寒くなってきましたね。
普段はワインを飲まないけれど、クリスマス〜年末年始にはワインを飲みたいって人も多いかと思います。でも、ワインって色んな種類があって途方に暮れてしまいませんか。実際、売り場によっては、味も香りも貧相な、がっかりするようなワインが混じっていることもありますし。
そんな、「普段はワインを飲まないけれども、ハズレワインは引きたくない!」という人向けのお勧め記事があったらいいなと思ったので、自分で書いてみることにしました。
【この記事の、ワインの選抜コンセプト】
・普段ワインを飲まない人でも、好みに合ったワインを入手できる
・甘口が好きな人もフォロー
・コストパフォーマンスに優れている
・ビールや缶チューハイでは代わりの効かない飲み物であること
・ワインに慣れていない人でも、豊かな味や匂いを楽しめる
・比較的どこでも売っていて入手しやすい
【甘口編】
年の瀬だけワインを飲む人のなかには、甘くて飲みやすいワインを求めている人もいるんじゃないかと思います。「値段の安い甘口ワインなんて邪道だ」って言う人もいるでしょうけど、甘口ワインが飲みたい人に辛口ワインを奨めたってしようがありません。甘口が好きな人は、やっぱり甘口ワインを選んだほうが幸せになれるってもんでしょう。
1.アスティのスパークリングワイン
天使のアスティ 750ml
「シャンパーニュみたいに泡の出る、甘口ワインが欲しい」という人は、ワイン売り場で『Asti』『アスティ』と書いてあるワインを買えば、まず間違いありません。見た目が華やかで、甘すぎない程度に甘く、発泡ワインなので飲み心地も爽やか。このアスティは流通が非常に良く、どんなワイン売り場にも必ず置いてあります。しかも値段は1000円前後。コンビニでも入手可能。
世の中には「アスティなんてワインじゃない」なんて言う人もいますが、缶チューハイの葡萄味と飲み比べてみれば、違いは歴然*1!アスティのほうが断然コクがあって、甘みにも愛嬌があります。リンク先は“天使のアスティ”ですが、別に天使じゃなくても構いません。メーカーを問わないのもアスティのいいところ。
2.ローゼン博士家の白ワイン
ドクターローゼン QbA
「泡の出ない甘口が欲しい」って人には、これを。ドイツ産、ローゼン博士家の甘口白ワインはアスティに比べると流通量が少なめですが、百貨店のワインコーナーには大体置いてあります。アスティに比べると甘さはやや控えめで酸味が上品なので、「アスティだと、ちょっと甘ったるく感じる」という人にはこちら。とても品の良いワインです。
甘口ワインっていうと、同じドイツ産の量販品――それこそ「マドンナ」や「シュバルツカッツェ」のような――を連想する人もいるかもしれませんが、ローゼン博士家のものと飲み比べてみれば、違いは歴然。一度飲んだらもう戻れません。
3.ランブルスコ 赤 甘口
メディチ・エルメーテ ランブルスコ ドルチェ
「甘口の赤ワインが欲しい」なんて人にも、安くておいしいやつを。ランブルスコはカシスムースのような色をした泡立ちも美しく、どこか乳飲料を思わせるような爽やかさを伴っています。赤ワインの苦味や渋みが苦手な人も、このランブルスコなら大丈夫!それでも赤ワインらしいコクをそれなりに併せ持っているので、赤ワインの風味に慣れる練習用としても適しているかもしれません。普段から赤ワインを飲み慣れている人には物足りないかもしれませんが…。
このランブルスコも流通は良好で、様々なメーカーの、様々な形の瓶に入ったランブルスコをワインコーナーで見かけます。ただし、たまに「甘口ではないランブルスコ」を売っていることがあるので、店員さんに「これは甘口ですか?」と念のため確認しましょう*2。
【辛口編】
ここからは辛口編。「ワインらしいワイン」でありながらお手頃価格で、匂いも味もしっかりしているものを幾つか挙げてみます。食事と一緒にいただくワインならこちら。
4.コノスル ヴァラエタル
コノ・スル げヴェル津トラミネール リゼルヴァ
クオリティと値段とのバランスを考えたら、この、コノスル社を越えるワインって無いんじゃないかと思うほど良くできたワイン。ここに挙げたゲビュルツトラミネールは、強烈なトロピカルフルーツの匂いと酸味のしっかりした味で、1000円ちょっとのワインとは思えない出来。同クラスの他の白ワインや赤ワインも素敵で*3、味覚と嗅覚をいっぱいに満たしてくれます。このワインは自転車がトレードマーク。ラベルに自転車の描かれたワインを見つけたら、それはハズレじゃないと思います。
5.コンチャイトロ ディアブロ
コンチャイトロ ディアブロ カベルネ
チリワインから、もう一種類。このメーカーのワインも、チリワインらしいしっかり濃い内容で、なんともワインらしいワインの味がします。このワインの凄いところは「スーパーマーケットやコンビニにも大抵置いてある」点。廉価版の“サンライズ”“フロンテラ”も含め、24時間どこでも買えるワインNo.1じゃないでしょうか。それでいて美味い!クリスマス当日の夜に急にワインが欲しくなったら、コンビニでこいつを買ってくれば無難と思います。
6.カレラ ピノノワール
カレラ ピノ・ノワール
ここで紹介するカレラはカリフォルニアワイン。このメーカーの白ワインは蜂蜜の匂いがたっぷりの瑞々しいワインで、赤ワインはベリーのような酸味と甘み+飲み心地の良い滑らかさ。どちらも飲む人を選びません。「ワインは飲んでみたいけど、渋みや苦みはちょっと…」という人も、ここのワインなら大丈夫。「辛口」とは言うけれども、ほんのり甘く、気持ち良いワインだと思います。
このカレラをはじめ、カリフォルニアのワインはチリや南アフリカのワインに比べて若干割高ですが、2000〜3000円台まで支払うとハズレを引きにくいように思います。ちなみに、あまりにも安いカリフォルニアワインを買うと、ハズレの割合が高くなるのでご注意を。
※2021年追記:このワインは値上がりしてしまい、現在は4000円前後になってしまいました。相変わらず良いワインですが値上がりにご注意を。
7.クマラ カベルネ シラーズ
クマラ ケープクラシックス
「もっとコストパフォーマンスの良い、飲み心地のいいワインが飲みたい!」という人には南アフリカワインを。この、蜥蜴マークのワインは700円〜900円程度で流通していますが、フルーティーな口当たり・しっかりとした香り・ほのかな甘みで、渋みや苦みも控えめ。「これこそおいしいワインだ!」と言いたくなるような。南アフリカのワインは値段の割に味と匂いのしっかりした、しかも飲みやすい品が多いように感じます。
※2021年追記:リンク先は1100円するケープクラシックスという銘柄ですが、現在ももっと安い価格帯のワインは流通しています。
8.ヴーヴクリコ イエローラベル
ヴーヴ・クリコ イエローラベル
辛口スパークリングワインにもピンからキリまでありますが、シャンパーニュ地方の品はハズレが少なく、さすが本場という感じがします。上に紹介したのは、黄色いラベルで見栄えの良いヴーヴクリコのシャンパーニュですが、もっと安いシャンパーニュでもハズレを掴む心配は少ないと思います*4。一時期、シャンパーニュはえらく高騰していましたが、最近はユーロ安のせいか、750mlで2000〜3000円ぐらいのシャンパーニュをチラホラ見かけるようになりました。シャンパーニュは、ラベルに『Champagne』と必ず書いてあるので目印にしましょう。オードブルにもぴったり。
※2021年追記:ヴーヴ・クリコはさらに値上がりしてしまいました。新型コロナウイルスの広がりで少し値を下げましたが、それでも5000~6000円ぐらい。他方、もっと安いシャンパーニュはもっと値段が下がり、2000~2500円ぐらいの品を見かけやすくなりました。
ボルドーやブルゴーニュのワインは、外しました
ここまで読んで、「フランスの有名なワイン産地が入っていない!」と思った人もいるかもしれません。事実、ボルドーやブルゴーニュのワインは一切紹介しませんでした。その理由は、
・ある程度の金額を払わないとアタリに出会いにくい
・ある程度の金額を払ってもハズレを引くこともある
・生産者や土地に関する知識が求められがち
・“いつ頃が飲み頃なのか”が分からない
・どこの店にも置いてあるようなワインが少ない
といったものです。同じような理由でイタリアの名醸地のワインなども外しました。この文章の主旨は、「普段ワインを飲まない人にお勧めのワイン」ですから、手堅く、どこにでも売っていて、最悪、そのメーカーのものが手に入らなくても国や地域を間違えなければ大体OKの品を選んでみました。
「年末年始だけワインを飲む」という人にだって、おいしいワインを呑む権利はあるはず。
おいしくないワインを回避し、匂いも味も豊かなワインをお手頃価格で手に入れる参考になれば幸いです。
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