シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

「はんにんまえバイト」の世界は、超絶ブラックだった

 

Splatoon 2 (スプラトゥーン2)

Splatoon 2 (スプラトゥーン2)

 
 『スプラトゥーン2』のバイトで、ブラックな経験をしたので。
 
※ゲームのことを知らない人は、「見知らぬ者同士が4人集まって、危険な漁をやっている」と想像してください。
 
 

ワイン飲みながらバイトしていたら「かけだしバイト」になっていた

 
 数日前、私はワインを呑みながら『スプラトゥーン2』をやっていた。それも、凶暴なシャケを倒して金イクラを手に入れる危険なバイトを、だ。
 
 アルコールの入った状態の『スプラトゥーン2』はロクなもんじゃない。照準は定まらないし、獲物の金イクラを運ぶ足取りも千鳥足、判断力も低下している。ところがアルコールのせいか、微妙に気が大きくなっていてダラダラ続けてしまう。
 
 夜が更ける頃には、私のバイトのランクは「じゅくれんバイト」から「かけだしバイト」まで落ちていて、それでも明日には元に戻せるでしょ、とたかをくくっていた。
 
 私は自動車の飲酒運転はしたことがない。しかし、『スプラトゥーン2』のおかげで、飲酒運転というのがどういうものなのか、おおよその見当がついたように思う。

 飲酒運転は、やっちゃいけないものなのだ。
 
 

「かけだしバイト」は事実上ワンオペだった

 
 


 
 数日後。
 
 まあ、バイトなんてランクが下がればそのぶん敵も弱くなるから楽勝だ、今日じゅうに「じゅくれんバイト」に返り咲くぞ、と思って、私は意気揚々とクマサン商会の門をくぐった。
 
 ところが簡単ではなかった。
 
 私を待っていたのは、異様に低いノルマと、それを補ってあまりある、右も左もわからない新米バイトの群れだった。
 
 新米バイト達は何も知らない。
 
 イクラコンテナが干潟に置かれても、誰も気付かずに、高所をウロウロしている。カモーン!と呼びかけると、ノロノロとついてくる。かと思えば、低地の隅っこを、自分以外の三人が一生懸命に床塗りしている。地面から飛び出してくるシャケ(モグラ)を、地面にボムを仕掛けて倒せる人など、一人もいない。
 
 結局、すべてのシャケを自分一人で倒さなければならないような、悲壮感をもってバイトに臨むことになってしまった。さりとて、いちばん低い難易度の「かけだし」レベルでも、単独でシャケの群れに突っ込むのは危ない。右も左も知らない仲間を、カモーン!と呼んで、ナイス!と褒めて、最前線で戦ってみせて、やられた仲間も救出して……。
 
 とにかく気の休まる暇が無い!
 
 一番困ったのは、背の高いシャケにまったく対抗できない武器が自分に回ってきて、それらを新米たちに任せざるを得ない時だった。
 
 ほんらい、『スプラトゥーン2』のシャケ獲りバイトは、回ってくる武器によって役割がはっきりしている。背の高いシャケは、高所を狙撃するのに向いている武器を持っている人に任せて、不向きな武器を持たされている人は、他の役割を引き受けたほうが仕事が回るようにできている。
 
 ところが新米バイトのなかには、そういう向き不向きのことがわかっていない人や、高所を狙撃する武器を扱い慣れていない人が多い。高所を狙撃できる武器は、どれも一癖二癖あるので、初心者が扱い慣れていないのは仕方がないことではある。だがそうなると、自分が武器の相性を度外視してでも無理矢理に倒すか、新米バイトの誰かが何とかしてくれると信じて、精一杯お膳立てにつとめるしかない。
 
 俺は、新米バイトの教育係をしに来たのか?
 
 そうやって散々に苦労をして、ようやく「かけだしバイト」を卒業して「はんにんまえバイト」になった。
 
 

終わりなき「はんにんまえバイト」の世界

 
 


 
 だが、本当の地獄はここからだった。
 
 「はんにんまえバイト」のランクに入ると、襲ってくるシャケの数が増えて、夜間バイト、霧の中のバイト、満潮時のバイトなどが仕事に加わってくる。とにかく、新しい立ち回りがいろいろ必要になってくる。
 
 にも関わらず、この日、「はんにんまえバイト」のランクには新米しかいなかった!!
 
 自分と同じぐらいバイト慣れしている人が一人いればラッキーなほうで、たいていの場合、「かけだしバイト」に毛が生えたような新人3人とオペレーションすることになった。
 
 床を塗ろうとしないローラーが、背の高いシャケを相手取って蛮勇を奮って返り討ちに遭っている!
 
 溜め攻撃をほとんど使わないチャージャは、なんにも狙撃せず、なんの役にも立っていない!
 
 スプラシューターは雑魚を掃除しようともせず、大物ばかり追いかけている!
 
 ピンチを切り抜けるためのスペシャルウェポンもたいがいで、なかなか使ってくれない。仕方がないので、自分のスペシャルウェポンを使うが、1人につき2回までしか使えないので、前半のうちにだいたい息切れしてしまう。自分が使ってみせたからといって、みんなが使ってくれるわけでもなく。
 
 結局、「かけだしバイト」の時とほとんど変わらない練度の味方と一緒に、困難なバイトに挑む羽目になってしまい、なかなか勝てなくなってしまった。
 
 

 
 
 しんどさに拍車をかけるのが、「はんにんまえバイト」の時給の安さだ。
 
 『スプラトゥーン2』のバイトは、ランクが上がるほど時給があがりやすい。で、「はんにんまえバイト」の時給は、すごく安いのだ。そのうえ勝率が悪いせいで、ときどき時給が下がってしまう。体感時給は、いつもの三分の一以下。
 
 それでも「はんにんまえバイト」のぬかるみから脱出するには、とにかくバイトを成功させ続けるしかない。だが、あまりにも働き慣れていない仲間3人とオペレーションをこなすのは、ものすごくしんどい。なんだよ、これって「じゅくれんバイト」どころか「たつじんバイト」と比べても過酷で、ブラックじゃないか!
 
 もしかして、俺もこの人達と同じぐらい下手になっているんじゃないか? と疑って、嫁さんのアカウントを借りて「じゅくれんバイト」をやってみた。
 
 おお、バイトがスイスイはかどる!役割分担がしっかりしていて、自分がやるべき仕事に集中できる。見ず知らずの者同士でも、空気を読みあい、攻撃や防御が連携して気持ち良い。勝率もいいし、時給もいい。なんだ、俺が下手になったわけではなかったのか!
 
 で、再び「はんにんまえバイト」の世界に戻った。

 役割分担、ナニソレ? みたいな世界。
 
 空気の読みあいなんて午睡の夢、泥の中を這うような、もとい、インクの中を這うようなバイトがいつまでも続く。
 
 辛い。
 
 「はんにんまえバイト」の世界は、「じゅくれんバイト」よりもずっとブラックで、辛くてしんどかった。
 
 

土曜の早朝には、「はんにんまえバイト」の悪夢は終わっていた

 
 

 
 
 日を改めて、土曜の早朝にクマサン商会を訪れてみると、すっかり様子が変わっていた。
 
 ちゃんと空気を読みあうし、役割分担もだいたいできている。スペシャルウェポンも使ってくれる。バイトが、サマになっている!!
 
 あの日の、悪夢のような「はんにんまえバイト」は、一体なんだったのだろう?
 
 時間帯が悪かったのか?
 
 配られる武器が悪かったのか?
 
 それとも、お盆の夏休み期間の影響が何かあったのか?
 
 とにかく、今度は息の合ったバイトがこなしやすかったので、一気に「じゅくれんバイト」までランクを上げて、もう二度と降格すまいと心に誓ったのだった。
 
 
 【今回よくわかったこと】
 
 ・ランクが高くなるほどバイトがキツくなるとは限らない。
 ・バイトの難易度は、仲間次第。
 ・飲酒スプラトゥーン2、ダメ、ゼッタイ!