シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。現在、忙しいうえブログは実験モードに移行しています。

ウマ娘プリティーダービー、雑感

うちに『ウマ娘プリティーダービー』*1がやって来て40日ほどが経った。


 
一度、今の段階で『ウマ娘』について感じていることを書いてみたくなったので書いてみる。
 
 

とにかく丁寧、とにかくかわいい

 
『ウマ娘』はジュニア~クラシック~シニアの3年間にわたってウマ娘のトレーニングやレース出走に付き合っていく育成ゲームだけど、育成難易度のゲームバランスがとても良く、つい熱中してしまう。一回の育成に20~40分ほどかかってしまうのだけど、適度にランダム性が絡むため、なかなか飽きそうにない。
 
ネット上の情報を見ていても攻略情報がしばらく二転三転し、それぞれのウマ娘ごとに育成指針もかなり違っているため、個人で全容を把握するにはまだ時間がかかりそうだ。育成に適した因子を揃えるにも時間がかかり、機械的ルーティンに落とし込める日も遠い。
 
もちろんこれは40日目の感想で、もっとヘビーに育成を繰り返したり何年も続けたりすれば違った風に感じるだろう。それと『ダビスタ』をやっていた人も違った風に感じるかもしれない。それでも、育成がルーチン化しにくいよう最大限の工夫が凝らされ、育成ゲームとして完成度がとても高いようにみえる。
 
 
 

 
プレイ画面のインターフェースも便利だ。たとえば上の画像でも、レース前のウマ娘の状態が一覧でき、スキル確認や作戦変更のボタンもプレイ初回から気づきやすい。ホーム画面は少しゴチャっとしているが、育成モードやレースモードのインターフェースは使いやすいほうだと思う。ボタンを押した時の挙動や効果音、BGMなどもストレスない感じで遊びやすい。育成やレースやストーリーに集中できるようつくられている。
 
 
 

 
で、レース実況がメチャクチャ良くできている。止まった画像ではわかりにくいけれど、実際のレース実況では、ウマ娘の走るさまにスピード感や迫力が伴う。絵柄の巧さより、演出やエフェクト、それと実況中継の巧さで魅せている感じだ。実況をスキップして結果だけを見ることもできるのだけど、つい、実況を選んでしまうほど。とにかく、ここはゲームリリース直後から異様な完成度でたまげてしまった。
 
 
 

 
そのうえウマ娘は全員かわいらしい。アニメ版『ウマ娘』でドタバタ要員だった連中も含めて、とにかくみんなかわいくできあがっている。これもびっくりした。いわゆる旧来の立ち絵ではなく、グリグリと動く今風の描画なのだけど、前を向いても横を向いても表情が変わってもちゃんとかわいい。これは、静止画では得られないタイプのかわいらしさだ*2
 
ここではアニメ版『ウマ娘』との優劣はつけがたくて、アニメ版のウマ娘も魅力的なのだけど、ゲーム版『ウマ娘』はそれより輪郭がマルっとしていて、かわいさに極振りしたような感じだ。このかわいさに、いったい幾らのゲーム制作費が費やされたのだろう? 
 
性的アピールを押し付けて来ないのも(私には)ありがたい。やたらバストサイズの大きなキャラクターやあられもない恰好のキャラクターが出てくるゲームやアニメとは、キャラクターのコンセプトが違うと感じる。世の中にはいろいろな嗜好があるので、これぐらいがエロチックと感じる愛好家もいるだろうけど*3、私には、押しつけがましくないと感じられる。
 
 
 

 
ところでアニメ版『ウマ娘』は、娘といいつつ、男の子のようなキャラクターが活躍する作品だった。もし昭和60年に同じようなアニメ作品がつくられていたとしたら、スペシャルウィークやトウカイテイオーは男の子の主人公だったに違いない。チームスピカも半分以上が男の子だったかもしれない。しかし現代の『ウマ娘』ではこれが全員娘として描かれている。今ではそういうことを気にすることもなくなったけれども、昭和60年の青少年が『ウマ娘』を見たら混乱してしまうかもしれない。
 
そういった男の子っぽいウマ娘も含めて、とにかくかわいく、とにかくイベント等を充実させまくってプレイヤーをおもてなししている。いったいどれほどのお金と工夫と技術がこのゲームにつぎ込まれているのか、見当もつかない。
 
 

ゴールドシップがゴルシちゃんになっている

 
アニメ版『ウマ娘』にはゴールドシップ(通称ゴルシ)という非常に味わい深い、気の良い兄貴のようなキャラクターが登場した。うんちくに詳しく、やきそばを作り、メジロマックイーンのトレーニングに協力して踏まれたりするゴールドシップは、『ウマ娘』に必要不可欠なキャラクターだったと思う。
 
このゴールドシップが、ゲーム版『ウマ娘』ではかわいいゴルシちゃんになっている!
 

 
ゲーム版『ウマ娘』の他のキャラクターたち同様、ゴールドシップもアニメ版に比べて輪郭がマルっとしている。かといってゴールドシップらしさ・兄貴らしさが無くなってしまったわけではない。レースに勝つと、楽しいポーズを取ったり蹴ってくれたりする。育成中のイベントや台詞もゴールドシップらしい。育成も、長距離ー追込型なのでやりごたえがあり、レース実況では居並ぶウマ娘をゴボウ抜きする雄姿をみせてくれる。
 
ゴールドシップは、そのキャラ立ちじたいが『ウマ娘』の魅力の一部だ(と思う)。これを損ねずにかわいさと両立させるのは重要な課題だったはずだけど、サイゲームス制作陣はこの課題を完全にクリアしてきた。兄貴であり、ゴルシちゃんでもあるゲーム版のゴールドシップはほんとうに素晴らしい。手を合わせたくなる。
 
 

たぶん、ソーシャルゲームとしてもヤバい

 
これほど良く作られたゲームに、SSRのウマ娘やサポートカードが存在し、ガチャが用意され、プレイヤー同士のリーグ戦まで用意されているからついつい課金したくなる。
 
少額課金を行い、他のプレイヤーの動向などをみた限りだと、このゲームの課金圧はかなり強いと思う。
 
 
 

 
課金をすれば育成がはかどる。課金だけですべてが解決するわけではないけれども、課金によって育成効率や育成スピードがブーストされるのは明らかだ。より強いサークルに所属できるようになり、よりたくさんのフォロワーにフォローされるようにもなる。見栄えのするサポートカード、見栄えのする育成ウマ娘を並べることだってできる。
 
 
 

 
そこにプレイヤー同士のリーグ戦が絡む。ウマ娘3体×5レースという点も含めて、このリーグ戦には育成のレースとは違った趣向があり、ここでも制作陣は手抜かりしていない。『ウマ娘』が競馬をテーマにしているせいかもしれないけれど、プレイヤー同士のリーグ戦はかなり燃える。勝ちたい・強いチームを作りたいという欲求に呑まれてしまったらたちまち課金してしまいそうだ。
 
こうしたリーグ戦の出来栄えも含めて、この『ウマ娘』、じつに正しくソーシャルゲームをしていると思う。いや、ちょっと正しすぎるほどソーシャルゲームしていないか?
 
強いサークルに所属したい・たくさんのフォロワーを獲得したい・リーグ戦で上位に入りたい──そういったソーシャルゲーム然とした欲求を、精巧なゲームシステムとキャラクターをもって、まさに正攻法で煽ってくる感じがとても魅力的で、とても怖くもある。ゲームとしてすさまじい完成度だけに、注意が必要な点だとも思う。
 
 

「トレーナーがウマ娘を育てるより、ウマ娘がトレーナーを育てている」

 
それと、自分自身も含めた『ウマ娘』に夢中になっているプレイヤーたちを見ていると、ここではプレイヤーがウマ娘を育成しているというより、ウマ娘がプレイヤーを育成しているようにもみえてくる。
 
 

  
『ウマ娘』をとおして競走しているのは、ウマ娘なのか? それともプレイヤーなのか?
 
馬車馬のようにトレーニングしているのはウマ娘なのか? それともプレイヤーなのか?
 
『ウマ娘』が競走をテーマにしたゲームだけに、ふと、プレイしている最中にそういう倒錯じみたことを考えてしまう。作中で懸命にトレーニングし、レースで勝とうと努力するウマ娘の姿が、プレイヤーの似姿のように思えることもある。
 
いやたぶん、その点も含めて『ウマ娘』はよくできたエンターテインメントなのだろう。ウマ娘とプレイヤーが二人三脚で頑張って、努力や工夫や情報収集や課金が正しく報われる──素晴らしいエンターテインメントじゃないか。
 
この点に倒錯やアイロニーを感じる感じないにかかわらず、『ウマ娘』が恐ろしく作りこまれた、かわいく、遊び甲斐のあるゲームである点は揺るがない。あまり難しいことを考えずにウマ娘と一生懸命に走っている限り、とにかく夢中になれるゲームなのは間違いない。
 
個人的には、2021年の新作ソーシャルゲームがここまで磨きこまれていることを身をもって体験できたのも良かった。こういう作品を遊んで「ソーシャルゲームはチャチな造り」などとどうして言えよう。すごい大作、すごい力作だ。当面、付き合っていこうと思う。
 
 

*1:以下、『ウマ娘』と表記

*2:玉に瑕なのは、画面切り替わりの時にウマ娘が白目になっているような瞬間があること。体感的には、自分が疲れている時のほうが気になる。

*3:というより結構そういうプレイヤーも確認できている