「オタク」を主語にするな。 - Something Orange
僕が思うに、「オタ界隈の美少女キャラクターは、処女性を連想させやすい傾向がある」と思う。
上のリンク先でkaienさんは、“「オタクは処女しか受け付けない」なんて決め付けないで欲しい”、と仰っていたが、全くその通り。オタクが処女性の高いキャラクターしか受け付けない、というのは間違っている。たとえ白飯が一番好きという人でも、ライスコロッケやお好み焼きもおいしくいただけるように、処女性を想起させやすいキャラがストライクゾーンの人でも、処女性を意識しないキャラクターやストーリーを一通り楽しめることは出来る*1。極論を言えば、アダルト美少女コンテンツではつるぺた幼女しか受け付けない人でも、草薙素子さんを格好いいなーと思って眺めることぐらいあるわけで、オタク一人一人のキャラクター嗜好も、一人あたりのキャラクター嗜好も、多種多様と言わざるを得ない。
ただ、オタク界隈の美少女キャラクター達が日夜生まれては飽きられていく現状のなかで、処女性を想起させる「属性」を与えられたキャラクターが、メインストリームを担っている、とまでは言い切っても良いんじゃないか。
最近の人気ライトノベル・人気アニメ・人気ギャルゲーといった分野のなかで、処女性を想起させるような「属性」をまとわりつかせていないキャラクターが、どれぐらいいるだろうか?いや、いないわけではない。『灼眼のシャナ』マージョリーにしろ、『CLANNAD』の早苗さんにせよ、確かに処女性を想起させるような属性とは無縁ではある。しかし、それらのキャラクターが主役級だったりメインヒロインだったりする作品は、全体のなかで何割あるだろうか?また、一つの作品の女性キャラクターのなかで占める割合はどれぐらいだろうか?昨今の萌えキャラ事情に詳しい人なら、即答できるだろう。「処女性を想起させないキャラクターは、正直少数派である」と。いないことは無いが少なく、しかも、ともすれば「メインの萌え担当」ではないかのような役回りを与えられている。
じゃあ、どういうキャラクターがメインヒロインをつとめているのか、というと、女子高生の制服を着たキャラクターだったり、幼児体型のキャラクターやいかにも幼いキャラクターだったりするわけだ。あるいはツンデレキャラクターのように、さも恋愛を知らないかのような振る舞いも珍重される。エロゲーの場合はさらにエロシーンで、やれ血が出た出ないで、偏執的な描写が書き連ねられることもある。キャラクターに与えられる属性をみるにつけても、「ゴスロリ系の人形さんのような格好」「ツインテール」「不慣れなメイド」などなど、処女性を想起させ膨らませるのに都合の良いシンボルが大量に溢れている。
オタク個人の嗜好がどうあれ、オタク界隈の美少女キャラクターのメインストリームは、明らかに、処女性の高いものに収斂進化してきている。これは殆ど動かぬ事実だと思う。いわゆる「萌え」キャラクターの原型が出来上がったのが1990年代前半〜中盤だと思うけれど、以後、『はじめてのおるすばん』が出た2003年〜現在に至るまで、コンテンツ消費者による厳しい市場淘汰を経れば経るほど、むしろ処女性を想起しやすいキャラクターがますます大量生産されるようになってきているのではないか?と思わずにはいられない。もし、処女性がそれほど重要でないなら、処女性を連想させる「属性」がここまではびこることは無かったと思う*2
オタク界隈の美少女キャラクター達の趨勢をみる限り、統計的・確率的には、オタクコンテンツに出てくる美少女キャラクターはやはり未成熟や処女性の傾向が強いと思う。統計的傾向と個々の多様性は混同されるべきではないので、すべてのオタクが未成熟や処女性に惹かれているとは僕も思わないし、未成熟や処女性を意図的にかき集めているオタクはいっそ少ないぐらいだろうとも思っている。けれども、市場淘汰は、未成熟で処女性を連想しやすいキャラクターを選んだ、とまでは言ってしまって構わないのではないだろうか。そして、その市場淘汰に参画し、自分達の支持するキャラクターの含まれるコンテンツにお金を払ってきたのは、ほかでもない、僕達オタク自身だということも記憶に留めておきたい。
ちなみに、処女ではなく処女性 と書いていますのでご注意を。
処女性、のニュアンスについては女はそこにはいない。女はどこにもいない。 - Ohnoblog 2で大野さんが用いているものと殆ど同じものを想定しています。
*1:注:id:pdhさんのご指摘を受け、ここの喩えはより文意が通りやすいよう、7/4の20:00に若干書き換えました。ちなみに、もとの文章についてはhttp://d.hatena.ne.jp/pbh/20080704/1215140668で、pdhさんが引用しています。
*2:「それはオタクが低年齢化しているから、だから幼い美少女がメインなんだよ」と言う人もいるかもしれないし、事実若い世代のコンテンツ消費者も増えてはいるだろうが、だからと言って現在のライトノベルの主要購読者層が十代前半男子だとは到底思えない。エロゲーや萌えアニメにしても同様である。店内で見る限りでは、むしろ、二十代後半〜三十代に入るような、かなり歳を経た購入者を相当に高い割合で見かけるようにかんじられる。購入者の年齢層から言って、それらの作品が、人口の少ない若い世代だけでなく、もっと上の世代をもカバーしたうえで、そのようなコンテンツ仕上がりになっている点は、念頭に置いておくべきだろう。