シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

課題を探す、課題にとりくむ、取り組んだ結果をみる、結果に対する振る舞いをみる

 
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20060425/101651/
 
 これなんかは、対象の手札やスペックを評価する手法としてとてもいい。「相手の課題とそれに対するソリューション」を問うというのは、相手の行動上の傾向や素養、現実検討能力などを多角的に評価するうえでなかなか優れた方法だと思う。さらに「ソリューションの成否と、成否が分かった後の振る舞い」も含めれば、相当多角的に検討できるだろう。最小限の情報で、最大限多角的な類推が可能となるこうした視点は、対人レーダーとして重宝するだろう。
 
 同じ課題を抱えていても、解決の仕方は千差万別。
 同じ失敗をやらかしたとしても、その文脈も千差万別。
 
 人間を評価する際、特に短時間で出来るだけ確からしい評価を対象にしなければならない際、どのような目的・尺度の評価であれ、課題・取り組み・結果のいずれか一点だけに着眼していては見落としが生まれてくる。幾つかの角度から切り込まなければ、対象を描写するのはなかなか困難だ。そして、「幾つかの角度から〜」なんて難しいことは言わなくても、

1.どんな課題を抱えているのか
2.課題にどう対処するのか
3.対処の結果はどうなのか
4.結果をうけてどう行動するのか

をみれば、自ずと多面的な対象検討になっていく。なぜなら、この一連の流れを観察するということによって、最低限
 
・対象が何を弱点にしているのか・何を願望しているのかを推定する
・対処行動と成否をみることで、問題解決能力と現実検討能力を推定する
・問題解決と結果に至るプロセスから、問題解決の癖や得意不得意を推定する
・成否を受けた対象の行動から、その成功/失敗がどう位置づけられているのかを推定する
 
 ぐらいは出来てしまう。まして、何度も会う間柄であれば、こうした検討が様々な分野に関して集積するので、対象についての理解はさらに深まり、推測ミスは是正されていく。さらに、不自然な隠蔽や強がり・第三者との関係なども観察することによって、脳内キャンパスに描かれた人間模写像はいっそう輪郭を鮮明にするに違いない。まずは観察だ。それも、横断的に一点だけを見つめるんじゃない。縦断的に、出来る限りプロセスを追いかけ、(個々の行動や出来事の)対象にとってのコンテキストも念頭に置きながら観察するってものだろう。
 
 相手のカードを知っておけば、心強い。喧嘩するでも協力するでも、対象の輪郭は出来るだけしっかり捉えておくにこしたことはない。