シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

苦いリキュールが好きだ。

 
 
 

 
  
 世の中には、苦くて素晴らしいリキュールがたくさんある。「どうして苦いリキュールなんて飲むの?」と首を傾げる人もいるだろうが、一線を越えたらやめられなくなる。
 
  

春夏秋冬、苦いリキュール

 
 
・春はシャルトリューズをよく呑む。
 


 ハーブの苦みと蜂蜜の甘さが合体したシャルトリューズは、ソーダで割れば涼しい食前酒になるし、ストレートかオンザロックならナイトキャップになる*1。カクテルのレシピでは、ドライジンと合わせた“グリーンアラスカ”が有名だけど、習慣的に呑んでいると、いろいろな飲み物と混ぜても平気になってくる。個人的には、オレンジジュースで割っても意外といけていると思う。
 


 バリエーションその1。エリクシール。もっと尖ったシャルトリューズが欲しい時に。量が少なめのせいか、ノーマルバージョンより安く手に入る。
 

 バリエーションその2。シャルトリューズVEP。文句無しに美味いけれども、お値段高め。それでも高級ウイスキーやスコッチよりはコスパが良いと思う。
  
 
・夏になるとカンパリを飲みたくなる。
 

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 カンパリソーダ。こんなに美しく、単純で、爽やかで、美味いカクテルがあるだろうか。カクテル通は「カンパリソーダはバーテンダーの実力を推し量る指標になる」なんて言うらしいが、私に言わせれば、誰が作っても美味いのがカンパリソーダなのである。濃く作っても薄く作っても美味い。
 
 カンパリオレンジとスプモーニ。カンパリの苦さが苦手なお客人には、このあたりを提供する。だからといってカンパリの魅力が失われるわけでもない。苦いリキュールは、どんな相棒と組んでも自分の味を見失わない。
 
 ネグローニ。ジンとベルモットとカンパリを混ぜると、酒好きのための食前酒ができあがる。苦いリキュール党としては、カンパリの割合は多めにしておきたいし、いっそ、カンパリ単体でオンザロックというのも素晴らしい。
 
 
・食欲の秋は、ごちそうのお供になりそうなものを。
 

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 リコリスでつくられたリキュールには甘いものが多い。食事の締めくくりに軽く一杯、それか秋の夜長の就寝前にはぴったりだ。リコリスは東洋では甘草と呼ばれ、生薬なので飲みすぎは考え物だが、苦いリキュールは飲み過ぎてしまう心配が少ない。
 
 特にリンク先のリキュールは甘みがほとんど消え失せて、「薬を飲んでいるような」感覚をおぼえる。最初に飲んだ時は「誰がこんなモン呑むんだ……」と思っていたけれども、夕暮れにオンザロックで呑んだら抜群の食前酒になった。そして苦いリキュールの常として、妙な習慣性がある。苦さの余韻として、リコリスらしい風味が鼻をぬけていくのもたまらない。
  
 
・冬は寒いので何を呑んだって構わないが、コアントローがいい。
 

 朝のインスタントコーヒーにコアントローをわずかに垂らすと、見違えるほど立派な飲み物ができあがる。アイリッシュコーヒーも良いけれども、こちらのほうがずっと手軽で、分量の調整も簡単だ。酔っ払って構わないなら、たっぷりのコアントローとコーヒーに生クリームやジャムを乗せても美味い。
 
 もちろん夏に呑むなら、ソーダで割ってレモンを搾ったりミントの葉っぱを放り込んだり、爽やか路線でも構わない。コーヒー割りもそうだが、ちょっとやそっと混ぜたぐらいではコアントローの風味は消えてしまわない。好きなように混ぜましょう。
  
 コアントローはそこらの安物キュラソーと違って、単体でもぜんぜんいける。就寝前にリキュールグラス一杯のコアントローを呑むと幸せな気分になる。
 
 

苦いリキュールの魅力

 
 苦いリキュールには幾つもの利点がある。列挙すると、
 
 1.食欲が刺激される
 苦いリキュールは食欲を刺激する。たいてい、ソーダで薄めただけで素晴らしい食前酒になる。カンパリソーダはその典型で、コース料理の前に一杯やっておくとバッチリだ。
 
 2.たくさん飲めない
 苦いリキュールはガブガブ飲めない。私のようなこらえ性の乏しい酒飲みには、これがありがたい。食前か食後、少しだけグラスに注いで、一日の楽しみを2%増やすためのお酒に徹することができる。アルコールの弊害を減らしながら楽しむには適している。
 
 3.コストパフォーマンスは良い
 たくさん呑む気にならないから、コストパフォーマンスにも優れている。苦いリキュールの多くはアルコール度数が強く、日持ちもするので、キャップをあけて数ヶ月はビクともしない。ちょびっとずつ・大切に楽しむにはぴったりだ。
 
 4.飲み方のバリエーションが豊か
 苦いリキュールは、一部の不透明なタイプを除いて、ストレートでもオンザロックでもソーダ割りでも楽しめる*2。またカクテルの材料として他のお酒やジュースに混ぜられるので、飲む際のバリエーションにも事欠かない。苦いリキュールを一本用意しておくだけで色々楽しめる。
 
 5.飽きない
 これらの帰結として、苦いリキュールには飽きにくい。というより、苦みがやみつきになって飽きなくなる。
 
 ……といったものだ。
 
 

苦みの彼岸の法悦

 
 ともあれ、苦いリキュールは良い。リキュールの苦みは、最初、人をひるませる。だが一度慣れてしまえばこれほど心強く、なじみ深いテイストもない。チビチビと、末永く楽しむにはぴったり*3
 

*1:慣れてくると、食前酒としてもいけるようになる

*2:ただし、ストレートで呑む時は喉や食道や胃を痛めないように必ず水を準備して一緒に飲む必要がある

*3:もし、これらの苦いリキュールでもガブガブと飲んでしまうようだったら、アルコール依存症の可能性があるので、話が違ってくるのであしからず。