数年前に、ある人から防災グッズをプレゼントしていただき、我が家も防災について考えるようになった。
防災グッズといっても、このアイリスオーヤマのものほど完璧にパッケージされた品ではない。けれども、これに近いものがすぐ取り出せる体制にたどり着いた。防災グッズのプレゼントは効果てきめんだ! まだ持っていない人にはプレゼントのしがいがあるかもしれない。ただし、既に用意している人も多かろうから、贈る前に要確認だが。
災いが絶対にないと言い切れるなら、防災グッズなんて無用の長物だ。けれども巨大地震などでライフラインが不通になった時、それがあるのとないのでは生命や健康の維持可能性は大きく変わる。じきにライフラインが回復するとしても、回復するまでの何時間~何日間かを乗り切れる準備は、軽視できるものではない。
戦争に備える、とは
で、災害について考える延長線上として、戦争について考える頻度が2025年から私のなかでは増え続けている。
コロナ禍が起こるまでは、自分たちの生活空間が戦争と結びつくかもしれないと考える場面はほとんどなかったが、2025年以降、自分たちの生活空間に戦争の火の粉が飛んでくる可能性について考え始めるようになった。ただ断っておくが、これからの戦争はわかりやすく戦争の顔をしていないだろう。そもそもインターネット空間で今起こっていることなどは、後世から振り返って既に戦争の範疇に含まれるかもしれない。その場合、私たちは既に戦争の渦中にあって実は火の粉を浴びていることになる。
それ以上の事態、実際に武器が発砲される事態が生活空間に闖入し、日本人の生命や健康、財産などが脅かされる可能性も、少なくとも山や海で落雷で命を落とす可能性よりはあるような気がしてきた。
戦争が生活空間を侵すと言っても、ピンからキリまである。一番ひどいのは、熱核兵器で生きながら焼かれることだろう。衝撃波で死傷することだってある。冷戦を経て終末思想の流行した80~90年代に物心ついた者の一人として、私は全面核戦争が起こる可能性を否定できずにいる。そうでなくても、たまたま日本に飛んできた熱核兵器がたまたま自分の頭上で炸裂する可能性だってゼロじゃなかろう。
他方で私は、核抑止論ある程度あてにする人間でもあった。キューバ危機を切り抜けたソ連とアメリカのような国については、核抑止論はそれなり当てはまるだろうと期待していた。しかし、核抑止論は、核兵器がその管理と行使に関して冷静で合理的な意思と能力のもとに置かれ、衝動的にならない意思決定プロセスが機能している状態を前提としているだろうから、2026年において核抑止論は以前ほどあてにならないと疑っている。人類が死滅するほどの核戦争がいきなり起こる可能性は依然として低かろうが、まず、いつかどこかで「ちょっと」熱核兵器が炸裂してしまう可能性はあると疑ってしまう。その「ちょっと」が、自分の頭上だったらおしまいだ。市井の人間にはこれに備える方法はない。
通常兵器による被害も、市井の人間にはこれに備える方法はない。せいぜい疎開だろうか。しかし疎開が必要な局面とは、すでに色々と終わっている局面だし、そうは言っても関東平野に敵対勢力の大部隊が上陸してくるとか、日本のどこかに殺人ドローンが何百機も投入されるなんてことはさすがにあまり考えられない。
こういった、一番最悪な戦争被害については一番備えようがなく、そのかわり一番確率の低い被害でもあるだろう。地震や災害と同じく戦争も、一番ヘビーなやつが一番近いところで炸裂した場合には、どんな備えも通用しそうになく、容赦なく人は死ぬだろう。けれども、そこまでひどい貧乏くじを引く可能性もそこまで高くあるまい。(これは地域による差異を含んだ話で、たとえば一部の離島と東京を同列に論じることはできない部分はある)
それよりずっとあり得るのは、ライフラインやインフラが破壊されて生活に支障をきたすこと、手に入れるべきものがしばらく手に入らなくなることだ。サイバー攻撃の場合、社会の麻痺というかたちでそれが現れるかもしれない。
そうした水準の戦争被害に関しては、防災グッズならぬ戦争グッズが役に立つかもしれない。……というより、そのとき必要とされるものは災害グッズとある程度重複しているだろう。帰宅難民も戦争被害の一部として容易に想像される。そうやって考えた場合、人が撃たれるより前に、建物が破壊されるより前に、戦争が生活を脅かすカタチはいろいろ思いつく。
だから、災害に備えていれば、少なくともある程度までは戦争に備えることにもなる。最もあり得て、最も対処可能で、最も起こりそうな低脅威の戦争への対策はやっておいたほうがよかろうし、皆がそれを心がければ、いわば民間防衛に近い何かになるだろう。
この国での生活、この国での生存は、国土防衛とかそういう話の手前の段階として高度なインフラとサプライチェーンによって成り立っているのだから、そこが一時的に寸断される事態に備えることが、とりあえずの戦争準備として手堅い。しかも、この国は災害が多く地球温暖化の影響も深甚なので、よしんば平和裏にすべてが進んでも無用の長物として腐りにくい。日持ちのする食料品、飲料水、簡易トイレ、医薬品が必要な人は一定期間持久できる程度の医薬品、等々については常日頃から意識しておかなければならないなと最近は思う。
(いつものように、有料パートには益体もない話しか書かれていません)
