http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20080415/1208224000
春ですね。サークルクラッシュの季節がやってきました。女性慣れしていない男性の場合、サークルの女性に屈託なく接して貰えると、それだけで舞い上がってしまい、勘違いして後で大変なことになってしまうことがあります。とりわけ、普段は異性願望やセックス願望を強く抑圧しまくっている男性の場合は、抑圧されていたリビドーのために判断力が侵されやすいように見受けられます。そして「ボクにもしかしたら気があるのかなぁ(気があるのは、アンタですよ!)」という男性が複数人になり、女性を巡ってサークル内で牽制しあったり、女性の“姫”化が進んでしまえば、サークルはクラッシュに向かって一直線です。異性を巡っての衝突と反目の後には、崩壊したコミュニティと徒労感、そして怨みつらみだけが残されるでしょう。
ところで、サークルクラッシュという現象は、“誰の責が大きい”のでしょうか。サークルクラッシュというのは相手あっての相互関係のなかで発生する現象です。男性側だけに責任があるとみるのも、女性側だけに責任があるとみるのも、間違っているといえるでしょう。殆どの場合、いくらかの責が男女双方に含まれる、と理解するのが妥当のように思えます。そして、時と場合によってその“責”の男女比は違うと思うんです。以下に、二つの大きく異なるサークルクラッシャーの場合について示してみます。
1.自己陶酔型サークラ女の場合(女郎蜘蛛タイプ)
世の中には、(リビドーに必死に蓋をしようと頑張っている)初心な男の子が沢山いるところで男漁りをすることを生き甲斐としているような、そういう業の深い女性が存在します。このタイプの女性の多くは、自分自身の“市場価値”をあまり高く評価しておらず、むしろ他の女性達に対してコンプレックスさえ抱いていることも多いようです。だからこそ、彼女達の多くは、自分でもチヤホヤしてくれる初心な男性が集まっているクラスタへの嗅覚に秀でていますし、自分を中心に男達が駆け巡る光景を楽しみます。このタイプのサークラ女は、自己陶酔の為なら何だってやります。初心な男心に首輪をつけるには、二人きりの時にそっと手を握ってみる・飲み会の席で確信犯的に肩にもたれかかってみる、程度で十分だということを、このタイプの女性は本能的に知っています。
このタイプのサークラ女の場合は、まだ男性側の責は比較的小さい、と僕は思います。歴史のあるサークルの場合、この手の“女郎蜘蛛”に対抗する術が代々伝承されている場合もありますが、歴史の浅いサークル・自然発生的なゲーセン集団・インターネットをベースとしたコミュニティなどの場合は、籠絡された哀れな犠牲者を従えたサークラ女が、ふんぞり返っている事例をしばしばみかけます。このようなサークラ女に支配されたサークルは、サークルクラッシュするその日まで、女性は天井知らずの自己陶酔に耽り続け、男性達は絶えない緊張とフラストレーションに曝されます。いったんサークラ構造が構築されると、もし問題点に気づいて忠告する男性がいても、それが少数派である限りは女郎蜘蛛の支配体制は崩れません。サークラ女がちょっと疎んでみせるだけで、“女の子を守る童貞騎士”達が大喜びで異端者を排除しにかかるのですから*1。
2.もともとボディタッチが自然に身に付いている場合(id:y_arimさんの挙げるゴルゴ女タイプ)
一方、y_arimさんが挙げたゴルゴ女に相当するような、単にボディタッチが自然体であるだけのタイプの場合はどうでしょうか。世の中には、ボディタッチやボディランゲージをもコミュニケーションの重要な手段として育てられた、そういう男女も存在します。体に触る、というのはコミュニケーションのチャンネルとしてかなり重要で、特に親しさを交換するには非常に強いメッセージ性を持っています*2。幸福なボディタッチに恵まれた家庭で育った人のなかには、一緒にご飯を食べたり部活動を共にしたりするぐらいの仲ならボディタッチを繰り出すことに違和感の無い人も、確かに存在しています。前述の女郎蜘蛛タイプに比べれば遭遇頻度は少ないものの、このタイプの女性は大抵は“本当にいいやつ”で、女郎蜘蛛タイプにありがちな、同性へのねじれたコンプレックスも持っていません。
このタイプの女性の場合、女性の側に責があるというのは酷だなぁと思います。女性がボディタッチ・ボディランゲージを使ってくるとはいっても、それが気になってしようがない男性は「気になるからやめてくれ」「そういうの苦手なんだ、俺」とか言えばいいのです。または「俺は自意識過剰だから、きみがそんな風に接すると、ドギマギしてしまうんだ」と言えばいいのです。実際には、やりようは幾らでもある。単に趣味仲間として楽しく過ごしたいだけなら、「俺達の女性アレルギーに配慮してくれるか、せめて少しづつでも慣らすぐらいにしてみてくれないか」などと話し合うことだって不可能ではない筈なのです。その女の子の一番に俺がなりたいとか、女の子の前では格好つけていたいとかいう、きみが隠し持っている執着さえ捨てられるならね。
だけど、異性の存在に飢えている男達には、それが言えない。言えるわけが無い。だって本当は、無意識のうちにその娘を(異性として)意識しちゃってるんだから、シャンプーの匂いに打ちのめされているんだから。ボディタッチも、彼らは本当はまんざらでもないんじゃないでしょうか。「気になるからやめてくれ」と言いだした自分だけが疎遠になったり(そしてライバル達は今まで通りあの娘のボディタッチの恩恵に与るのだ!)、サークルから彼女の姿が消えてしまったりするなど、あってはならない事態といえる。結局、“誰も猫に鈴をつけようとせず”“女の子への願望を皆がいたずらに募らせあいながら”サークルクラッシュへの道を突き進むわけです。
しかしこれは、男の側が何とかすべきでしょう。女の子よりもサークルと趣味が大切というのなら、本当は言える筈なんですよ、「俺(達)は、免疫がないから、そういうの勘弁してくれないか」って。その結果、その女性がサークルから遠ざかってしまうリスクさえ冒してでも、自分達の居場所と趣味を守れる筈なんです*3。だけど、どうして出来ないんですか?どうしてしないんですか?趣味より女の子のほうがかわいいからじゃないんですか?ツンを気取って、本当はボディタッチにデレだからじゃないんですか?
このタイプのサークルクラッシュは、男性操作に耽るろくでなし女性がサークルをクラッシュさせるというよりは、一人の女性への男達の執着と、あきらめの悪さがサークルをクラッシュさせる、というのが理解としては適当でしょう。女の子へのヤマシイ思いをすっぱり切り捨てて、あくまで趣味仲間として割り切れる男性ばかりなら、こういった問題がこじれる筈が無いのです。だけど実際にはそうではないから、サークルはクラッシュする。男達の、あきらめきれない女の子執着とボディタッチの甘美な思い出*4が、男達の下半身とサークルをだめにしてしまうのです。
誰の執着がサークルをクラッシュするのか
ですから一言でサークルクラッシュと言っても、女性側のほうが業が深い場合と、男性側のほうが業が深い場合があると僕は思うわけです。女性側のコンプレックスと自意識によってサークルが蚕食される場合は、女性の側を問題視するのが適当だな、と思います。これはもう、女性の側を排除でもしない限りは、たいていは収集がつかない。
一方、ゴルゴ女というか、屈託無くボディタッチしてくるような“いいやつ”系の女性がサークルクラッシュを招くというなら、その女性に執着する男達のコンプレックスと自意識をこそ、見つめ直すのが適当と思います。本当に、趣味やサークルが大切だというなら、勇気をもって言える筈です、「俺、そういうの苦手なんだ、ごめん」と。“いいやつ”系の女性なら、はじめ戸惑うことはあっても、出来るだけサークルの流儀に合わせてくれる筈。そして、そういう話し合いがあれば、男達の自意識でサークルがクラッシュしてしまうという事態も、避けられる筈なのです。もしもそれが難しいというのなら、ひとえに、男達があきらめの悪い執着をどこかで隠し持っていたり、ボディタッチを独り占めしたいという願望を捨てきれずに懊悩しているからではないでしょうか。そんなことじゃ、大切なお友達や趣味仲間を、恨んでしまうかもしれません!これから新しくサークルに入る男性諸氏におかれては、ゆめゆめ、この点お忘れ無いようお気をつけください。
参考:サークルクラッシャーとは - はてなキーワード
※尤も、こういうのは「俺は二次元に萌えるから、三次元の女に興味は無い」と神に宣言できる男性諸氏には無縁の問題であります。現実の女性に興味の無い男性なら、ボディタッチされようが雨の日の透けブラを視てしまおうが、興味も懊悩も無いでしょうから。そこまでの男性というのは、実際にはなかなかに見かけないものですが。
*1:ここで言う“童貞騎士”達は、女の子のことを悪く言う男性には共同戦線を形成して戦いを挑むのですが、内心では、「俺こそが戦功一番になってやろう」と必死です。そんなことだからサークラ女に手玉に取られるわけなのですが、自分が女の子の一番になるか、今度は自分がサークルを追い出される羽目になるまで、彼らは戦い続けます。
*2:これは諸刃の剣で、信用ならない輩の多い状況下では、当人をかえって追いつめることのある行為であることは、断っておきます
*3:勿論、せっかくの同好の士をそのような理由でサークルから疎外するのは良いことではないと僕も思います。ただ、サークルのメンバーの女性免疫が無いが故に、どのみちこのままではサークルがクラッシュせざるを得ない・こじれざるを得ないというリスクと、トレードオフに判断しなければならない場面というのは、あると思います。勿論こういうことは、女性免疫が十分なメンバーだったり、女性執着が少ないメンバーで構成されたサークルの場合は、考えなくて良いことなんでしょうけど。
*4:勿論、その甘美さを口にすることは憚られるのです!そんなこと口にしたら、サークルにいられなくなってしまいますから!