2008-06-15 - 古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」
リンク先の文章には、基本的に同意できない。
id:republic1963さんいわく、多くの音楽やゲーム・コミックは「大人のコンテンツ扱いしてもらえない」。だから「そんなことしてないで、お前も大人になれ」と周りの大人に迫られてしまう、のだという。
それは本当なんですか?
私の周りでは、還暦を迎えてもミリタリー趣味に夢中の人や、ピコピコ音楽が大好きな人を案外見かけたりします。『ガンダム』や『信長の野望』の話になると目を輝かせる四十近くのおっさんだっている。そんな彼らが「大人になれ」と言われているかと言ったら、全然そんな事はなくて、高い社会見識を持ち、職場の色々な人に信頼もされている。ピコピコ音楽大好きの人などは、歳も歳だというのに、Perfumeもかなり前から聴いていたようです。自分の文化クラスタを大切にしている大人というのは、いないようで、結構いるものです。
ただ、そんな彼らではあっても、人付き合いにそれなりのエネルギーを費やしているという印象はあります。さすがに平日に飲みに行くような人はあまり見かけないけど、それなりに付き合いはやっているし、自分の好きな文化クラスタ以外の人と会話している時も屈託無く振舞っています。たまたま自分の文化クラスタの話題になった時も、相手の理解度に合わせて静かに話をする感じです----趣味の世界に時間とお金を際限なく使っている人の場合でも。
だから問題なのは、「趣味が大人っぽいか否か」ではなく、「自分の態度や意識が大人になれてるかどうか」ではないのでしょうか。文化系クラスタやオタククラスタを主な趣味としている人であっても、節度ある大人として行動し、実際に周りの人にもそう認知されている人というのは幾らでもいます。一個人が大人か否か・未熟と揶揄されるか否かは、どんなhobbyを持っているかとは無関係な所で大方決まってくるものじゃないでしょうか。カラオケやゴルフを主な趣味としている人でも、「子どもじみた振る舞い」と陰口を叩かれる人は幾らでもいます。ネットでは時々、「俺が子ども扱いされるのは、俺の趣味のせいだから仕方ない」って文章をみかけますが、ああいう人達って、自分自身の問題を、自分の愛している(であろう)趣味に責任転嫁しているだけなんじゃないんですか?
本当に自分の趣味や文化クラスタを愛しているなら、自分の趣味や文化クラスタのせいで自分は大人扱いされない、などとおおっぴらに言わないような気がする。本当に自分のhobbyが好きなのか、それとも自分のhobbyに陶酔している自分が好きなのか、小一時間問うてみたい。どういう趣味を持っているかに関係なく、一人の人間として出来るだけ大人の節度を守って、周囲との信頼関係を構築していくのが“成熟”ってやつなんじゃないですか。自分がどういう趣味や文化クラスタを愛好しているかに関係なく、むしろ背筋をピンと伸ばして振舞うぐらいでもいいんじゃないか。
確かに、アニメやゲームやある種の音楽への偏見はまだ根強いかもしれない。けれど「なんだ、あいつアニオタだけど、話せばちゃんとしてる」「アニオタは幼稚だ、ってのは偏見なんだね」と思って貰うように振舞う方法は幾らでもあると思うんです。また、誰かに未成熟呼ばわりされた時に、自分の趣味のせいにするまえに、考えるべきこと・できることっていうのはあると思うんです。もっといえば、自分の未成熟をアニメや音楽趣味のせいにする、という態度こそが、大人気ない。そんな態度をとっていれば、益々「ああ、やっぱりアニオタは幼稚だな」「変な音楽きいてる奴は駄目だな」といった偏見を助長することにもなりかねません。そんなことで、いいんですか。
だから敢えて言わせてください。
ヒノヽヽヽヽ\ ヽ r"" ̄ ̄(⌒ハ `V リ< ̄ ̄ ̄`i VU/ ~ニ=ッ r=| (fi ヽi |ヒヽ ‐/リ iヽ \ /≡V  ̄ハ \ `"川リ゙ ショカツリョウ 諸葛亮 曰く、 @@@他にすることは ないのですか?
「文化系における成熟問題」を嘆くよりも、自分の趣味を愛していく方法や、自分自身が成熟していく道筋を模索したほうが、建設的なんじゃないかと思いました。