アニメを観ながら酒がうまい!! - - Togetterまとめ
リンク先に「アニメ・ノベルゲームを鑑賞しながらの飲酒、まことに素晴らしいものだと思うのです。」と書いてあるが、実際、素晴らしいとしかいいようがない。
アニメ/ゲームが主役か、酒が主役か
アニメやゲームと一緒にお酒をやるのはとても幸せで、ぶっちゃけ、何を観ながら何を呑んでもそこそこ幸せになれそうではある。しかし「この組み合わせは勿体ない」「これだったら他のお酒にしたほうがいい」といったマリアージュ*1のようなものはあると思う。喩えるなら、年代物のボルドーワインに北海道産の素晴らしいイクラを合わせて両方を台無しにしてしまうような、そういうアニメ/ゲームと酒との組み合わせはなるべく避けたいところだ。
その際に注意すべきは、
「本気で楽しむべきアニメ/ゲームなのか」
「本気で嗜むべきお酒なのか」
だろう。
例えば『魔法少女まどか☆マギカ』の終盤のような、固唾を呑んでテレビにかじりつくしかない状況下で極上のウイスキーを舐めたとして、マトモに味がわかるだろうか?そういう、正座して観たくなるようなアニメ作品には立派すぎるアルコールはぶつけないほうが無難だ。酒の味がわからなくなってしまうばかりか、酒の派手なフレーバーに気を取られてアニメ鑑賞がおろそかになってしまいかねない。正座してアニメを観るような時には、缶チューハイや発泡酒で済ませるか、いっそノンアルコールにしてしまったほうが無難だろう。
同じく、ゲームが主役の際も呑む酒は慎重に選んだほうがいい。FPSやシューティングゲームの類はアルコールの影響をモロに蒙るので飲酒運転は論外だし、ビジュアルノベルやRPGでも、選択肢をどうしても間違えたくない瞬間は、酔いの回りが疎ましい。そんな時に焼酎やウォッカのような強い酒をやっていると、メッセージを読み飛ばしたり変な選択肢を選んでしまったりして、地団駄を踏む羽目になってしまう。どうでもいいゲームならともかく、一定以上の集中力を要する場合はビールやホッピーあたりで我慢しておいたほうが良いように思う。
反対に、越乃寒梅のような日本酒、サンテミリオン特別級のようなワインをやっている時に、情報量の多いゲーム・小難しいアニメに手を出すのもやめたほうがいい。この手の“観賞用アルコール”と呼びたくなるような連中は、五感すべてを集中して風味の変化や余韻を楽しむものだから、観たことのあるアニメにしておくか、消化試合的なゲーム/アニメにしておくのが望ましい。凝ったお酒に凝ったアニメをぶつけた挙げ句、どちらも注意散漫になってしまうなんてとんでもない!
とはいえ、「主役もクソもない!俺はとにかくアニメと酒でリラックスしたいんだ!」という日も多いはず。というより、現実にはそういう日のほうが多いかもしれない。残業帰りの疲れた身体でアニメを観るような時には、頭を空っぽにしてブヒーブヒー楽しめるようなアニメや、ほんの少しだけ神経を興奮させるゲームこそ最適だ。そんな日には、自分が一番リラックスできるアルコール――熱燗や黒ビール、芋焼酎も悪くない――をやりながら、一日の終わりをゆったり楽しむってモンでしょう。甘党なら、ベイリーズやカルーアのロック割りというのも素晴らしい。
以上をまとめると、
・気合いの入ったアニメ鑑賞には、ノンアルコールか軽めのアルコールを
・気合いの入ったゲームプレイにも、ノンアルコールか軽めのアルコールを
・気合いの入ったお酒には、気合いの入ったアニメ/ゲームはぶつけない
・リラックスしたいアニメ/ゲームには、一番リラックスできるアルコールを
といったところか。わざわざ書き並べるまでもなく、こんなのは、大抵のアニメファン/ゲームファンが無意識のうちにやっていそうな選択だけど。
私個人がやらかした、アニメ/ゲームとお酒の組み合わせいろいろ
さて、一般論はこれぐらいにして。せっかくなので、私自身がやらかしたアニメ/ゲームとお酒の組み合わせを幾つか書き残してみる*2。……というかこれが書きたかったんだよ!こういう記事は、実体験をきちんと書いておかないと片手落ちになっちまうんだよ!!わかるだろ!!な!!
・『Skyrim』とバドワイザー
とても良かったゲームとお酒の組み合わせ例。Skyrimは、プレイスタイル次第では動体視力や反射神経が求められるけれど、弓術+隠密+錬金術なキャラクターを育てるぶんにはマッタリ遊びやすく、ついつい夜中まで遊んでしまいがちだ。疲れた夜、薬草材料をのんびり収集したり、洞窟に毒キノコ狩りに出かけたりしながらの一杯は格別で、なかでもバドワイザーやアサヒスーパードライのような、爽やか系の飲み物との相性が良かった。
このゲームには、蜂蜜酒をはじめ多種多様なアルコールが登場するので、どうせならゲームに登場するお酒を選んだほうが臨場感が湧いていいように思う。けれども蜂蜜酒はマニアック過ぎるし、ワインやブランデーは高レベルのアンデッドやドラゴンに襲われた時の対応が鈍くなりやすい。結局、薄めのアルコール、それも喉の渇きを癒やしてくれるようなやつに落ち着いた↓。
/バドワイザー 350缶1ケース 24本入り
・『Fate/Zero』と、カリフォルニア赤ワイン
アニメに登場するお酒といえば、Fate/Zeroほどワインの出番が多かったアニメも珍しい。登場人物はどいつもこいつもワイン好きで、釣られて呑みたくなってしまう。ところで、彼らはどこのどういうワインを呑んでいるんだろうか?ひょっとしたら原作でカッチリ設定されているのかもしれないけれど、アニメ画面から推測するだけでも楽しい。
1.ケイネス先生の白ワインについて
衛宮切嗣によるホテル爆破攻撃の際、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは白ワインを呑んでいた。ワインクーラーでしっかり冷やされていたこの白ワイン、なで肩のボトルをしていたところをみると、ブルゴーニュ型のワイン、たぶんシャルドネ種だろう。ボルドーの白ワインやドイツ系の白ワインは考えなくていい。そしてケイネス先生の性格から考えるに、アメリカ産やチリ産のシャルドネを呑んでいたとは考えにくく、白ワインの総本山・ブルゴーニュのシャルドネ種を呑んでいたと推定するのが穏当か。
ドメーヌ・ルフレーヴ ピュリニ・モンラッシェ・1er・レ・フォラティエール [2007]
2.言峰綺礼の赤ワインコレクション
言峰綺礼が収集し、ギルガメッシュが飲み荒らしていた赤ワインについては、もうちょっとだけ情報がある。どれもボトルの形はボルドー型なので、ピノ・ノワール種ではあり得ない。特徴的なのは、緑や黄色といった派手な色をあしらったラベルだったということ。ボルドーやカリフォルニアの赤ワインでは緑や黄色をあしらったラベルは珍しいが、イタリアワインなら派手なラベルでも珍しく無い。聖堂教会に所属しているだけあって、イタリアワインを買い求める機会が多いというのか?ギルガメッシュも喜ぶようなイタリアワインとなると、例えば、ビービーグラーツの高級ワイン群がそれに当たるのかもしれない。
ビービーグラーツ テスタマッタ 2003
それにしても、あの禁欲一辺倒だった言峰綺礼が、ギルガメッシュが喜びそうな快楽的なイタリアワインを買い求め、小難しいボルドーワインを避けるというのは、どういうことなんだろうか?口では禁欲でも身体は正直ということか?このあたり、作画陣が狙ってイタリアワインっぽいラベルを描写したのか、そうでないのかは不明だけど、ワイン好きとしてはついつい深読みしたくなる。
じゃあ、実際にFate/Zeroを観ながら呑むとしたら、どんなワインが妥当なのか?この作品は1話あたりの情報量が多く、観ていて緊張を強いられる場面も多い。こんなアニメに、呑む側の緊張を強いるようなワインをぶつけるのは良くないと思う。それより、呑む側をリラックスさせ、気持ちを解きほぐすようなワインこそが相応しい。個人的な経験としては、カリフォルニア産のおおらかな赤ワインや、イタリア産の赤/白が良かったと思う。特に、値段の気張らない、けれども安すぎない価格帯のやつ↓。
【ロバート・モンダヴィ】カベルネ・ソーヴィニヨン・プライベート・セレクション[2010]
・『シビライゼーションIV』とドライジン(による失敗)
アルコールとゲーム、アルコールとアニメがいつも噛み合ってくれるとは限らない。大長編なシミュレーションゲームをやっている時、いつの間にか深酒が過ぎてわけのわからないことになってしまうことが時々ある。
シビライゼーションIVをやっている時にそれは起こった。ゲームにも大分慣れてきて、難易度「皇帝」をクリアしようと躍起になっていた頃だった。選んだのはペルシア文明、序盤の不死隊ラッシュが鮮やかに決まって隣国を滅ぼし、内政面でも「自由主義」一番乗りが決まった私は、愚かにもドライジンをやり始めてしまった↓。
タンカレー No.10
旨いドライジンを呑みながらのCiv4……タージ・マハールを建てて黄金期も始まり、良い気分になって油断していた私は、ろくにセーブもしないでゲームを進めていった。技術力でも軍事力でもダントツのトップに躍り出た奢りは、外交や諜報面での油断に繋がり、そして真夜中に破局が訪れた。
[ギリシアが我が国に宣戦を布告しました]
[アラブが我が国に宣戦を布告しました]
[フランスが我が国に宣戦を布告しました]
( ゚д゚)
きちんと敵国同士を噛み合わせておくべきだったのだ。それか、面倒がらずにライフル兵ラッシュでケリをつけておくべきだったのだ。けれども、ドライジンで鈍くなった頭にはそれが出来なかった。途中まで楽勝ムードだっただけに悔しく、猛省させられた。
・『織田信奈の野望』とブルゴーニュワイン一級
最近、特に良かった組み合わせ。織田信奈の録画を連続消化しながら、ブルゴーニュワインの一級をやってみた。2008年のせいか味はそれほどでもないけど、匂いはさすがに圧倒的でビビる。織田信奈はこの手のuseとしては圧倒的に優秀で、ワイン鑑賞を妨げず大人しくしている↓。
モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ“キュヴェ・デュ・パプ・ジャン・ポール2世”[2008]
『織田信奈の野望』は戦国武将モノをベースにしているだけあって、ほとんど何も考えなくて済むし、登場人物もすぐ覚えられる。なにより、この作品は「柴田勝家の胸がプレートメイルごと揺れる」、つまりそういう作品なのである*3。真面目にワインの味を確かめるのも良し、疲れた日に焼酎を飲みながらぼんやり眺めるも良し、つまり、合わせる酒を選ばない。アニメ単体での評価はさておき、酒に合わせるアニメとしては最優秀の部類に入ると思う。ブヒアニメがいける酒飲みには文句なしにお勧め。
・『崖の上のポニョ』とシャルトリューズ
「気合いの入ったアニメ鑑賞には強い酒は向かない」けれども「観ていてフワフワしてくる作品に強い酒をぶつける」のはアリだと思う。大震災が起こる以前、ハードリカーを飲みながら金曜ロードーショー『崖の上のポニョ』を観ていたけれども、夢を見ているようなヘンテコな気分になって、こいつはヤバい、とんでもない作品だ、と思ってすごく興奮した。最近になって『となりのトトロ』とシャルトリューズを合わせてみたけれど、ポニョほどではないけれども夢っぽい妙な気分になって、これはこれで悪くなかった。トトロはポニョに比べると物語の輪郭というか枠付けがしっかりしていて、老人の譫妄めいた雰囲気が希薄だけど、種の上をピョンピョン跳びはねて大樹にするシーンをはじめ、深酒をしていると怪しげに見えてくるシーンが幾つかあると最近知った↓。
シャルトリューズ ヴェール 55% 700ml
宮崎駿監督の作品には、ひょっとしたらもっと謎が潜んでいるかもしれない。深酒をした時に、色々眺めてみようと思う。
こんな感じで、アニメとお酒が噛み合ってハッピーになったこともあれば、酒が祟って散々な目に遭ったこともあるけれど、このあたり、どうしてもやめられなくて、ついついまたやってしまう。でも、それがいいんだよ。