Pokémon GO Plus (ポケモン GO Plus)
- 出版社/メーカー: 任天堂
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログ (2件) を見る
7月下旬から、『ポケモンGO』に伝説ポケモンが出るようになった。
とにかく強くて、多人数がいなければ勝負にならないので、協力プレイが必須になっている。
都心で『ポケモンGO』をやっている人にとって、伝説ポケモンを集団でボコボコに倒すのは造作もないことかもしれない。しかし、地方の国道沿いに住む、私のようなポケモントレーナーにとっては、10人以上のポケモントレーナーが集まること自体がかなり難しい。とはいえ、この機会を逃すなんてありえないので、車を走らせて市街地に出向き、人の集まっていそうな場所を徘徊した。
午後7時。駅前の記念碑の周りに、スマホを持った老若男女が集まっていた。人数を数えると、15人。知り合い同士のグループもいれば、私のような飛び込みの者もいる。タブレットを持った小学生らしき少年がいた。くたびれたスーツを着た白髪のサラリーマンがいた。ウェイウェイした雰囲気の30代の親子連れもいる。女子高生の二人組もいた。
そういった人達が、声をかけあい、戦闘をはじめるタイミングを揃えて、一斉に伝説ポケモンに挑みかかるのである。
「よろしくお願いします」
「ありがとうございました」
「ポケモン減ってる人は、いったん抜けて回復してください」
そうやって、街ですれ違っても声も掛けあわない者同士が、目的をひとつにしてゲームを共有している。たかがゲームという人もいるだろう。そうかもしれない。それでも、本来は接点を持つはずのなかった人と人が、こうやって集って声をかけあうというのは、面白いものだと私は思った。
つい先日、伝説ポケモンのルギアを前に、公園に11人集まった時のことだった。
ルギアを相手に11人では、勝てるかどうかわからない。そのとき、一人の中年女性が「すいません、あと10分で子どもを迎えに行かなければならないんですが、皆さんはまだ待ちますか?」と聴いてきた。
私が「どうしますか?みなさん」と周りの人に訊いてみると、サンダルを履いた大柄な男性が、「わかりました、じゃあ、みなさん一度やってみませんか」と言って、皆が頷いた。
バトル開始。予想どおり、11人では厳しい。「補給しながら、粘っていきましょう」と誰かが言った。実際、補給しなければたちまち全滅しかねない。そのかわり、補給の手間暇のせいで残り時間が厳しくなってきた。
残り3秒!2秒!1秒!勝った!
ぎりぎりの勝利に、みんなが歓声をあげた。真っ先にルギアを捕まえたのはくだんの中年女性で、「ありがとうございます」と礼を言って公園を出て行った。残った者は、「お疲れ様でした!」と声をかけて見送った。
なんだこれは?
なんという社会的なゲームだ!
「猫の集会」ではなくなった私の『ポケモンGO』
これまでも、私にとっての『ポケモンGO』はそれなりに社会的なゲームだった。近所のジムに出かけて、同じチームのメンバーとジムを共有する――そうこうするうちに、なんとなく顔見知りになっていって、じきに会釈ぐらいはするようになる。それが、私にとっての『ポケモンGO』だった。
たとえば私の近所には、“コイキングおじさん”がいた。というのも、彼は広島東洋カープの野球帽をかぶっていて、ギャラドス*1をジムに置いていくことが多かったからだ。そうやって知り合っても、お互いの距離は「猫の集会」のように、遠くて淡かった。それはそれで悪いものではなかった。
ところがレイドバトルが始まり、伝説ポケモンを多人数で倒すようになってからは、今までとは違った場所で、違ったポケモントレーナーと知り合う機会が増えた。積極的に声をかけあい、情報交換する機会も増えた。
そこではじめて、今まで知らなかった、異なる『ポケモンGO』の世界を知った。
LINEで情報交換しながら組織的にポケモンを狩る、漁協のようなものが街ごとに存在することを私は知った。そういった、組織的に位置情報ゲームをするプレイヤーは『Ingress』では珍しくなかろうけれども、『ポケモンGO』も、例外ではなかったのだ。
彼らは、市街地の周辺部を中心に活動していて、ジムの占拠、レイドバトルの監視、組織的なポケモン狩りを繰り返していたのだった。なんというか、リアルが充実している人が多いように見受けられた。彼らは「ちょっと遠い人でも構わないので、もし良かったらまた声をかけてください」ともおっしゃってくださった。
イベント期間はまだ続き、戦うべき伝説ポケモンはまだ残っている。この週末も、夕方になったら街に出て、あの人達と一緒に伝説ポケモンと戦おうと思う。
*1:ギャラドスはコイキングから進化する