- 作者: 山内マリコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 文庫
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4月10日、山内マリコさんの短編小説集 『ここは退屈迎えに来て』 の文庫版が発売されました。この文庫版の解説を私が担当することになり、不肖ながら、作品の魅力やフレーバーについての解説・感慨などを記しました。
改めて作品を読み直すと、思春期女性の身体性や恋心がさまざまな角度から描かれていて、短編それぞれのテーマが微妙に重なり合いながら、グラデーションをつくっているさまを堪能できました。“地方ガール小説”と呼ばれる本作ですが、サブカルやファスト風土観だけがウリではなく、二度三度読んだ時に「あっ!芸が細かい!」と思う仕掛けがそこらじゅうに埋めこまれていて、気付くたび、嬉しくなっちゃいます。
地方と東京の両方に片足ずつ突っ込んでいる人、地方と東京にひとかたならぬ思いを抱いている人には、メチャクチャ刺さる本書。ファスト風土の文化習俗が取り沙汰されがちな昨今ですが、地方目線に偏り過ぎず、さりとて東京目線にも偏り過ぎない本作は、私の第一のおすすめです。未読の方はどうぞ。