シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

炎上ブロガー批判論――批判か?興行か?

 
 
「ネットと現実は違う」のか、「ネットには人間の本音が書かれている」のか? - いつか電池がきれるまで

 
 炎上ブロガーについて書いた下書き文章がリンク先と地続きになっているので、手直しして書き留めておく。
 
 

炎上ブロガーと批判者は、構造上、win-winになり得る

 
 
 炎上ブロガーとその信者を批判する炎上ブロガー批判者は、たんなる攻撃者と被攻撃者の関係にあるだろうか。
 
 批判者は、炎上ブロガーを批判することによって名声や正統性を獲得したり、ときにはアフィリエイト収入を獲得したりする。
 
 対して、炎上ブロガーは批判されることによって(悪名といえども)知名度を獲得する。と同時に、批判者を馬鹿にし、こき下ろしてみせることで、悪名に免疫のある信者達の信仰心をいっそう高める機会として批判者を利用することもできる。
 
 何が言いたいかというと、炎上ブロガーと信者達と、それらに対して批判的言及を繰り返している者の間には、一種の共犯関係、いや、共生関係が生じてしまうのではないか、ということだ。
 
 炎上ブロガー批判者には社会的道義性にもとづいた「負けることのない」計算があり、その結果、炎上ブロガーを批判する者には「悪者を懲らしめる」大義名分がついてまわる――「滅べ!悪の炎上ブロガー!」
 
 しかし、批判のもうひとつの側面に目を向けると、炎上ブロガー批判者は、炎上ブロガーがしぶとく生き残り続け、さんざんバッシングされながらも繁栄し続けることによって、みずからの名声や正統性やアフィリエイトを“稼ぎ続ける”こともできる。なぜなら炎上ブロガーは有力な批判を受けることによって信者を結束させるための外敵を獲得し、さらに(悪名といえども)知名度を獲得することで信者を捕縛するチャンスまで獲得するからだ。結局、有力な批判をくれてやれてやるほど炎上ブロガーは肥大化し、それに伴って批判者側のメリットも大きくなっていく。
 
 炎上ブロガー批判が、炎上ブロガーを根絶する方向に機能するのでなく、むしろ生き長らえさせる方向に機能するからこそ、炎上ブロガーとその批判者が、ある構造次元においてマッチポンプな関係を形成することはあり得るわけである。
 
 批判者が炎上ブロガーに全面的に依存している、なんてことは普通はあり得ない*1。だが、炎上ブロガー批判が定番のひとつになっている、というアカウントは存在し得るだろう。その際、批判が炎上ブロガーの知名度獲得を手助けし、と同時に炎上批判者自身のメリットも拡大する……という構図は、意識的な行動の結果としてであれ、無意識の欲動にもとづいた行動の結果としてであれ、起こり得るものではないだろうか。
 
 だから、炎上ブロガーをさんざん打ち据え続ける批判者と、炎上ブロガー自身とは、[批判する-批判される]という関係をとおしてwin-winの関係を取り持っている、という一側面を有し得るし、この視点で炎上ブロガー批判を眺めると、正道を守るための戦いの装いが、一種の興行、プロレスのようにもみえてくる。
 
 たとえば炎上ブロガー批判の名人として知られるid:hagexさんは、繰り返し自らをゲスと呼んでいる。実際のhagexさんは、清く正しい心の持ち主に違いないのだが、かりに、hagexさんが真にゲスいネットプロレス王だったなら、炎上ブロガー達と八百長カルテルを結んでいてもおかしくない。
 
 あるいは、id:paradisecircus69さんによる“はてなブックマーク互助会”批判でさえ、絶対に考えを改めることのない信者集団との間に、言説空間における奇妙な“合いの手”が発生してしまっている。数々の批判は、批判対象の力をどこまで削ぎ、どこまで助けているのだろうか。
 
 断っておくが、証拠もないのに個々の批判者の意図を忖度するのは無駄であり、あまり行儀の良い行動でもあるまい。ここではわかりやすい例としてhagexさんとparadisecircus69さんのお名前を拝借したが、ご両人が共犯関係や共生関係を意識的に狙っている、とみるべきではないだろう。
 
 しかし、意識や狙いとは無関係に、メディア言説空間の構造上の問題として、炎上ブロガーと批判者の双方がメリットを獲得し得る状況というのはあって、そのときは“両者がともに勝利する”状況は避けがたい。このことは、インターネットというメディアを眺める際の視点として、捨ててはいけない気がするのだ。
 
 

批判が正解か?スルーが正解か?

 
 もし、あなたがインターネット上で不埒な行動を繰り返すアカウントを見かけた時、鋭い批判を投げかけるのがベストなのか?それともスルーするのがベストなのか? これはとても難しい問題だが、ともあれ、批判を投げかけることによって批判対象をかえって増長させてしまうような構造が発生し得る点には、つねに注意が必要だ。
 
 [たぶん、こういうのにも関係あるんじゃないでしょうか]:カルト的人気の水素水、クックパッドの“つくれぽ”まで波及 : 市況かぶ全力2階建
 

*1:稀に、粘着アカウントがそのような行動をとることがある