公道上には実に様々なドライバーが存在しており、なかには物騒な人達や関わりたくない手合いも混じっている。例えば威圧的で他罰的な人達や、挙動が読みにくい人達、目立って危ないことが美徳とされる文化圏に所属する人達etcの乗用車は、単に衝突してしまうリスクが高いだけでなく、万が一衝突してしまった時のやりとりがなかなか難しい*1。君子危うきに近寄らず――少しでもリスクのある乗用車を発見したら、いつもより車間距離を空けるなり、不規則な動きに警戒するなり、アンテナの感度をあげて臨んだほうがよいだろう。面倒な相手に衝突してしまった場合、当社比三倍の苦労があなたに降りかかるのだから。
今回試作したDCRS(DQN car Rating Scale)は、色んな意味でハイリスクな乗用車を発見し警戒する為のスコアリング表である。このスケールは、
1.衝突した時に色々厄介になりやすそうな乗用車(保険支払い、交渉、威圧など)
2.衝突してしまうリスクも若干高い(運転の読みにくさなど)
に合致した乗用車をスクリーニングすることを目的としてつくられた。このため、1.だけに該当する乗用車や2.だけに該当する乗用車を峻別するにはあまり向いていない。だが、このスケールの総得点が高い乗用車は、DQN carをはじめとする1.2.に該当する乗用車である可能性が高いだろう。もちろん、このDCRSで高得点の車のドライバー=所謂DQNとは限らないが、私達一般ドライバーにとって重要なのは、相手がDQNか否かではない。厄介な相手が乗っている確率の高い乗用車や、衝突のリスクが高い乗用車を発見し、それらの車に1.5倍の注意を払えるか否かが重要なので、DCRSで高得点の乗用車を発見したら、“DQNじゃないかもしれないけど、気をつけておこう”という気持ちで警戒しておけば間違いない。車間距離を空けたり間に他の車を割り込ませたりして、ドライバーの様子に注意を払っておこう。
DCRS下位項目;以下の下位項目で加点出来るものを探し、加点せよ(下位項目内で重複があった場合は、累積加点せよ)
1.エクステリア;以下を発見したら、加点せよ。
フロントガラス以外の全部の窓にスモークがかかっている +3点
ピカピカ光る電飾が装備されている +1点
小さなステッカーが貼ってある +1点
リアウインド全体に広がるようなステッカーが貼ってある +2点
車高が販売時のものより低く改造してある +1点
キャラクターや人物やマークが車体に塗装されている。 +1点
車体全体が、紫やピンク色に塗装されている。 +3点
車種を書いた文字をそぎ落としている(crownとかcedricとかって書いてある、トランクの所のあれの事) +1点
2.インテリア;以下を発見したら、加点せよ。
キャンピングカーや霊柩車でもないのにカーテンが装備されている +2点
フロントにお花畑やファーが敷き詰められている。 +1点
後部座席も含めて全てがファーまたは豹柄 +2点
ミラーにお守り以外の何かがぶら下がっている +1点
白いハンドルや豹柄のハンドル。実用性に乏しく見た目には派手なハンドルの改造。 +1点
ピカピカ光る電飾が内装されている +1点
3.ナンバープレート;以下を発見したら、加点せよ。
ナンバープレートがカバーに入っている +2点
ナンバープレートが折り曲げられている +2点
ナンバープレートが一桁か、ごろのいい数字になっている。例えば2000、2006、7777、一桁の数字、など*2。 +2点
4.サウンド;以下を発見したら、加点せよ。
マフラーをうるさく換装している +1点
窓を閉めていても聞こえるような大音量で重低音の効いた音楽をかけている。 +2点
クラクションを鳴らす、それも3秒以上 +2点
5.運転の様子;以下を発見したら、加点せよ。
右折や左折時、曲がり始めてからウインカーを出す +1点
右折や左折時に、ウインカーを全く出さない +3点
停車中に空ぶかしを繰り返す +3点
前しかみていないとしか思えない挙動 +1点
急加速と急ブレーキが頻繁にみられる +2点
高速道路や二車線区間で、一度追い越されたら執拗に追い越そうとしてくる +2点
シートベルトを使用していない。 +1点
子どもを乗せているのにチャイルドシートを使っていない。 +1点
6.衝突の痕跡;以下を発見したら、加点せよ。
修理されていない凹みや傷がみられる +1点
修理されていない凹みや傷が二カ所以上みられる +2点
ガムテープで応急処置してある損傷がある +3点
8.年収と当人の関係;以下を発見したら、加点せよ。
新車価格300万以上の全車両(紳士が乗っていても、とにかく高価格はマズい) +1点
上記高級車にも関わらず、25歳以下とおぼしきドライバーが乗っている。 +2点
以上の加点を合算し、対象車を検討する。
0点〜3点:ハイリスクな車という視覚的根拠は乏しい。
4点〜8点:色んな意味でハイリスクな車かもしれない。念のため警戒。
9点〜12点:色んな意味でハイリスクな車の可能性が高い。要警戒。
10点以上:色んな意味でハイリスクな車の可能性は極めて高い。とりあえず距離をとったほうがよい。
総得点が高ければ高いほど、対象車は衝突した際にリスクが発生しやすいか、衝突確率そのものが高いと推測される。詳細を知っている友人ならともかく、そうでない他人の乗用車で高得点の場合は距離をとった対応を心がけたほうがよいだろう。
【付記】
なお、このスケールで低得点な車だからといって、運転注意を怠って良いというわけではない点には留意してください。細心の注意と「譲り合いの精神」で今日も安全運転を心がけましょう。また、このDCRSを用いたスクリーニングを「見た目の差別」という人もいるでしょうが、ある種まったくその通りです。私は脳内DCRSを用いてリスクの高い可能性の乗用車を検索し、常に警戒しながら走行しており、これをもって差別というならその言葉を甘んじて受けましょう。ですが、娑婆世界をわたっていくうえで、「見た目」をリスク回避のために運用するのは必須の技能だと私は認識しています。特に、個人の良い所を発見するのではなく、集団のなかからハイリスクな選択肢をスクリーニングするためには、視覚情報は無視できない情報源ではないでしょうか。