シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

LEONって、煽り文句と紹介アイテムがアンバランスだなぁ

 アンバランス、とは言うけれどある種絶妙なバランスとも言えるんだけど…。
 
 LEON | 主婦と生活社
 [関連:]LEONとは - はてなキーワード
 
 先日、美容院で初めてLEONを読んだ。LEONの対象年齢は遙か遠く、四十代〜五十代ぐらいなのかな。今まで、いくら何でも読むには早いと思って立ち読みもしていなかったけれど、勿体ないことをしたかもしれない。噂を聞くだけと実際に読んでみるのは大きな違いだ。
 
 うわぁ、LEON面白い雑誌じゃん!
 
 対象年齢が対象年齢だけに、高い商品が惜しげもなく載っている。MEN'S NONNOなどが二十代前半男性の“現実的なおこづかい平均”を超越した商品を紹介しているが如く、LEONは中年男性の“現実的なおこづかい平均”を超越しまくっている。でも、両者は似て非なるものだ。MEN'S NONNOの金額なら、まだ金額的にも小さめだし親にせびる・お姉さんにせびるといったやり方で解決する事も出来る。当人が学生のうちは、手間暇かけてセンスだって養えるだろう。対照的に、LEONの紹介コンテンツ群はそうもいかない。ウン百万もの時計や自動車を購入し、長い手間暇をかけて凝った商品と文化を身につけ、年齢平均を超えた体型を維持するには、自分で金を稼ぐ能力を求められ、忙しいビジネスの隙間を縫ってセンスを磨き、泣き言を言わずに身体を鍛え続けなければならない。色んな意味で敷居が高いことこの上ない。コンセプトや品物選びだけを参照するにしても、ウン十万単位のポケットマネーを手にした男達でなければ“LEON的なスタイル”なんてとても出来たものじゃない*1
 
 あと、この雑誌は売り文句が最高だ。「モテ」「モテ」「モテ」のオンパレードの前に、私は思わず失笑しそうになった*2。いい歳して「モテ」ですよモテ!はははははは!凄い煽りだ!八月号全体を通して何回「モテ」って単語が登場してるのやら!?もちろん、この場合の「モテ」は必ずしも異性に好まれるか否かというわけでは無かろう。紹介商品の性質からみても、年齢などからみても、LEONを読むような男性が今更「異性にモテなきゃ」という強迫性を持っている可能性は高くあるまい。それでも尚、四十代〜五十代の男性にアッピールするにあたって「モテ」を連発する、連発しなければならないというのは興味深い。高価な時計やハイセンスな服飾選びを提案する雑誌が、「モテ」連発で中年男性を煽るっていうのはどういう事なのかな?
 
 文化的にも廉恥心的にもハイレベルな何かを提案している雑誌の筈なのに「モテ」「モテ」「モテ」の連発っていうのは、LEON購入層がアレでナニな読者層だと想定しているのかな?そういえば、アイテム紹介時の文章をMEN'S NONNOと比べてみると、全然代わり映えしない文章&構成のようにみえる。商品が高価で対象年齢が中年という事を除けば、MEN'S NONNOやGainerと全く同質の“煽り”が繰り広げられているってぇのは、なんとも珍妙なバランスを呈しているようにみえた。値段・商品層・提案されるコンセプトなどを考えた時、もうちょっとお上品な“煽り”なんじゃないかなぁと私は想像していたんだけど、開けてびっくり、二十代男性雑誌顔負けの「モテ」の連発と煽り記事の垂れ流しとは驚いた。これは、読者がアレだと想定されての事なのか、それとも、制作者サイドがアレなのか、はたまた“楽しく読んでくださいね☆”という茶目っ気なのか?
 
 まぁどれでもいいや。とにかく、このアンバランスっぷりも含めて面白い雑誌だって事はよく分かった。この素敵な雑誌を時々立ち読みしてみることに決めた。素敵な商品を見つけたり、恰好いい中年男性の恰好を目に焼き付けたり、煽り文句に笑いを誘われてみたり、私なりの愉しみ方は沢山ありそうだ。飽きない程度にお付き合いしてみよう。
 
 最後に、いかにもな予告を。

【LEON9月号予告】
#01モテる夜遊びはお誘い上手なワザありき!
#02モテるオヤジのシャツは“スケテロ”で“乳リッチ”
#03モテるオーラは“美焼け”から!
 
(LEON | 主婦と生活社)より

 
 なんとも直球勝負な煽り文句のオンパレードだ。でも、この雑誌はこれでいいのかもしれない。ぶーぶー不満言うよりも、私なりのお付き合いの仕方で楽しもう。
 

*1:金銭的余裕も無いのにLEONスタイルを実行しようとした妻子付き男性は、妻から三行半をもらっても不思議ではない。でも対象が一千万以上の年収男性だから、まぁ、いいのかな

*2:というより失笑しそうな私に美容師さんが気付いているっぽかったので、後でLEON談義をする羽目に!でも面白かったけど