非モテはてなーが有料メルマガや単著を出せる分水嶺 - syncのにっきver3.0
リンク先について、ちょっと思ったことを。
ブロガーのなかで「単著」とか「有料メルマガ」で“生活の糧”を得ている人って、本当にいるんですかね?いるのかもしれませんが、私の周囲にはいないような気がします。medtoolzさんにしても、ココロ社さんにしても、まなめはうすさんにしても、まず本業ありきで、それとは別に、ネットで文字を書いていたら出版に繋がっちゃった、という話ではないでしょうか。
世の中には、出版とか有料メルマガとかで“プロ”をやっている人達もいます。しかし、そういうプロがブログを経由して(まして非モテはてなユーザーを経由して)プロに到達したという類例は知らないので、ブログを経由して“物書きとして生活の糧を得る”のは難しいと思っています。たぶん、他のルートで目指したほうがいいんでしょう。
それはそれとして、ブロガーが書籍を出版する、という現象は確かに観測されますし、今回、私もそうなりました。そういうブロガー達には少なくとも一つの共通項があるとは感じています。
その共通項は、ほぼ間違いなく全員が「書く」ことが好きで好きでしようがないブロガーだということです。ことあるごとに発作的にキーボードを掴んで言語化せすにいられない、それぐらい書くことが好きで好きでしようがない人種なんだと思うんですよ、この手のブロガーって。「昨日、ブログを更新したから暫くは更新しなくていい」なんて冷静より、「あっ!これはもう書くしかないっ……」と書く欲望に引きずられるように文章を綴らずにいられないのです。
これは、プロの仕事とはちょっと違って、やはり、書くことが好きな素人ブロガー特有の徴候だと思います。アテンションを換金したり、名声とか影響力に両替したりするなら、ブログを書くネタ、ブログを更新する頻度、そういったものを計算ずくできちんとコントロールすると思うんです。津田大介さんなんかもそうですよね、あの人は、ぼやく時もぼける時もいつも劇的にやってのけます。なかには、そういうプロっぽいブロガーがプロになることも実際あるかもしれません。
しかし大抵のブロガーは、ただ書くのが好きで好きでしようがなくて、書くのをやめたら停止したマグロみたいに死んでしまいそうだから、キーボードを肌身離さず手放さず、風呂に入っている時ですら頭のなかで文章を考えてニヤニヤしてしまう、そういう人種がブログをやってやってやりまくって、いるんだと思います。
今はいませんが、ちょっと前に、nakamurabashiさんというコンビニ店長が凄い面白いブログをやってましたよね、最近もはてな匿名ダイアリーに匿名で記事書いてましたが。あの人はまさに、書くのが好きで好きでどうしようもない人だった。ああ、同類だ、少なくとも共通点はあるなとあの人を観た時に思いました。そうこうしているうち、あの人は電子書籍を出版したと記憶しています。本当に書きまくる人だった。定期的に記事が読めなくなったことが悔やまれるブロガーです。
また、有料メルマガ『ゆるオタ残念教養講座』をはじめた海燕さん、あの人もはてなダイアリーでブログを書きまくっていた人でしたけど、この人もよほど文章を書くのが好きなんじゃないかと思うんですよ。メルマガって、連載を続けなければならないじゃないですか、ブログ以上に停止することが赦されないメディアです。だからブログの好きな私でもメルマガは躊躇します。それでもやってのけるのだから、海燕さんは書くのが基本的に大好きで、書かなきゃやってられない何かがあるからこそだと思っています。機関銃のように文字列が湧いてくるんでしょう。
そんなわけで、世の中には「書くこと」が好きで好きでしようがないブロガーがいるんです。
ほとんどビョーキみたいな。
そういうブロガーのビョーキが嵩じた結果として、書籍やメルマガになることもならないこともあるでしょうけど、そもそも、キーボードを肌身離さず持っていないと気が済まないぐらいに「書く」ということ自体が楽しかったり救いになっていたりするブロガーでなければ、ブログは長続きしないでしょう。
もちろん、ブロガーとて「書く」ことだけを楽しんでいるのではなくて、「書いた文章に反応があること」を楽しんでいるふしはあるでしょう。これは否定できるものではありませんし、私も自己愛充当の足しにしているつもりであります*1。けれども、「書いた文章に反応があること」だけを楽しんでいる人は、ブログモンキー、ブログジャンキーとしては弱いと思っています。人の顔色ばかり見ていると、そのブロガー自身の同一性が混乱しやすいうえに、「その場の反応の乏しさをおしてでも書くべきこと・書きたいことが書けなくなる」かもしれないからです。どちらもブロガーとして致命的ですし、たぶん、面白くなくなるか、ネットウォッチャーの玩具にされてポイでしょう。やっぱり「書く」ということ自体がかけがえのないご褒美でなければ、ブログモンキーやブログジャンキーにできあがらないと思います。いや、そんなジャンキーモンキーが偉いわけではなく、ならなくて済むならならないほうがきっとラクですよ?キーボードばかり触っていると腱鞘炎にもなりますし。そんな私のお気に入りキーボードはリアルフォースです。
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話が逸れました。
とにかく、私の周りにいるブロガーで書籍やメルマガを出す状況に至った人達は、揃いも揃ってブログモンキー、ブログジャンキーだと言いたいのです。これは、純粋なプロとは違った、執着の露出形式だと思っていますし、私もそのようなジャンキーモンキーを自認しているものであります。
省みて、冒頭のリンク先のsync_syncさんのブログを見てみると、どうも、ブログジャンキーモンキーとしての匂いが感じられません。「ブログを更新しないと俺は死ぬ」っていうような切迫感がちっとも感じられない。「書く」ということ自体にはそれほど歓びを感じておられないのではないでしょうか。「書いた文章に反応があること」は楽しんでおられる様子ですが。本当は、「書く」ことが億劫なタイプなんじゃないでしょうか?
私は、ブログジャンキーのシロクマなので、「書くことが億劫」とか「書くネタが無い」っていう、あれがよくわかりません。ただ、世の中にはそういう人がいるということは知っています。そういう人にとって、「書く」という行為は私やnakamurabashiさんが感じるほどには楽しい行為ではないのかもしれません。でも、「書くこと」が好きでもないのに、メルマガ連載とか、10万字以上の書籍を書くとかになったら、とんでもない苦痛だろうなぁとは想像します。「書くこと」が好きじゃないなら、そんな苦行を夢観るのはやめたほうがいいんじゃないでしょうか。あるいはブログ経由ではなく、もっと要領の良いプロ物書きへのルートを探したほうがいいんじゃないでしょうか。そんなルートがどこにあるのかは私知りませんが。
私には「非モテはてなーが有料メルマガや単著を出せる分水嶺」は分かりません。けれども「書くこと」が好きで好きでしようがないブロガーか否かが、一種の分水嶺になっているだろうなとは推定します。
“好きこそものの上手なれ”っていいますが、「書く」のが好きで好きでしようがなくて、2000字ぐらいの文字を定期的に書かないと精神的便秘になるような人は、どんどん書きまくって、しまいにPCが無い時にはチラシの裏にも文字列を書き始めて、そのチラシをクリアファイルに保存するようにならざるを得ないので、良くも悪くもブログジャンキー度・ブログモンキー度が高まってしまいます。そのようなジャンキーモンキーな暮らしを楽しいと思えるなら、きっとそいつは私の同類なブロガーだなと思うことにしています。SNSが出現し、メルマガが出現し、ブログは下火になったと言うけれども、まだ、そういうジャンキーなブロガーの姿をあちこちで見かけるのは心強いことです。もし将来、媒体がブログから他の何かに変わっても、「書く」のが好きなやつは書くでしょう。だって書くのが好きなんですから。もうしようがないですよね。
以上、ブログジャンキーの一人として、リンク先について思うところを書いてみました。
*1:ただしこういうのはメインの心理的供給源にしてはいけないと思っています。風力発電みたいなもので、補助手段だと思っておかないと。