シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

TV版『ガンダムUC』の「ブツ切れ感」が改善してきた

 

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) [Mobile Suit Gundam UC] 4 [Blu-ray]

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 今年は、日曜日の朝7時からテレビ版『ガンダムUC』をやっていて毎週視聴しているが、テンポが悪くて落ち着きが無かった。
 
 この作品には、中年ガンダムファンの脳髄を痺れさせるモビルスーツがモリモリ登場し、私としては落涙を禁じ得ないのだが、盛り上がってきたところでエンディングテーマを迎えてしまい、構成の「ブツ切れ」感が否めなかった。
 
 OVA版に比べてTV版の『ガンダムUC』は尺が短い。そのせいで、中年ガンダムファンの魂がようやく暖まってきた頃に終わってしまう展開が多かったのである。「せっかくエンジンがかかってきたところなのに、もう終わりかよ!」
 
 

「TVの尺では駄目」とは限らない

 
 それで比べたくなってしまうのは、TV版『宇宙戦艦ヤマト2199』だ。
 

宇宙戦艦ヤマト2199 1 [Blu-ray]

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 『宇宙戦艦ヤマト2199』も、OVA版からTV版にコンバートされた作品だが、「ブツ切れ感」にさほど悩まされなかった。なぜか?
 
 本当の理由はわからない。けれども両作品を見比べていて思うのは、OVA版『ガンダムUC』の構成の良さが、かえってTV版へのコンバートを難しくしているように見える、ということだ。
  
 OVA版の『ガンダムUC』は二時間近い尺を目いっぱい使って、それぞれの回の起承転結をキチンと組み立てていた。地球編の途中までは特にそうだったと思う。しかし、TV版にコンバートするにはそれを“バラさなければならない”わけで、原作の構成がキチンとしていたぶん、どうしたって「ブツ切れ感」が出てしまう。
 
 その点、OVA版の『宇宙戦艦ヤマト2199』は(最近のアニメの基準からすれば)のんびり進行だったのが幸いしたと思う。冥王星基地攻略など区切れの良い場面もあったけれども、全体としては、イスカンダルに向かって“ダラダラ”旅を続けていて、古いアニメの懐の深さが作品に宿っていた。ちょっと寄り道気味なサブストーリーが多かったのも良かった。
 
 そういう、現代アニメの視聴者には“贅肉”ともうつりかねない要素が、TV版『宇宙戦艦ヤマト2199』の一話一話を小咄にまとめる際に幸いしていたのではないか。
 
 

ここ数回の『ガンダムUC』はテンポがいい

 
 幸い、最近のTV版『ガンダムUC』は「ブツ切れ感」が改善している。
 
 今、TV放送している【トリントンの戦い~ミネバ・ザビ奪還作戦~ゼネラルレビル戦】のあたりは、OVA版ではテンポも尺も良くない部類だった。『ガンダムUC』という作品のなかでは、中だるみ気味だったと記憶している。
 
 「ところが」というべきか、「だからこそ」と言うべきか、TV版からは「ブツ切れ感」がほとんど感じられない。巧いところで区切っているとさえ感じる。エンディングテーマが始まるのも自然で、日曜の朝が滞りなく始まりますね!
 
 TV版ガンダムを視聴するってのは、古くからのガンダムファンにとっては“日曜ガンダム礼拝”に近いものだから、どうせなら、ガンダムの夢に気持ち良く入って気持ち良く出てこれるものであって欲しい。どうかこれからも、テンポの良い構成でありますように。