シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

重なりあうオタの傘と、オタク間コミュニケーションについて

 
http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20070403/p3
オタの傘:誰かの影響を受けるということ - REVの日記 @はてな
 
 核の傘ならぬオタの傘を被せあうことは、お互いの専攻分野・得意分野を伝道しあうだけでなく、オタク同士の共通した価値観を醸成する上でも有効かもしれない。そして共通した価値観を持つことはコミュニケーションを手助けすることだろう。
 
 一つの分野だけに血道を挙げるのもオタの道だけど、自分の専攻分野以外の楽しいコンテンツもつまみ食いしたいと思うのもオタの道。それに、自分の専攻分野以外にも触れることは自分の専攻分野を相対化した視点で眺めることも(幾らか)可能にするので、専攻分野の理解にも一つの道筋を与えてくれたりしておいしい。だから、私は積極的に他のオタの傘に入って知識や経験を吸収しようと思うし、また逆に自分の経験や体験やレビューを電波ゆんゆん発信しちゃおう。ネット上の誰かに影響を与えるだけじゃなく、周りの人にもよさげなコンテンツは紹介してあげよう。
 
 そうやって、「俺はシューティング、おまえライトノベル、あなた鬼畜系エロゲー」みたいな形でそれぞれが特化した形でコンテンツ情報を共有する緩やかな連合を形成すると、知識や経験が段々近しいものになっていくことだろう。この現象は、とりわけ土着の田舎オタコミュニティにおいては、コミュニケーションの観点からも重要だと思う。オタク小集団のなかでは、誰もがナンバーワンになれる - シロクマの屑籠に書いたように、小規模オタクコミュニティ(げんしけんぐらいのサイズなら都会でもok)においては、誰もが専攻分野のナンバーワンになることが出来るし、またナンバーワンになるしかない。こうしたコミュニティにおいては、互いに専攻分野の知識を提供しあって共有することが、個々人の優越感備給に寄与するだけでなく、各人の理解と価値観の共通基盤を強固なものにするという機能を併せ持つ。それぞれの専攻分野のオタの傘に互いに入りあうことで、(基礎的な)幾つかのコンテンツ経験を共有するとしたら、コミュニティ内のツーカーはよりスムーズなものなるだろう。コミュニティ内の成員が、各オタク分野において共通語となり得るコンテンツを消費しているというのは、絶対無視出来ないメリットなんじゃないかな、と思う。例えば“『つよきす』の蟹江きぬのような凶暴さ”という表現をコミュニティ内のメンバーが全員知っていたら、表現を大幅にショートカット出来る&笑いを共有できる場面というのはある筈なわけで。*1
 
 そういえば、“はてな村の一角”で『時をかける少女』が一時期持て囃された現象も、“はてな村の一角”内の共通理解を促進してコミュニケーション上のちょっとした足しになったかもしれない。コンテンツ体験を共有することは、田舎のオタクコミュニティのコミュニケーションをより容易にするだけでなく、オフ会においても「会話」や「共通する価値観や理解」の橋頭堡として役に立つんじゃないかと思う。コミュニケーションの為だけにオタクコンテンツを選択するなんてナンセンスもいいところだと思うけれど、副次的効果として「オフ会で会うあの人」とのコミュニケーションを助けてくれたり、コミュニティの共通理解の基盤を強化してくれたりすることには、幾らか着眼しておいていいと思う。
 
 まぁ難しい話はともかくとして、良いコンテンツを紹介してくれる人は身近のレベルでもネットのレベルでもありがたいもんだよね、といつものように再確認してこの文章の締めにしておこう。
 

*1:だからと言って、そのコミュニティ内のラノベ顧問なりシューティング顧問なりは、コミュニティのしがらみに別に縛られることもなく、専攻分野については自由闊達に作品と向き合えばいいわけだし、それは実際可能だろう。ただし、「お前もあの作品みとけよ」的な圧力の発生が、狭いコミュニティでは問題になるかもしれない。とはいえオタは体育会系じゃないのでそういう圧力があったとしても、強制力はあんまりなさそうだけど