シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

エロゲ販売昨今について

 
rev:エロゲの販売数 - grevグループ
 
(以下、2000年と2005年比較のため上記より抜粋しました)

7 名前: PC-NEWS 2000 TOP10 投稿日: 2004/10/19(火) 12:13

1 AIR Key/VA 102080

2 猪名川でいこう! Leaf/aquaplus 74525

3 Natural2-DUO- F&C 58781

4 エルフオールスターズ脱衣雀 ELF 58752

5 夜勤病棟 Mink 56412

6 GREEN〜秋空のスクリーン〜 Jellyfish 56225

7 まじかる☆アンティーク Leaf/aquaplus 53039

8 ロマンスは剣の輝きⅡ F&C 47891

9 恋姫 ELF 42510

10 DARCROWS AliceSoft 36813
 

914 :名無しさん@初回限定 :2006/01/26(木) 21:41:53 id:ThXBKPE50

PC-NEWS 2005年 年間セールスランキング

1 Fate/hollow ataraxia TYPE-MOON 154015

2 ToHeart2 XRATED Leaf 110393

3 夜明け前より瑠璃色な オーガスト 68599

4 智代アフター It's a Wonderful Life Key 49226

5 ぱすてるチャイムContinue アリスソフト 41456

6 つよきす きゃんでぃそふと 36867

7 SchoolDays Overflow 32278

8 _Summer HOOK 30010

9 Fate/stay night TYPE-MOON 28557

10 はぴねす! ういんどみる 28370

11 GALZOOアイランド アリスソフト 26776

12 Tick!Tack! Navel 26395

13 冥色の隷姫 緩やかに廃滅する青珊瑚の森 エウシュリー 22907

14 DuelSaviorJUSTICE 戯画 22906

15 プリンセスういっちいず ぱじゃまソフト 21679

16 七人のオンラインゲーマーズ オフライン GJ? 21230

17 塵骸魔京 Nitro+ 20864

18 Tears to Tiara Leaf 20164

19 らぶデス Realtime Lovers TEA TIME 20018

20 処女はお姉さまに恋してる キャラメルBOX 19408

21 秋色恋華 PurpleSoftware 19397

22 AYAKASHI CROSSNET 18353

23 ぱすちゃC++ アリスソフト 18071

24 家庭教師のおねえさん Hの偏差値あげちゃいます アトリエかぐや 17857

25 マジカルウィッチアカデミー ボクと先生のマジカルレッスン アトリエかぐや 17756

 
 そうですかそうですか。TYPE MOONも葉鍵も頑張ったんですね。2003年まではエロゲーは下火だったものの、2004年や2005年には大きく挽回している。さてこれをどう考えるのか?いやもちろんメーカーさん乙には違いないにしても。
 
1.ニッチな作品だけの状態から、定評のあるビッグタイトルが牽引可能な状態に戻ったから。大作が出てくればそりゃみんな帰ってくるわな。ひぐらしあたりも援護射撃してくれたかもしれない。
2.FF11やROなどにいい加減食傷気味だったオタク連中が、結局エロゲーニッチにも帰ってきたから。「放蕩息子ども」が親しんだ事のあるメーカーが、丁度そのタイミングで彼らも喰えそうな作品をリリースしてきた。
3.学生時代に友達の家でCDRを焼きまくっていた世代のオタク達が、就職等で資金力をつけ、自分でちゃんと商品を買うようになったから(勿論nyを含め、金無い奴はまだやってるだろうが)。店ごとに初回特典でしっかり萌えるオマケをつける戦略も、幾らか影響しているかもしれない。
 
 実際の原因はわからないにしても、2005年の1位〜10位の合計値がAir全盛期の2000年とほぼ同数というのは興味深い。同じゲームを二本も三本も買う奴はあまりいないので、15万本以上のエロゲーが売れる&1〜10位の合計値が同程度というのはエロゲーオタの最大規模を推定するうえで貴重な数字だ。こんなに沢山の男達がエロゲーを購入する時代になったんですね。少子化の影響も考えると、2000年頃Airを買っていたエロゲーオタ達の少なからぬ量が2005年にもエロゲーを買っている可能性を想像してしまう*1。上記1.〜3.がどれだけ的を射ているかは不明にせよ、これらの数字は、

 2000年頃エロゲーやってたオタク達は、五年後の今もエロゲーをやっている可能性が高い

 暗に示しているような気がする(あくまで少子化を考慮すれば、だが)。当時エロゲー耽溺によってブロイラー化されたオタク達は、確かに2001年〜2003年にかけてはエロゲー界を離れていたかもしれない。だがそれはあくまで大作不在だったからや、勃興してきた大規模MMOによる影響が主であって、エロゲーよりも現実の女性との付き合いのほうが楽しくなったために足を洗った者は決して多くはないということを疑ってしまう。新規にエロゲー界にはまりこんだ若いオタクももちろんいるだろうが、彼ら新規参入組と、人口の絶対値の多い世代の離脱組の数が同程度だとすれば、やっぱり居残り組の数はかなり多そうに思える。結局彼らはブロイラーのままであって、まさに家畜化するポストモダンといったところではないだろうか。あるいはブロイラーだからこそ未だエロゲー界に居残っていると考えるのが筋か。
 しばしばエロゲーオタ達は「飽きた」「昔ほど萌えない」などと言っているし、事実その通りなのかもしれないが、それでもよさげな作品が出れば彼らは食指を動かすということを記銘しておこう。未だエロゲーには(否、これからもエロゲーには)ある程度の需要が残りそうな気がしてきたぞ。既にブロイラーになった者達と、これからブロイラーになる者達に与えるためのエサとして。

*1:ニッチな作品への細分化が、大作の登場によって再び収斂した可能性も考えたが、2005年の3万本以下のタイトルの充実ぶりとレパートリーの多彩さをみるにつけても、必ずしも大作による収斂が起こったとも思えない...と思ったら、1位〜10位の総数を比較してみたらやっぱり細分化してるような気がしてきました