「図書館にいる女子はなぜかわいいのか」問題 - うしとみ
萌えキャラ大好きな俺なら、右のように理由づけるでしょう。「それはですね、図書館にいる兄貴達は、図書館の物静かな女子に“萌えて”いるんですよ。彼女達について具体的に知っている僅かばかりの事象を想像力で膨らませて、理想の女の子へと脳内変換しているんですよ。」と。
黙っていれば女子はかわいく見える、というのは、振る舞いを減点法するような考え方で、それはそれでひとつの真理だと思いますが、勿論図書館にいる女子がかわいくみえるのは、単に「減点法の対象とならないから」という消極的な理由に留まらないと思います。
そうではなく、「図書館にいること」「本を選んだり読んだりしていること」「(例外を除いて)物静かに行動していること」等々が、図書館を好む男子達の想像力を刺激するのではないでしょうか。
この構造は、「キャラ萌え」における願望回収の構造に似ています。萌えキャラが保有する「属性」や作品内から得られる僅かばかりの情報を、消費者たる萌えオタが想像力で脳内補完し、理想を投げかけて膨らませ、自分の願望にフィットした「理想的なキャラクターの想像*1」を創りあげてエヘラエヘラする*2のが「狭義の萌え」なわけですが、それと同様、図書館女子の佇まいから得られる僅かばかりの情報を想像力で脳内補完し、理想を投げかけて膨らませ、自分の願望にフィットした「理想的な図書館系女子」を脳内に創りあげることが俺達には可能です。直接には会話を交わさない図書館女子は、直接会話を交わさないが故に、男達の女子理想像を生起させるデータベースとして、機能します。
図書館女子というのは、随分と選好された情報塊なので、萌えるにはウハウハですよね。ね？
例えば、街をほっつけ歩いている女子。これは分かりづらい！彼女が何を趣味にしているのか、どんな価値観を持っているのか、そういった事がとても分かりづらい。想像力の「とっつき」が悪すぎます。女子といつも喋っている男子なら、服装などを頼りに見当をつけることが出来るかもしれません。でもそういう鑑別眼は、女の子の顔よりも本をみている時間の長い男子達には望むべくもないでしょう。よって、街行く女子から「萌えそうな属性」を抽出し、自分のあらん限りの想像力を迸らせるのは意外と困難だったりします。しかし図書館女子なら、本を読むことの多い男子でも抽出可能な「属性」が沢山あるわけです。妄想力なり想像力なりを膨らませる橋頭堡がゲットできるわけです。(しかも、「黙っていればかわいい」系の減点法も滅多に採用されないときてます)
例えば「彼女はいつも図書館にいる」という一点だけであっても、萌えの基点とはなり得ます。萌える男子ならば、「いつも図書館にいる」という事実の一片から多種多様な想像や物語を紡ぎ出すことも可能なのです。まして、読書好きで物静かで貞淑な振る舞いなんぞみせられたら、どうですか！萌えるでしょう。この際、「ちょっと遠くから見守りたい」でも「(;´Д`)ﾊｧﾊｧ」でも何でもいいですが、なんかいい感じしませんか？初心者の方は、目を瞑って想像力で補ってみましょう*3。ほら、あなたの理想と空想と願望でしっかりデコレートして、ドレスアップしてください！味の素は不要です！
今日日の男子なら、自分の想像力が投げかけ膨らませる対象さえいれば、萌えちゃうことが可能なことでしょう。いつも生の女子をみていて想像力を働かせる余地を無くしている人ならともかく、あまり女子との接点が無い男子や、特定集団の女子との接点があまり無い男子*4なら、限定された情報・属性を基点にして女子萌えすることが出来ます。この「リアル女子萌え」は、図書館女子に限らず、映画館女子・美術館女子・文化会館女子、などなど様々なサブタイプが観察されています。勿論、それぞれのサブタイプにはそれに呼応した男子群が存在していることでしょうし、「萌えるならなんでもいいや」という節操の無い御仁も散見されます。
図書館女子は、確かにかわいいです。映画館女子も、文化会館女子も、みんなかわいい。ですが、その「かわいさ」というのは、等身大の女の子がどうであるかよりも、むしろ“萌える女子キャラとして”、“まなざす男子の想像力や妄想力が炸裂する場として機能しているから”かわいくみえるのではないでしょうか。
[注意]：図書館女子も映画館女子も文化会館女子も、萌えコンテンツと違って生身の人間です。男子が萌えるのは勝手にせよ、露骨にまなざされたり、図書館でストーキングされたりしたら、彼女達はとても困ってしまうでしょう。「萌えの作法」が分かっている人には言うまでもないことですが、念のため補足。
シロクマの屑籠
p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです
