シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

汎適

都市空間のスピード・流動性に対して感じる不安

一般に、知的機能の障害は社会適応を大きく制限したり、日常生活の労務に支障を来たしたりすると考えられている。確かに、知的機能の障害があれば、高度な判断を瞬間的に繰り返さなければならない仕事などは難しいだろう。だが、知的機能の障害を持つならば…

あなたは馬鹿で不幸な小悪党にでもなりたいんですか?

ああ駄目だ駄目駄目。話にならない。 悪魔の証明に付け込んで人を追い詰めましょう。 時効と恫喝をうまく利用しましょう。 恩は必ず仇で返しましょう。 騙される人が悪いのです。人の善意を利用してとことん騙しましょう。 個人情報は売りましょう。 お金が…

継続的取り組み(努力)は、達成の必要条件ではある。

「継続的取り組み」があれば確実に結果が出るとか、「努力」さえすれば確実に幸せになれる、といった類の物言いが寝言であることは、今更言うまでもないだろう。高度成長期の日本ではいざ知らず、現在の日本(や世界各地域)において、一心に「継続的取り組み…

「適応の末に」ってことは、もう死んでるんですかぁ?

適応の末に - 行乞記 - 断片部 「適応の末に」という言葉からは、適応に終わりや目的や到達点があるような印象を受けずにはいられない。まるで、適応が既に達成されたものであるかのような、達成してもむなしいかのような、そういう雰囲気を文章から感じまし…

自己実現礼賛に潜む罠(老いと自己実現について)

自己実現、という言葉をうんざりするほどみかけます。 自己実現、という言葉を聞く機会は沢山あるし、自分自身も頻繁に口にしていると感じる。「僕が僕であるための何か」、「自分のレゾンデートルを確認するための契機」といったものが欠けていると、人は生…

「お前、悔しくないの?」

ネット上で諦念をぶちまけている若い人などをみていて考えさせられることは沢山あるが、その一つに「お前、悔しくないの?」というものがある。女の子に邪険にされたとか、会社で○○な目に遭ったとか、そういう出来事は生きている限り遭遇しないわけにはいか…

知識としての脱オタは普及し尽くした。

若年世代におけるサバイブ感覚の強さとコミュニケーション志向に関連して、脱オタについても少し。 そういえば、コミュニケーションスキル/スペック改善という意味の脱オタが現れつつあったのも(現実を生き延びろという気分と、コミュニケーションの重要性…

「決断主義」は流行の最先端ではなく、ただ当たり前のことでしかない。

http://a-pure-heart.cocolog-nifty.com/2_0/2007/06/5_c5bd.html 善良な市民さん(以下、宇野さんと表記)がSFマガジン上で書いた「決断主義」に関して、Masaoさんが「時代遅れだ」「現実は軽くなってるじゃん」と反論しているのが上記リンク先の記事だ。しか…

コミュニケーションの汎用性に影響を与える要素群

話題が豊富なだけではコミュニケーションは覚束ない - シロクマの屑籠 上記リンク先において私は、「話題の手札の広さ・深さが必ずしもコミュニケーションの成否を左右するキモではない」と書いた。話題という名のカードを切る人の、様々な要素によって、同…

適応できるなら、人格が変わってもいいや

これはtakisawaさんへの私信、かもしれません。いや、どちらかといえばおっさんの独り言の類でした。失礼いたしました。ご迷惑をおおかけします。 http://d.hatena.ne.jp/takisawa/comment?date=20070411#c なんか、ただ「好かれる人物」を究極的に目指して…

いい加減、「甘え」と「努力」を対立項だと勘違いするのはやめようよ

ちょっと、以下のグーグル検索の結果を見て欲しい。 努力 甘える - Google 検索 この検索結果からは、「甘える」と「努力」を対立項のように捉えている文章が沢山見つかる。かなり嘆かわしく、短慮のほかないと思う。しかし実際、多くの人が「甘えること」と…

悪業を積んだブロガーは、自らのカルマによって自滅する

釣りっぽいタイトルにするために「ブロガー」と書いたけど、ブロゴスフィア*1だけに限定される話ではなく、およそコミュニケーションが行われるあらゆる空間に適用出来そうな一般論として。 【悪しきカルマを積んだブロガーの末路】 「日頃から悪しきカルマ…

私は失敗を積極的に経験する

ときに私は、どう考えても失敗しそうな知人の取り組みを積極的に支援する。また私自身も、失敗することが確からしい選択肢を敢えて突き進んでみることがある。なぜなら、失敗はそれ自体が重要な価値や可能性を秘めているからだ。私は、必ずしも失敗をネガテ…

老人になった時に尊敬されるか軽蔑されるは、結局は行い次第

社会全体の趨勢・マクロな傾向としては、老人が尊敬されにくくなることは避けられない、と私は考える。とりわけ、見ず知らずの他人と都市空間で出会うような場合には、年長者であるだけで無条件で尊敬や配慮が確保されるとは考えにくい。老人が尊敬される時…

「防衛機制」は指摘される側だけが心的傾向を露呈するものなのか?

最後に、REVさんにお返事。 俺の言葉に反論するのは、攻撃の防衛機制だ!反論しないのは、よく訓練された逃避の防衛機制だ!ホント、精神分析は地獄ダゼ。フハハハハハ(AA略 http://b.hatena.ne.jp/REV/20070217#bookmark-1176327 この、面白い指摘にも御返…

防衛機制は、観察者の心的傾向があった時により強く感得される

(注:22:00頃にタイトルを少しいじりました) あのとき僕は「日本のアニメは世界一だよねっ!」と頷いてあげるべきだったのだ - シロクマの屑籠 2007-02-15 - BLUE ON BLUE(XPD SIDE)跡地 先日私は、id:crow_henmiさんから刺激的な指摘を頂いた。詳しくはリン…

人格表象の統合的把握を妨げる匿名空間の性質と、それによって誘導される人格形成上の問題及びコミュニケーション上の問題に関する懸念

匿名者は、良いことをしたとしても無名のままで、酷いことをしたとしてもやはり無名のままだ。彼らは第三者から弁別可能な人格も表象も獲得されないので、応報戦略も通じないし、相手を貶め返すことも出来ない。匿名投稿者は何らかの人格・ハンドルネーム表…

激やせ型の摂食障害はどこに行ったのか?

摂食障害は、神経性食欲不振症(anorexia nervosa、いわゆる拒食症)や神経性過食症(bulimia nervosa、いわゆる過食症)に大別することが出来る。実際は両者の間を行き来するケースも多いので完全に分けて考えることは出来ないものの、拒食だけの症例や過食が目…

進化生物学者と似非科学論者との決定的な違いに関して

科学が『ニセ科学』を糾弾できない本当の理由 上のエントリを読んだ私は、素人目にもあまりにもひどいと思ってしまい、一応知っている範囲で進化生物学を弁護したいという気持ちになった。似非科学者達と真面目な学者達が一緒にされているのはあんまりだとい…

私の言動は、私にとって常に最適である。

私の言動は私にとって常に最適なものである、おそらくは。 なぜなら、その時点における私の言動は、私自身の随意下/または無意識下において最上最適と判断されたものに相違ないからである。判断の中枢が脳内のどこであれ、私の言動が実行に移されるその瞬間…

「僕は誰の役にも立たない」という前提に基づいて行動する事こそが誰の役にも立たない

Latest topics > 自分のする行為の価値 - outsider reflex 自分の行動の選択基準に偽善・美醜といったものを無闇に導入しないほうが良いのでは?というご主旨には私も賛成です*1。ですが、一点、ちょっと気になったことがあったのでお尋ねします。 誰の何の…

一般に青年が主張する内容は正しくない。しかし、青年がそれを主張するそのこと自体は正しい。

2006-12-10 - 古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」 革命的非モテ同盟跡地 この二つのリンク先の若い人達に、まずは以下の格言を呈示してみたい。 ・一般に青年が主張する内容は正しくない。 しかし、青年がそれを主張するそのこと自体は正しい。 byジ…

つまんないおっさんになりそうな人に説教

成功や欲望を「たいしたことねーな」と実感できるようになることにこそ、成功体験の意味はあるのかもしれない - 世界のはて ※この文章はid:Masao_hateさんへの私信です。 成功体験に飽きた?もし、これがある種のポジショントークじゃなくて本音の類としたら…

精神科研修で「人の話をきく」「質問に答える」を教わった研修医

先日、首都圏の病院に勤めているTと一杯やる機会があって、面白い話を聞いたので、書き残しておく。 Tの精神科急性期病棟も、最近はスーパーローテーター(研修医)の教育を引き受けながらの臨床活動が続いていて多忙をきわめているようだ。要領の良い奴、ドン…

「適応」を現在完了形で捉える人は、道を誤るだろう

(メモ→) 私の考えるところの「適応」というものは、現在完了形で表現されることが無い。彼女が出来たとか、結婚したとか、就職したとか、脱オタしたとか、そういった節目の突破をもって「俺は適応した」となどと表現するのは適切ではないと考える。 そうでは…

地域コミュニティが消失し、流動性と自由度の高い社会が訪れた果てについて

“村の掟”が不要な人/必要な人の明暗 - シロクマの屑籠 上のテキストで私は、“村の掟”“村のマナー”による不自由な(行動・判断・マナー)枠付けによって、むしろ適応が維持されていたかもしれない人々について指摘してみたわけだ。社会による一定の枠付けによ…

“村の掟”が不要な人/必要な人の明暗

私が記憶している平成初期と比べると、“どうしてこの人はこんな選択肢を選ぶんだろう”“ちょっと考えれば、それがヤバい事ぐらいわかるでしょ?”“こんなになる前に誰か引き留めなかったんだろうか”と首を傾げるような若い大人を見かける機会が増えたような気…

適応研究者から、自称非モテへの問いかけ

僕の場合、こういうこと聞いてきたり、相手が非モテっていうだけで上から目線でものをしゃべるやつを思いっきり殴っても許される価値観を想像したいね。 http://d.hatena.ne.jp/yugyu/20061005/p1 2006年10月06日 p_shirokuma 思春期心性 上?下?どっかに太…

他者の存在確認

意見の相違を手探りで確認することで、ようやく目の前に自分とは相容れない何者かに気付く盲人の群れ――それが人間なんだとしたら? 意見の相違に気付かない者や、意見の相違を認めない者は、自分以外の人間を知ることが無い、ということになる。彼の真っ暗な…

弱った者をどんどん食い物にしていく、娑婆の浅ましさ

職場のケースワーカーの人に、或る本を勧められて読んでみた。本のタイトルは、『―http://www.s-pla.jp/bookrist/booklet1.html(注:アマゾンには無い)』。もくじを開くと、刺激的な文句が並んでいる。「経済的搾取」「性的被害」「虐待・暴力」etc…。この本…