シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

存在を許されたセンテンスについての一般則

 
 一般に、ゲームの駒として吐き出されなかったセンテンスは存在しない。語り手から生み出される全てのセンテンスは、ゲームに使役される駒として期待され得るものだけが存在を許容され、期待され得ないセンテンスは生まれ出たことなどあった試しが無いし、これからも生まれ出ることは無い。*1
 
 自由連想法の最中でさえこの一般則を免れることが出来ないであろう事を踏まえたうえで、行き交うセンテンスについて思いを馳せるのが適当である、と私はいつも考えがちだ。診療面接という場面や独り言を呟く場面においてさえ、あなたや私はゲームプレイヤーとしての立ち位置から降りることを許容されない事を視野に入れておかなければ、重大な勘違いや見落としは殆ど避けられまい。
 

*1:幾つかの精神疾患に罹患した状況だけが、もしかしたらこの原則を逃れたセンテンスを紡ぎ出すかもしれない。しかし、そのようなセンテンスに理解の道筋をつけることは不可能に近いだろうし、鑑賞の対象とはなり得ても理解の対象となり得るかは、私には分からない