荻上さんはしばしばとっかかりが非常に悪く、凶暴で、なんともならない。同族嫌悪で弾かれるリスクが高い。
 
3.オタク女子の確率が低くそうな所見(とりあえず後回しok)

・オタク女性の露出度はまず間違いなく低い。自分の身体を露出度の高い服装で誇示するオタ娘は極めて稀だ、みたことがない。むしろ、服飾に備わった各種装飾記号によって女性性を表現しようとする。美しいボディラインを強調する服飾の女性は、とりあえずスクリーニングから外しても良いのかもしれない。
 
・ビジュアル系の格好をした、そっち系の女性オタクというのは確かに存在する。ただしビジュアル系の女性オタクのなかには、しばしば男性オタク趣味に過剰なまでの攻撃性を示す人達が混じっているので、もう最初から別種族だと思って関わらないほうが良い。1.のマーカー群で“強陽性”でも無い限りは、触らぬ神に祟り無し。
 
 
【総括:長く観察しろ!場数を踏め!勘を鍛えろ!】
 
 こうした陽性/陰性マーカーを組み合わせて、対象がオタク女性/オタ属性の強い女性かどうかを探知していくと良いかもしれない。ここに挙げた項目は、積極的に自分から質問をしなくても、じっと長く観察していればいつかわかるものばかりである。逆に、ある程度長期間の観察や交際がなければわかりっこないし、日頃から意識して着眼していないと素通りしてしまいやすいものばかりである。アニメキャラのストラップをぶら下げているようなわかりやすいオタク女子ならいざ知らず、普段はオタ属性を表に出していない女子を探し出すとなれば、隠された痕跡を慎重に洗い出していくしかない。
 
 とはいえ、そんなに悲観する必要もないような気もする。オタク女性と話す機会が多ければ、自然とレーダーは鍛えられるんじゃないかと私は楽観したい。ぶっちゃけ、直感が「こいつはくせぇ〜!オタのにおいがぷんぷんするぜ〜っ!」と思った時には、大抵あたっていると思う。少なくとも私の場合、擬態を見抜けずにスルーという『偽陰性』は数多あれど、オタ属性が無い筈の女性を有ると判断する『擬陽性』を経験したことは一度も無い。おそらく、「こいつオタ臭いな」と思っても即断せず、何ヶ月もかけて所見を集めることで『擬陽性』を回避しているのだろう。感覚を研ぎ澄まし、自分の勘を裏付ける所見を丹念に探り出すならば、あなたの身近に隠れているオタ娘/ちょいオタ娘をきっと探知できると私は信じている。
 

*1:最近は“脱オタ”による擬態が普及しつつあり、少しづつだが見抜きにくい男性オタクも増えている。…と言いたいところだが、同族の匂いは逃さない!

*2:とりわけ、ファッション・コミュニケーションの競争が激化している大都市圏のオタ女達の擬態は絶品、と表現したくなる

*3:さすがに4d6とかセーヴィングスローとかを口にする隠れオタク女子はみたことが無い。TRPGじゃなくてコンピュータRPGやラノベ水準までか。