シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

「散るログ。ポジ熊。青二才。」

※これは、はてなブログ周辺をウォッチしていない人には全く意味のわからない文章です。興味のない人は引き返してください。
 
 
www.cild.work
 
 こんにちは。散るログのチルドさん。上記リンク先を読んで、どこかの先生とは私のことではないかと思い、お手紙を書いてみることにしました。
 

ひと昔まえ、どこかの先生がインターネットでは、みんなお金じゃなくて承認を求めているんだって、そう言っていた。僕も、そんな潮流にのって、もっと目立ちたい、インターネットで強くなりたいと、そう願ったんだよ。
ところが、その承認欲求の行き先は、なんとお金だった。ユーチューバーやイケてるブロガー、ビットコインの億り人に代表されるように、承認欲求を最大化する養分は、お金だったんだよ。
時代は巡るというけれど、お金を否定した承認欲求が、お金を産むことでしか評価されなくなるというのは、なんとも逆説的だよね。

 なんだか、私のブログのかなり古い部分をお読みになったかのような前段ですね。
  
p-shirokuma.hatenadiary.com
 
 かつてのインターネットにおいて、ネットユーザーの多くがお金より承認を求めていたのは事実だと今でも思っています。しかし、はてなブログ周辺にカネの話がはびこるようになって以降は、そう単純でもなくなりました。たとえば、はてなブログ周辺でプロブロガーとかアフィリエイトとかそういう話が盛りあがったのは、2013~2016年ぐらいではなかったでしょうか。
 
 

 金銭。
 
 なんとわかりやすい動機だろう!この資本主義社会において、金銭ほど融通の利くご褒美は存在しない。皆、その金銭を稼ぐために辛い仕事をこなし、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車も我慢しているぐらいだから、モチベーション源としての金銭は頭一つ抜きんでている。金銭が足りなくて困窮している人も、お小遣いを増やしたい人も、金銭のためならブログを書きたい、書こうとするだろう。そのようなブロガーには、表現欲とか、議論とか、情報交換とか、そういったご褒美はどうでも良いものだ。

http://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20160325/1458831600

 
 世の中には、いろいろな価値があるでしょうし、いろいろな欲求、喜びもあるでしょう。しかし、カネほど融通の利き、誰もが価値を認めているものはたぶんありません。Aという価値を信じる人も、Bという価値をありがたがる人も、Cという価値にとらわれている人も、カネには交換価値があるということは必ず知っています。だから、カネが儲かるところに人が集まるのは必然です。
 
 ある時期まで、はてなブログには「誰でもブログを書けばお金が手に入る」という錯覚がプロパガンダされていました。ブログを書けばカネが手に入るなんて、それほどあてになるものではないのですが、「ブログを書いて食っていく」みたいな話を奇形的に膨らませた山師が暗躍したことによって、そういう思い込みがフワフワ漂っていた時期があったように思います。2015年のはてなブログとか、まさにそんな感じでした。あの頃はカネ臭かったなぁ。
 
 しかし、2017年はそうではありませんでした。「誰でも○○すればお金が手に入る」と錯覚させやすい、もっと好ましいフィールドが山師たちの目に留まったからです。カネの臭いを嗅がせて人を動かしてカネを手に入れるハーメルンの笛吹きたちは、ブログを去っていきました。おかげさまで、一時期ほどのカネ臭さが改善し、一人のブロガーとしては若干住み心地が良くなったように思います。ブログを愛してカネも愛しているブロガーはいくらだっていて構わないけれども、カネしか愛していない山師と、その下僕がカネカネ連呼しながら目立っているのは嫌でした。
 
 ゴールドラッシュの蜃気楼としてのブログがレッドオーシャンになり果ててしまった今、ブログなどという場でグズグズしているようでは山師失格でしょう。実際、一流山師の皆さんは、もっとゴールドラッシュの雰囲気があって、たくさん金額が動く場所に移ってしまったようです。一流山師はいけ好かない連中ですが、今、どこでゴールドラッシュが起こっているのか、カネの臭いに幻惑された人々がカモになっているのは何処なのかを知るには、なかなか良い探知機であるように思います。
 
 さて、チルドさん。
 
 私はチルドさんのブログをかねがね読んでいましたが、拝金主義的に炎上を繰り返している兆候があったため、ブックマークはつけないようにしていました。炎上商法のたぐいを私は忌み嫌うものですから、それは仕方がないことです。
 
 しかし、炎上していないチルドさんのブログの文章には、あまりカネの臭いが漂っていないのです。意図してカネの臭いを消しているのかカネが欲しくても上手にできないのか、そのあたりはわかりませんが、とにかくも素朴なブログ記事が書き綴られていることがしばしばあります。そういった素朴なブログ記事に触れる時、私は「ああ、これは昔のブログみたいだなぁ」と感じたりします。そう感じる一因は、チルドさんと世代が近いせいもあるのかもしれない。20代前半のブロガーやツイッタラーに感じる「あの洗練」がチルドさんのブログからは感じられません。
 
 もしかしたら、あの醜い「『散るログ』の炎上」も、狙ってやっているのでなく、素朴なインプレッションをそのまま投げ出して、素で燃えているのではないか、と疑いたくなるしまうことさえあります。いや、もちろん、カネが欲しくて自分のブログに着火マンしているのだろうと理性は告げているのですけどね。
 
 ゴールドラッシュが終わったはてなブログで、それでもブログを書き、安定的な副収入としながら素朴なブログ記事を書き綴るチルドさんという人は、一体どういう人なのでしょうか。
 
 私はチルドさんに肯定的な気持ちも否定的な気持ちも持っていますが、ただひとつ間違いないのは、チルドさん、あなたは一流山師ではない、ということです。私はそのことに安堵していますが、その評をチルドさん御自身がどのように受け止めるのかは想像できません。なんであれ、チルドさんはゴールドラッシュが終わったはてなブログでもブログを書き続けているのです。私はそのことを嬉しく思いますし、これからも素朴なブログ記事を書き綴って欲しいなと思っています。
 
 

「散るログ。ポジ熊。青二才。」

 
 かつて私は、チルドさんの「散るログ」はじきにブログが消えるだろう、フフフ、いつまで保つかな? ……と意地の悪い目で眺めていました。しかし、これだけ素朴なブログ記事を書ける人なら、そうそうブログが死んだりすることはないでしょう。もう、「散るログ」の命の蝋燭を眺めるのはやめるつもりです。そう簡単には消えないでしょ、この蝋燭。
 
 似たようなことが、かつてのポジ熊さん、青二才さんにも言えます。
 
 青二才でいたかった
 ポジ熊の人生記
 
 散るログ。ポジ熊。青二才。
 
 この三つのブログのうち、フフフ、最初に爆発四散するのは誰なのかな? ──そんなことを考えていた時期が俺にもありました。
 
 しかし、今、これらのブログを見返すと、そこにはカネ臭さが鼻につくことも少なく、素直なブログ記事が並んでいるじゃありませんか、ときに、ビットコインなどに言及する時ですら、カネカネした感じより、素直なインプレッションが伝わってくる感触があって、山師が跳梁跋扈する現在のインターネットにおいて、清涼剤のような印象すら受けるのです。
 
 たぶんですが、チルドさんも、ポジ熊さんも、青二才さんも、世渡りがそんなに上手じゃないんだと思います。もし世渡り上手だったら、もっとあざとくて、もっとカネ臭くて、もっと影響力にガツガツしたような文章を、戦略的に書き連ねているに違いないのです。しかし、このお三方のブログはそうではありません。カネ儲けブログとしてはちっとも洗練されていない。むしろ素人ブログっぽさがある。
 
 この評価を、チルドさん、ポジ熊さん、青二才さんはどう受け止めるのでしょうね。しかし、今はその素朴さ、素人っぽさが貴重に思えて、長くブログを書いていてくださいねという気持ちが湧いて来たりもするのです。
 
 それでもチルドさんはときどきヘドロ爆弾のような炎上記事を書くのかもしれない。そのときは、私はきっと「浅ましいやつめ!」と思うことでしょう。しかし、それはそれ、これはこれとして、ブログライフの武運長久をお祈りしております。
 
 飽きてきたのでこのへんで。