シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

好かれる女子の心情も考えてあげてくださいよ

 
2007-04-11 - 力士の小躍り
 
 ある日、職場やクラスメートの女子に惚れていると気づいたとしても、その日から好きになった相手一人にいきなりアプローチして上手くいく筈がないのはid:takisawaさんの仰る通りだと思う。疎遠な仲の女子に対して、ある日を境に掌を返したように態度を変化させるとしたら、さてどうなるだろうか。よしんば女子の側が誰かに好かれたいという期待があったとしても、まずは戸惑ったり不安になっちゃったりするんじゃないかと思う。
 

好かれる側の不安や疑問

 
 第一に、対象異性との接点が少ない状況下のアプローチは「なんでこの人は私に寄ってきたんだろう?」「この人は私の見た目以外のどこをみてくれているんだろう?」という疑問を女子側に促しやすい。この疑問は、ともすれば「私の見た目以外、この男は何を見て知っているの?」「もしかして私の身体が目当てなんじゃないの?」という不安にすら成長しやすく、その帰結として「私のことジロジロみていて怖い」という嫌悪に到達する可能性をも秘めている。ルックスを褒められることを喜ぶ女子が多いとはいえ、見た目以外の色々を知ったうえでアプローチしてくる男性をこそ、彼女達はまともな交際相手として望んでいる。だが突然の一本釣り的アプローチは、上記のような(誤解を含んだ)疑念と嫌悪感を育むにはなかなか好都合だったりするので、あなたの“純真な好意”が「身勝手なエロ男」と誤読される可能性すらあるわけである。 エロゲ脳的観点からすれば、「素敵な異性が突然体当たりしてきたり、突然因縁をつけてきたり」というのは悦ばしいことのようにみえるかもしれないが、女性の場合はそうはいかないということだ。“男性依存・セックス依存になっているわけではない、大抵のクラスメート女性”は、どれほどの美男子であったとて、どこの誰だか詳細不明の相手にいきなり濃厚に関わられることを望んでいない。
 
 第二に、女子仲間の間にあなたに関する情報が無かったり、あなたに関する好ましからぬ噂があったりする場合には、事態は一層まずいことになる。好かれる側の女の子は、突然であろうあなたのアプローチに際して、“女子仲間”という名のネットワークを通してあなたが何者であるのかを照会しようとする*1。“女子仲間”というネットワークに比較的好ましい評価が流布している場合は大丈夫だが、情報が少なかったり惨めな噂が立っていたりする場合には、まぁ厳しいだろう。あなたのことを女の子側がよく知らない状況においては、“女子仲間”への照会結果は露骨なバイアスとなって女の子側の心象を形成しがちであることを心得ておいたほうがよさげである。
 

惚れられる側の気持ちを想像し、出来たら配慮してあげよう

 
 惚れている男の側、つまり異性を選ぶ側も期待と不安でいっぱいだろうけれども、惚れられる女の側、つまり異性に選ばれる側もまた、異なった形の期待と不安でいっぱいなのだ。あなたが自分の好意が受け容れられるかどうかをドギマギしているのと同等かそれ以上に、女の子の側も「どんな男に好意を持たれたのか」「好意を持ってくれた男が何者なのか」とドギマギしている事にあなたは気づいたほうが良いだろう。惚れる側も必死かもしれないが、惚れられる側も必死。ある程度聡明な女子なら、モテたモテたと有頂天になる前に、ハイリスクな男性かどうかを精一杯知ろうとするに違いないし、リスクを推測する材料が少ない場合には警戒の色合いを深めるのは無理のないことだ*2
  
 肯定的な情報がろくに無い正体不明の男から、突然一方向的にアプローチしてきた時に女子はどんな心配を覚えるだろうか?そして心配を緩和するにはどんな方法があるのか?これは思案の価値がある。間違いなく言えるのは、惚れられる側の事情や心境に対してなんら想像力を働かせることなく、己の発情期と手前の恋愛空想だけに目を奪われているようではダメだろう、ということだ。大抵の女子は、惚れられる側の心情に対して想像力の欠落した振る舞いをみせる男など御免こうむりたいと思っている*3。「こいつはあたしの心情なんかそっちのけで、勝手に惚れて勝手に舞い上がってる」と女子に思い込まれるようでは、恋愛成就はさぞ難しかろう。
 

*1:完全に孤独な女の子ならそうならないかもしれない。ただし、そういった女子の少なからぬ割合が自分に近づいてくる他人に高い警戒感を抱くことは付け加えておく。

*2:なお、手馴れた女性のなかには男を瞬間的に評価できる女性もいるが、この瞬間評価型の女性の場合も、女性側の不安に無頓着なまま発情オーラをぶつけてくる男性には評点が辛くなりがちであるのは言うまでも無い

*3:余程の宝石の原石でもない限りは