赤い刀
CAVEの新作シューティングゲーム『赤い刀』をゲームセンターで見かけるようになった。キャラクターデザインや世界観も魅力的だが、それ以上に「念身(=変身みたいなもの)」というシステムが面白くて使いやすい。念身モードになって堅い戦艦や要塞を敵弾ごとバッサバッサと斬り倒していく爽快感は、最近のシューティングゲームのなかでも群を抜いている。
この『赤い刀』で一番驚くのは、念身モードを使いこなせれば弾幕をたいして避けなくて構わない、という点だ。制作したのは『怒首領蜂』シリーズなどの弾幕シューティングゲームで有名なCAVEなのに、きちんと念身システムさえ使えば弾幕なんて怖くない。念身モードになって、敵弾を弾き返したり強力な攻撃でバッサリやったりしていれば、ほとんど弾幕避けをしなくても5面終盤ぐらいまでは到達できる*1。ザコを倒して念身ゲージを貯めて、ちょっとヤバそうな弾が飛んで来たら念身 → 防御&攻撃…これの繰り返しで大体なんとかなる。そのうえ、念身攻撃に頼ると高得点が得やすくなる(=残機が増えやすくなる)というオマケ付きだ。至れり尽くせりとしか言いようが無い。
弾幕の苦手な人が『赤い刀』を遊ぶためのtips
『赤い刀』を楽しく遊ぶために必要なのは、100円玉を積み上げての反復練習ではない。弾避け能力や動体視力でもない。二種類のショットボタンと、飛行機モードと念身モードを使い分けること;ただそれだけだ。
ショットボタン押しっぱなし(強攻撃) | ショットボタン連射(弱攻撃) | |
飛行機モード | 強めのショット攻撃。自機の移動力は遅い。 | 弱い攻撃力のショット。自機の移動力は早い。 |
念身モード | 強烈な攻撃。敵弾に当たっても念身が解けるだけ。 | 弱い攻撃。敵弾をすべてはじき返す。 |
- 機体選び:弾幕を避けるのが苦手な人へのお勧めは、二号機か三号機。二号機は、オプションからの攻撃が敵をサーチしてくれるので、暗記していない状況・画面後方からの攻撃にも強い。三号機は、敵にオプションをめりこませた時の攻撃力と、念身モードの攻撃力が強烈。
- 念身のコツ:念身すれば敵弾に当たってもとりあえず死ななくなるので、「避けるのが怖い弾が飛んできたら念身」でok。念身ゲージをケチろうとか、そんな難しいことを考える必要はほとんど無い*4。念身モードの時、「余裕のある時は強攻撃、敵弾を追い払いたい時は弱攻撃」という使い分けを工夫するのが『赤い刀』の大きな楽しみのひとつ。
- ボム:あまり後先を考えずに使い切るのがこのゲームでは吉。念身ゲージが枯渇していてピンチの時などは、問答無用でボムを撃ってしまうべき。他のゲームと違って、ボムが無くなっても念身という切り札が残るのだから、「ボムが無くなったら終わり」などと考える必要は無い。残ライフが1・残ボムが1の時は、被弾したらオートボムが自動的に炸裂する仕様なので、残ライフ1・残ボム1の時だけボムの使用を躊躇えばよい。
- 1面ボス〜3面ボスは、怖い攻撃が来たら念身→念身ゲージが枯渇してから怖い攻撃が来たらボム でok。そんな戦い方をしながら念身の使い方を覚えていけば、後は勝手に上達する。弾避けの能力を鍛えなくても最終面までは全然いけてしまう。大切なのは、弾避けを上達することではなく、念身を駆使した攻撃を楽しむこと。
弾幕シューティングは「難しい」という偏見
この『赤い刀』に限らず、最近の弾幕シューティングゲームのなかには、弾幕を精密に避けるスキルがなくても遊べるゲームが珍しくない。
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例えば『トリガーハートエグゼリカ』は、弾を避ける能力より、敵をアンカーで捕まえて振り回すコツのほうが遙かに重要なゲームだった。神経を遣う弾避けはほとんど要らず、最終ボスでは敵の破片を捕まえて弾消しをしながら戦えば、まともに避ける必要が無かった。
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また『デススマイルズ』も、ステージの難易度をある程度選べるうえ、パワーアップを使った攻撃で敵を押さえこみやすい仕様だったため、初心者でもパワーアップを駆使すればかなり善戦できた。ボムやパワーアップを惜しまず使っていくような、弾避けよりも攻撃を重視したプレイを心がければ簡単だった。
ほかにも、『怒首領蜂大復活』や『エスプガルーダ』のように、初心者でも遊びやすい・弾幕をあまり回避できなくても遊ばせてくれる作品が結構リリースされていたりする。*5。
むしろ、弾幕以前のほうが難しかったぐらいでは?
ときどき、「昔のシューティングゲームは遊びやすかった」とか「昔のシューティングは難しくなかった」という言葉を耳にすることがある。果たして、本当にそうだっただろうか?
確かに、非常に簡単にクリアできるシューティングゲームというのもあった。カプコンの『エリア88』、アイレムの『ファイヤーバレル』、東亜プランの『ヴィマナ』などは、中高生が適当に遊んでいるだけでもクリアできるような低い難易度だったと言える。
その一方で、『達人王』や『P-47 ACES』や『R-TYPE-II』のような激烈難易度のシューティングゲームも当時は珍しくなかった。名作といわれた『グラディウスII』や『雷電』でさえも、後半ステージの難易度は侮れず、1クレジットでクリアするためにはかなりの練習が必要だった。理不尽なほど大きな自機の当たり判定・瞬きしていると死ぬような高速弾・複雑過ぎる地形・取ったら死ぬしかないパワーアップアイテムなど、現代の弾幕シューティングには無い意地悪さが、当時のシューターをさんざん苦しめていたことも忘れるべきではない。
もちろん、最近の弾幕シューティングの難しさと、80年代〜90年代のシューティングの難しさは、質的にもかなり異なるので、どちらのほうが難しいかは一概に言えるものではない。とはいえ、「弾幕シューティング=難しい」「昔のシューティング=簡単」というのは単純化しすぎた、誤った見方であり、特に最近、弾幕避けの技倆をあまり要さず、ビギナーにも遊びやすい弾幕シューティング作品群が現れてきていることは、もっと周知されても良いと思う。
弾幕シューティング=難しい という偏見のせいで『赤い刀』のようなフレンドリーな作品が敬遠されてしまうのは大変もったいないことだ。そのような偏見は、早く無くなって欲しいと願う。