シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

有名アカウントにシャドーボクシング→全能感ゲットというメカニズム

 ※PM8:00タイトル変更しました
 
 
 町山智浩氏が「評論はまるでダメ」発言に質問 - Togetterまとめ
 
 こういうの、全能感シャドーボクシングとでも言えばいいんでしょうかね。相手からのリアクションが無い時には「ビビってやがるぜwww」「返事できないでやんのwww」と自己陶酔し、いざ真面目なリアクションが返ってきたら「スルー力足りないっすねwww」とごまかすことでやっぱり全能感…。
 
 twitter・はてなブックマーク・blogのコメント欄などを見るにつけても、名の知れたアカウントにはたいてい、この手のシャドーボクサーが一人や二人はコバンザメのようにくっついていて、一人相撲に耽っているのもインターネットの風物詩といえます。
 
 
 【全能感シャドーボクシングのメカニズム】
 
 この手のシャドーボクシングをするにあたって必要なのは、【名の知れたアカウント】【我田引水な曲解の才能】なのかもれません。
 
 まず、名の知れたアカウント。見下したらさも自分が偉くなったように感じられる相手なら、誰でもいいでしょう。無名で普通な人を見下すよりは、できるだけ有名で見識豊かにみえる相手を見下したほうが、自分が頭が良くなったように錯覚しやすいかもしれません。
 
 それと、自分の行動と相手の反応をすべて自分にとって都合よく解釈できるような、曲解の達人であることも必要条件のようです。自分の発言がどんなにデリカシーを欠いていても「俺は頭がいいんだから当然」と思い込めて、相手のリアクションがどれほど正鵠を射ていても「スルー力不足の証」と馬鹿にできるぐらい自己中心的な認知の人なら、相手の発言内容のいかんに関わらず「俺のほうがこの有名人アカウントより優れている証拠」と解釈できるというものです。
 
 さらに全能感に拘るなら、相手の発言の細かな点に着眼して「これは俺の発言を踏まえて発言したものだなw」とか「これは俺の発言を受けて発言を控えたものだなw」などと思い込むことで、相手をコントロールしている幻想に耽ることも可能です。こうなると、なんだか誇大妄想みたいですけどね。
 
 だから、全能感シャドーボクサーは、いわゆる“無敵の人”です。
 
 どんなときでも俺の勝ち、お前は負け、と自動解釈するロボットみたいなもので、考えようによってはBOTに近い存在と言えるかもしれません。彼らが必要としているのは、自分自身の全能性と、それを映し返すための鏡としての有名アカウントだけなので、第三者からみて浅ましい言動を繰り返していようが意に介しませんし、勿論まともな意味のコミュニケーションなんてまったく志向していません。
 
 そう考えると、こうした全能感シャドーボクサーに対して真面目にコミュニケーションを試みるというのは――特に、第三者が何百人も見ているなかでコミュニケーションを試みるというのは――必ずしも慈悲深いことではないかもしれません。もしまともにコミュニケーションしてしまったら、自分が全能ではないことに気付いてしまってガラスのような虚栄心が粉々になってしまうかもしれませんし、そのような気付きを避けようと無理筋な言辞を重ねて、第三者からの評価がガタ落ちになってしまう*1かもしれませんから。
 
 そっとされている時が、たぶん全能感シャドーボクサーは一番幸せなんだと思います。シャドーボクシングのよりしろにされている側からすれば、迷惑なノイズですし、根拠の無い誹謗中傷をばら撒いている場合などは駆除が必要ですが、普段は放っておいたほうがお互いのためかもしれません。どのみち実のあるコミュニケーションが出来る可能性もあんまり高くなさそうですし、独りでシャドーボクシングしてまで全能感を求めてしまうからには、彼らなりの事情があるでしょうし。
 
 

*1:そしてその事に本人だけは気付かない